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・遺言執行者は遺言とは切っても切れない関係で、必ず指定するものと考える方が良いです。
・遺言執行者は、通常、その遺言によりメリットを受ける者、又は行政書士等の士業がなります。
・遺言執行者が遺言の内容どおり相続手続きを行うので、遺言者は安心ですし、相続人も手間がかかりません。
・遺言執行者と遺言者は、遺言の中で契約をしているので、通常はその報酬も遺言の中に記載します。
・遺言執行者が遺言を遺す人より先に死亡するケースを想定し、通常は複数人指定します。
・遺言執行者の指定がないと、家裁の選任、相続人による執行になり、紛争の元になりかねません。
・当事務所の遺言執行の報酬は、ケースバイケースですが、標準的には相続財産の1%、最低30万円です。
目次
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遺言執行者の指定
遺言執行者を指定する理由
- 法定相続どおりの遺言を遺す場合もありますが、多くの場合は、遺言の中で法定相続とは異なる遺産分割を指定します。
- 法定相続と比較すると、遺言により利益を受ける人と不利益を受ける人がいることになります。
- 結果として、実際の相続手続きを行うときになると、不利益を受ける人は、円滑な相続手続きの阻害要因になることがあり得ます。
- 抵抗することにより、自分の受けた不利益を少しでも少なくしたいと思うのは当然の人情とも言えます。
- そこで、遺言の中で、相続手続きを円滑に進めるため、遺言執行者を指定します。
遺言執行者は、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を収集する必要もなく、遺産分割協議書を作成する必要もなく、遺言に書かれた内容を執行していくことができます。
遺言執行者を誰にするか
一般的には、法的中立性を保てる弁護士、行政書士、又は遺言により利益を受ける推定相続人を指定します。
遺言執行者の年齢
- 遺言執行者が遺言者より先に亡くなると、遺言者が亡くなったときに、相続人が遺言執行者を指定するか自ら遺言執行を行うことになり支障が出ます。
- そのため、遺言者の余命が短いことが明確な場合を除いて、原則的には、遺言者より若い遺言執行者を指定します。
遺言執行者の複数人指定
- たとえ、遺言者より若い遺言執行者を指定したとしても、その遺言執行者が先に亡くなることはあり得ます。
- そのため、遺言執行者を複数人指定する方が安全です。そして、その複数人が独立して遺言執行できるように書いておきます。
遺言執行者の指定がない場合
遺言の中で遺言執行者を指定しない場合、又は指定されていない場合の遺言の執行は以下の方法によります。
- 家庭裁判所が遺言執行者を選任する。
- 相続人が遺言を執行する。
前者の家庭裁判所による遺言執行者の選任に関して、民法1010条には、以下のようにあります。
「遺言執行者がないとき、またはなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によってこれを選任することができる。」
遺言執行者がないときとは、以下のような場合です。
・指定または指定の委託がない
・指定された者が就職を拒絶した
遺言執行者がなくなったときとは、以下のような場合です。
・遺言執行者につき死亡、解任、辞任、資格喪失などの事由が生じた
家庭裁判所への申立書では、通常、遺言執行者の候補者を記載します。
申立てをするのは相続人/利害関係者の一人で構いません。
家庭裁判所により、遺言執行者に指定された者は、就職を承諾することも拒絶することも自由ですが、承諾したときは、直ちに任務を行わなければなりません。
遺言執行者の復任権
- 原則的に、遺言執行者は自己の責任で第三者にその任務を行わせることができます。
- 例外的に、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
- 平成30年度の民法改正前は、原則と例外が逆でした。
遺言執行者の具体的な任務
- 遺言執行者の任務の範囲は、原則的に、遺言に書かれている遺産相続に関わる事項です。
- 遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有します。
- また、遺言執行者がいる場合には、相続人は、遺言の対象となった相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるような行為は一切禁止されます。
- この規定に反した相続人の行為は無効です。
具体的な任務は以下のとおりです。
- 開始時
- 相続人全員・受遺者へ遺言執行者に就任した旨の通知を出します。
相続人には、遺留分を有しない相続人を含みます。
遺言書の写しを添付します。
- 相続人全員・受遺者へ遺言執行者に就任した旨の通知を出します。
- 相続関係の確定
- 除籍謄本等、必要な書類を官公署から収集します。
- 遺言による認知があった場合、市町村役場に戸籍の届出をします。
- 相続人を廃除する旨の遺言があった場合、家庭裁判所に廃除の申立てをします。
- 相続関係を確定し、相続関係説明図を作成します。
- 相続財産の確定
- 不動産、預貯金等の相続財産の調査をして確定します。
- 相続財産リスト(遺産目録)を作成し、相続人・受遺者へ交付します。
- 受遺者に対して、遺贈を受けるかどうか確かめます。
- 相続財産の処分
- 預貯金の解約手続きを行います。
- 不動産があるときは、相続登記の手続きのサポートをします。
遺贈の場合、遺言執行者が登記義務者になります。
登記申請は司法書士が行います。 - 遺留分減殺請求が行われたときに、その対応をします。
- 遺言に従って相続人等へ財産を引き渡します。
- 相続税が発生するときは、相続税申告手続きのサポートをします。
相続税申告は税理士が行います。 - 遺産に係る計算書、報告書を作成し、相続人等へ交付します。
- 報告等
- 相続人から要求があったときは、遺言執行状況等について報告をします。
- その他、相続財産の管理、その他遺言の執行に必要な一切の行為をします。
亡くなった後には、遺産相続以外にも行政官庁への届出、葬儀、お墓、生活用品の整理、準確定申告など様々なことを行う必要があります。それらはひとまとめにして、死後事務と呼ばれ、別途委任するが可能です。
遺言執行者による相続人への遺言内容の通知
- 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければなりません。
- 平成30年度の民法改正前は、特に規定されていませんでした。
遺言執行報酬
- 遺言者が遺言で報酬を定めます。
- その定めがない場合は、家庭裁判所が遺言者の報酬を定めることができます。