家族信託

遺留分で悩むケース、あるいは問題になるケースが多いです。

高額な自宅不動産と少額な金融資産を保有している場合、もし遺留分を請求されると、代償金を払えずに不動産を売ることになりかねません。子どもから遺留分を請求され、亡くなった人の配偶者が家を手放すことにもなりかねません。

そのような場合に、家族信託という新しい考え方があるようです。

「信託受益権の複層化型信託」という家族信託では、配偶者が自宅不動産に住む権利(収益受益権)を取得し、子どもが不動産の所有権(元本受益金)を得ます。これにより、配偶者は自宅に住み続けられます。そして、その配偶者が亡くなったとき、子どもは収益受益権を含めて完全な所有権を得ることになります。

ただ、遺留分の権利行使や課税の考え方がはっきりしていないとのことで、実際にこの方法を採用した場合には、裁判などによりその妥当性が検討されるだろうとのことです。

(2016年6月15日 日経新聞より)

ビザ免除悪用し不法就労するタイ人が増加

日本に行けば稼げると現地のブローカに騙され、タイ人が観光目的で来日し、農村で不法就労するケースが増えています。

  • 訪日する外国人で目立って増えているのがタイ人。
    • 2015年は約79万人と過去最高を記録した。
    • 国・地域別では中国や韓国、米国などに次いで6番目に多い。
    • 日本政府が13年、観光目的で滞在15日以内ならビザを免除したことが増加の理由。
    • 15年に摘発されたタイ人の不法就労者は前年比8割増の1215人。
  • 10年前は中国や韓国、フィリピン出身者が都市部の工場や飲食店で働くケースが多かった。
  • 今は、人手不足が深刻な地方の農村にタイやベトナムから人が流れ込む。
  • 政府は20年度までに入国審査官を900人増の約3300人にする方針を決めている。
  • 訪日客の増加と不法入国は表裏一体という課題が大きくなっている。

(2016年5月18日 日経新聞より)

外国人定住へ環境整備

政府は日本で働く外国人やその家族の定住を促すため、包括的な環境改善策を打ち出す。

2014年のGDP対比の海外からの国内投資残高では182カ国中179位と世界最低水準。

  • 医療通訳者が常駐し、周辺病院に派遣もできる病院を現在の約20カ所から16年度中に40カ所に増やす。
  • 国内に3万人程度いる日本語教育が必要な外国人の子どものうち、実際に教育を受けているのは8割程度。
    • 2020年度までに全員が日本語を勉強できる体制にする。
  • 3割にとどまる留学生の日本での就職比率を、2020年までに5割に引き上げる。
    • インターンシップ(就業体験)を経験した留学生のビザ申請手続きを早める。
    • 全国で留学生向けの企業説明会を開く。
  • 2018年度にもビザの申請や変更、更新手続きをネットで済ませられるようにする。
  • 現在の2倍の1000本の法令を英語で読めるようにする。
  • 外国企業にとって面倒な行政手続きを減らす。
  • 昨年4月に東京都内に開いた起業手続きを1カ所で進められる拠点の使い勝手を改善する。

(2016年5月18日 日経新聞より)

社長などの人事を議論する「指名委員会」を設置する企業が急増

  • 指名委員会を設ける上場企業は過去数年間、110~120社前後で推移してきた。
  • 2015年6月に企業統治の強化を求める「企業統治指針」が導入されたことで流れが変わり、指名委員会を取り入れる企業が急増した。
  • 指名委員会を導入した上場企業は5月17日時点で475社と、2014年の約4倍になった。
  • 急増しているのは任意の指名委員会で、406社と2014年(53社)の8倍弱に膨らんでいる。
  • 指名委員会には2種類ある。
    • ひとつは企業統治の面で条件が厳しい「指名委員会等設置会社」がつくる指名委員会。
      指名委員会が決めた取締役の人事案には法的な拘束力があり、参加者の過半を社外取締役にする必要もある。
    • もう一方は任意に設ける指名委員会で、法的な拘束力を持たず、参加者を開示する義務もない。
  • 事例
    • セブン&アイ・ホールディングスやセコムのほか、住友化学、ニチレイ、三菱製紙などが昨年度に導入した。
    • ニトリホールディングスは5月13日に任意の指名委員会を設置し、参加者5人のうち過半の3人を社外取締役とすると決めた。
    • IHIは昨年6月につくった任意の指名委員会の参加者4人のうち3人を社外の人材とした。
    • セコムは5月11日の取締役会で当時の伊藤博社長と前田修司会長の解職と中山泰男新社長の就任を決めた。任意の指名委員会の議論がきっかけとなったが、構成メンバーは非公表。
    • セブン&アイでは、鈴木敏文会長が指名委員会の反対を押し切る形で中核子会社セブン―イレブン・ジャパンの社長更迭を諮ったものの取締役会では過半数を得られず、鈴木会長は辞任を決めた。

(2016年5月18日 日経新聞より)

観光分野で規制緩和 通訳資格不要に

政府は、訪日外国人に観光案内をする通訳ガイドの規制を緩和する。
現在は国家資格「通訳案内士」がないと有償でのガイドはできないが、資格がない人にも認める方針。認められると、誰でもが有償で外国人をガイドすることができるようになる。
5月末に閣議決定する規制改革実施計画に盛り込む。
関連法の改正案を早ければ7月の参院選後の臨時国会に出す。

現在、報酬を得る観光案内の通訳は「通訳案内士」の資格を持つ人に限っている。
今後は、資格がなくても観光ガイドとして報酬を得られるようにする。

政府は訪日外国人客を20年までに今の2倍の4000万人に増やす目標を掲げる。
一方、通訳案内士の数は約1万9000人にとどまり、訪日客のニーズに応えきれていないとの指摘が多い。

(2016年5月17日 日経新聞)

親権、面会多く認めた方に

  • 日本では、子供が幼いと親権は同居している方の親に認められるケースが一般的で、子供と親権を持たない親との面会は合意が守られないことも多い。
  • 5年以上別居している夫婦が娘の親権を争った離婚訴訟の判決で、千葉家裁松戸支部は3月29日、妻のもとで暮らす小学生の娘を夫へ引き渡すよう命じた。
  • この夫婦は2009年ごろに関係が悪化し、10年に妻が無断で娘を連れて実家に戻った。夫と娘の面会は同年9月を最後に途絶えていた。
  • 夫は、隔週末や祝日など「年間100日程度」の面会を妻に認めることを提案。夫が仕事で不在の間は、同居する夫の両親が娘を世話するとした。これに対し、妻は夫に「月1日」の面会を認めたうえで、「慣れ親しんだ環境から娘を引き離すのは福祉に反する」と主張した。
  • 裁判官は夫側の提案を「整った環境で周到に娘を監護する計画と意欲がある」と評価し、妻の主張を退けた。
  • 面会を重視する側に子供との同居を認める司法判断は米国などでは珍しくないが、日本では極めて異例。妻は4月、判決を不服として東京高裁に控訴した。
  • 2014年に全国の家庭裁判所に申し立てられた面会をめぐる調停は約1万1千件で、10年前と比べて倍増した。離婚や面会をめぐる争いの増加が背景にある。
  • 日本は欧米各国と違って離婚後の「共同親権」を認めておらず、親権をめぐる夫婦の争いが激しくなりやすい。
  • 法廷で親権が争われた場合、裁判所の判断を左右するのは、子供の意思と養育する親の継続性。子供が幼い場合には、養育の環境を変えない「継続性」が特に重視される。
  • インターネットの法律相談などでは「親権者になりたければ、子供を手元に置いて相手と別居した方が有利」といった助言が目立つ。
  • 暴力などやむを得ない事情がないのに、子連れで無断で家を出たまま面会に応じない例については、一部の弁護士から「親権目的の子供の引き離し」との指摘もある。

(2016年5月13日 日経新聞)

中国向けビザ今夏に緩和 観光庁、ロシアやインドも

観光庁は13日、査証(ビザ)の発給要件緩和を今夏に実施すると発表した。

  • 中国人に対しては、数次ビザの対象を広げたり、有効期間を最長5年から10年に延ばしたりする。
  • ロシア向けには、期間中に何度も訪日できる数次ビザの対象拡大のほか有効期間も延ばす。
  • インドの大学生のビザ申請手続きも簡素化する。
  • フィリピンやベトナムのビザも緩和する

訪日客が見込める重点市場のうち、

  • 韓国や台湾、香港、米国など15カ国・地域はビザが免除されている。
  • 観光ビザが必要な中国やフィリピンなど5カ国のビザ緩和を戦略的に進めていく。

(2016年5月13日 日経新聞より)

訪日客、15年度2000万人突破 3月は過去最高の200万人

  • 2016年3月の訪日外国人旅行者数が前年同月比32%増の200万9500人だった。
  • 単月としては過去最高で、初めて200万人を超えた。
  • 2015年度の訪日客数は初めて2000万人の大台に乗せた。
  • 政府は3月に2020年までに訪日客数を4000万人にする新たな目標をつくった。
  • 1~3月の訪日外国人の旅行消費額は9305億円と前年同期比32%増えた。

(2016年4月20日 日経新聞)

永住権緩和で人材誘致

日経新聞の4月18日付朝刊に、
「永住権緩和で人材誘致、在留3年未満の経営者や研究者 成長を後押し」
という記事がありました。
以下のような要旨です。

  • 「高度専門職」の高度人材の永住許可要件は在留5年でしたが、それを3年未満にする。
  • 「高度専門職」は、2015年4月にできた資格で、15年末時点で1508人が取得、中国籍の外国人が64%と最も多い。
  • 現在は、「高度専門職1号」で3年滞在すれば、「高度専門職2号」になることができ、在留期限がなくなる。
  • 今回の検討では、「高度専門職1号」を3年未満で永住許可になる。
  • 永住者になれば、職業を自由に選べ、住宅ローンも組めるようになり、日本での生活がしやすくなる。
  • 永住者になるのは、英国では原則5年だが一部起業家は3年の滞在で申請を認めている。韓国は先端技術分野の博士なら最短1年で永住権を申請できるという。
  • 日本で多額の資産を運用する投資家や起業家も、「高度専門職」扱いの検討対象になる可能性がある。
  • 在留期間の要件を緩めるほか、入国管理局の窓口への訪問を義務付けた永住権の申請手続きも見直す。郵送やオンラインなどの方法も検討する。

外国人の在留要件を少しずつ緩めていますが、まだまだ限定的です。来てほしい外国人と来てほしくない外国人がいるのは事実で、どこからどのように緩めていくかは非常に難しい問題です。

(2016年4月18日 日経新聞)