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コンプライアンス(法令遵守)
企業にはコンプライアンス経営が求められています。法令を遵守しないといけないわけですが、日々の業務に追われていますと、自らが遵守しなければならない各種の法令までに気が回らなくなってしまいます。しかし、企業には様々な義務があります。足元をすくわれないために、最低限の義務、責任は果たすことが必要です。
定款
定款とは企業運営のルールです。会社設立時こそ公証役場において、認証というステップでその内容が法的に妥当か公証人が確認しますが、その後は基本的に自主管理となります。会社は法令に従って、正しく定款の維持管理をしなければなりません。外部からのチェックが届きにくいものなので、管理が甘くなっている企業がかなりあります。専門家のアドバイスを受け正しく維持管理し、いざという時に困らないようにしたいものです。
商業登記
商業登記法において、登記すべき事項が決まっており、それらの事項に変更があった場合には法務局で登記事項の変更を行う必要があります。登記事項は誰でもが入手することができ、その目的は取引の安定に資するところにあると言われています。ある会社と最初に取引をする場合は、その会社が信頼するに値する企業か知る必要があります。その最低限の項目を国が管理して、判断材料として提供しようということです。誰が代表で、どこが本社で、いつ設立され、どのような業務を行っているのか等を知ることが出来ます。
定款の記載事項と登記すべき事項の違いが少々分かりにくいです。両方で必要な事項、あるいは定款のみ、登記のみで必要な事項があります。ある程度は専門家のサポートが必要と言えます。
雇用契約の期間
労働契約を使用者と労働者が締結するときには必ず契約期間を明示する必要があります。
契約期間には以下の4種類あります。
- 期間の定めなし
いわゆる正社員と呼ぶ場合は、期間の定めがないことがほとんどです。 - 3年の上限
一般的には3年までが契約期間の上限になっています。 - 5年の上限
会計士、医師、弁護士等高度の専門的知識を有する者の場合、5年が上限になります。
また、60歳以上の労働者は雇用確保の観点から5年契約まで許されます。 - 事業の完了まで
建設工事など、有期事業の場合は、その完了までの期間の労働契約を締結することが可能です。
期間の定めのある契約を締結すると任意退職が出来なくなります。
- 但し、1年超の契約期間で1年を超えた場合は、いつでも退職できます。
- しかし、上記5年上限の契約、及び事業の完了までの契約を締結した労働者は任意退職ができません。
雇止めが社会問題化したこともあり、有期労働契約の更新、終了に関しては細かい規定があります。
- 有期労働契約を締結する際には、満了時の更新の有無を明示しなければなりません。
- 更新する場合がある旨明示したときはその判断の基準を明示しなければなりません。
- 有期労働契約を3回以上更新、又は雇入れから1年超継続勤務している場合で、更新しないときは30日前の予告が必要です。
- 有期労働契約を1回以上更新し、かつ雇入れから1年超継続勤務している場合は、契約期間をできるだけ長くする努力義務があります。
高齢者雇用
2012年8月末に、高年齢者雇用安定法の改正案が成立しました。翌年から特別支給の厚生年金の支給年齢が上がることに伴い徐々に65歳までの雇用を義務付ける内容になっています。
改正前
65歳未満の定年の定めをしている事業主は次のいずれかの高年齢者雇用確保措置を講じなければなりませんでした。
- 定年年齢の引き上げ
- 継続雇用制度の導入
- 定年の定めの廃止
この3つの中では、定年廃止も年齢変更もせずに、継続雇用制度を導入している企業が圧倒的に多いです。この制度は、定年後も継続勤務を希望する者を継続雇用する制度ですが、労使協定でその対象となる高年齢者に関わる基準、範囲を定めることが出来るというやや骨抜きの制度でした。例えば勤務評定の低い者は継続雇用しないことが出来るものでした。
改正後
今後は上記の労使協定が認められないことになります。要するに、継続勤務を希望する者は全員継続雇用することが義務付けられました。これは、来年度から特別支給の厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢が遅くなることに対応した措置になります。
以下の生年月日の男性が、それぞれの年齢から特別支給の厚生年金の受給できます。女性は5年遅れになります。
- 昭和28年4月2日~昭和30年4月1日 61歳
- 昭和30年4月2日~昭和32年4月1日 62歳
- 昭和32年4月2日~昭和34年4月1日 63歳
- 昭和34年4月2日~昭和36年4月1日 64歳
- 昭和36年4月2日~ 65歳
もし、従来の継続雇用制度で、労使協定の基準から外れて離職すると、その時点から上記の年齢までは無収入、無年金になりかねません。それを防止するため、それぞれの年齢の方々をそれぞれの特別支給の厚生年金受給開始年齢まで雇用を義務付けたことになります。一方で、企業への負担が大きい、若者の雇用を奪う、与えられる仕事内容などの危惧、問題点が指摘されています。
再就職援助措置と求職活動支援書
45歳以上、65歳未満の常時雇用する者が以下の事由により離職し、再就職を希望する場合は、再就職援助措置を講ずる努力義務があります。
- 定年
- 解雇(自己の責めを除く)
- 継続雇用を希望したが基準外になった
上記の2.と3.で離職し、本人が希望する時は、再就職援助措置を明らかにする求職活動支援書を本人に交付する義務があります。また、求職活動支援書を作成した場合は、再就職援助担当者を選任し、再就職の援助業務を行わせる必要があります。
報告など
1ヶ月以内に上記1.2.3.で離職した高年齢者等が5人以上いる場合は、最後の離職者が生じる1月前までに多数離職届を公共職業安定所長に提出する必要があります。
また、毎年6月1日現在の定年、継続雇用制度の状況などを7月15日までに、高年齢者雇用状況報告書により公共職業安定所長経由で厚生労働大臣に報告する必要があります。
障害者雇用
障害者雇用促進法では、企業が障害者を雇用する義務等に関して定められています。
障害者雇用数
一般企業では、雇用する労働者の1.8%を乗じた数の身体障害者あるいは知的障害者を雇用する義務があります。1未満は切り捨てになりますので、割り算しますと56人雇用すると1名は身体障害者あるいは知的障害者を雇用しないといけないことになります。ただ、製造業、建設業など、障害者を雇用しにくい業種には5%~80%の間で除外率というものが設定されています。
計算方法
雇用している障害者のカウント方法は以下の通りです。
精神障害者の採用義務はありませんが、人数にはカウントされます。
1人:通常勤務の身体/知的/精神障害者
0.5人:短時間(30時間未満)勤務の身体/知的/精神障害者
2人:通常勤務の重度の身体/知的障害者
1人:短時間(30時間未満)勤務の重度の身体/知的障害者
調整金と納付金
法定雇用率を達成していない事業主からは障害者雇用納付金が徴収されます。不足人数1人につき月額5万円ですのでかなりの金額です。但し、労働者数が常時201人以上300人以下の企業は、平成27年6月30日までの間は4万円です。また、法定雇用率を達成している事業主には、法定雇用率を超える数1人につき27,000円支給されます。なお、当分の間、常時200人以下を雇用する事業主には、調整金、納付金の規定は適用されません。
報告など
雇用労働者が56人以上の事業主は、毎年、6月1日現在の障害者の雇用状況を7月15日までに公共職業安定所長に報告する必要があります。法定雇用率を達成していないと、厚生労働大臣は、その事業主に対して、障害者雇入れ計画の作成を命じ、実施の勧告をし、勧告に従わないときはその旨公表が出来ます。
また、常時56人以上の労働者を雇用する事業主は障害者雇用推進者を選任する努力義務があります。
当事務所のコンプライアンス関連サービス
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