著作権

インターネット、電子機器の普及等によって著作権が身近なものになりました。誰でもが著作者になり、誰でもが著作権侵害者になる時代になったと言えます。

そこで今回は著作権の話です。

時代の変化が激しく、著作権は毎年のように改正されています。しかし、なかなか時代に追随できていないのが現状です。まず著作権の定義ですが、条文には、

思想、感情を創作的に表現し、文芸、学術、美術、音楽の範囲に属するもの

とあります。但し、実務的には条件、範囲はかなり広く、ゆるく考えられています。例えば、子供の絵でもスナップ写真でも基本的には著作権があると考えられています。
次に、表現形態としては、

言語、音楽、舞踊・無言劇、美術、建築、地図・図形、映画、写真、プログラムなど

となっており、これまた例示列挙でかなり範囲が広いです。更に、権利の登録は必要なく、表現した時に権利が発生します。よって、子供が描いた絵でも、出来上がった時点で立派な著作物になるわけです。

著作権は、狭義の著作権と著作隣接権に大別されますが、レコード製作者などの著作隣接権はかなり複雑なので、今回は触れません。中心となる著作権は更に以下のように著作者人格権と著作権(財産権)に分かれます。

著作者人格権
公表権、氏名表示権、同一性保持権
著作権(財産権)
複製権、上演権・演奏権、上映権、口述権、展示権、公衆送信権等、
頒布権、譲渡権、貸与権、翻訳権・翻案権等、二次的著作物利用権

両者の大きな違いは、財産権である著作権は譲渡できますが、著作者人格権は一身専属の権利で譲渡できない、譲渡されないという点です。

著作者人格権の公表権とは公表するかどうかを決定できる権利、氏名表示権は公表する時に氏名を表示するかどうか決定できる権利、同一性保持権は自らの意に反して改変されない権利です。それら著作者人格権は死亡するまで著作者が持ち続ける権利です。著作権(財産権)には複製権に始まって11の権利があります。それらを一括でも個別でも譲渡することが可能です。

なお、著作権の期間は基本的に著作者の死後50年間です。著作者の孫の代まで位がその著作権の恩恵を受けられれば、後は社会的財産にしても良いであろうということが趣旨のようです。

以下、著作権に関して、知っておいた方が良いと思われることです。

  • 著作者は自然人が原則です。しかし、以下の5つの条件を全て満たすと法人が著作者になります。
    • 1)法人の発意で
    • 2)業務従事者が
    • 3)職務上創作し
    • 4)法人名義で公表し
    • 5)就業規則等に特段の定めがない(普通はありません)

この場合、創作に携わった従業員には何の権利もありません。コンピュータプログラム、営業パンフレットなど日常の会社業務で作成されるものは全て該当すると言えます。それに対して、特許は職務上の発明であっても基本的に個人が権利者です。会社に権利譲渡する場合は相当の対価が必要になります。つまり、職務発明でも特許の場合は個人に権利がありますが、著作権の場合は原則的に会社に権利があります。

  • 著作権は作成者にあります。例えば、プログラム開発を有償で委託し、完成したプログラムが納品されたとしても、著作権までは納品されていません。お金を払った側に著作権はありません。著作権は実際にプログラムを書いた受託企業にあります。ということは、受託してプログラムを開発した企業は、特約がない限り、他システムにそのプログラムを利用しても構わないことになります。

◇◇◇◇◇◇◇◇ 量が多くなりました。⇒ 次号に続きます。

(2008年12月 1日)

外国人の在留許可と就労

外国人が増えています。街中でも職場でも増えてきました。少子化も相まって今後ますます増えると思われます。外国人と一緒に生きていくことが必要になってきています。

今回は、入管法、外国人の在留許可、そして就労に関してです。

外国人とは

まず外国人という定義ですが、入管法によれば「日本人の国籍を有しない者」となっています。つまり、外国の国籍を持っていても日本の国籍を持っていれば、日本人であり、外国人として扱わないということになります。また、日本は血統主義(*)を採用していますので、どちらか一方の親が日本人であれば、どこで生まれても日本人になります。

査証(ビザ)と在留資格

次に、外国人が日本に入国する際ですが、一般に、有効な旅券を所持することの他に、査証(ビザ)が免除される場合を除き、旅券に有効な査証を取り付けていることが必要になります。査証が免除されるのは、査証免除国の国籍を持ち、観光など報酬活動に従事しない短期滞在の場合です。平成17年の在留資格別新規入国者数(永住者を除く)612万人のうち、短期滞在がほとんどで約94%です。

さて、”本格的に”日本に滞在しようとする外国人には査証が必要となります。日本の査証は入国目的別に以下の7種類があります。
外交、公用、就業、一般、通過、短期滞在、特定
査証とは入国するために必要なものであり、入国の際に査証に記載されている入国目的に対応した在留資格を得てしまうと、その役目を終了します。

従って、よく言うビザの変更、ビザの延長という表現は正しくなく、正しくは在留資格の変更、在留期間の更新になります。また、入国目的、在留資格、在留身分、在留活動とはほとんど同一の意味、あるいは対応関係が存在します。査証はそれをグルーピングしています。その対応関係は以下の通りです。

査証(ビザ)と在留資格の種類

査証の種類:入国目的/在留資格/在留身分/在留活動
1)外交:外交
2)公用:公用
3)就業:教授、芸術、宗教、報道、投資・経営、法律・会計業務、医療、
研究、教育、技術、人文知識・国際業務、企業内転勤、興行、技能
4)一般:文化活動、留学、就学、研修、家族滞在
5)通過:短期滞在
6)短期滞在:短期滞在
7)特定:特定活動、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者
(査証不要:永住者)
<計 :27種類>

7種類の査証に27種類の在留資格です。但し、永住者だけは入国時に査証は不要です。

在留資格と在留活動

日本では在留資格に対応した在留活動が出来ます。逆にそれ以外の活動は原則的に出来ません。在留資格に対応した就労活動であれば、入国後に就労許可を得る必要はありません。欧州諸国では逆で、入国した後で就労許可を得ます。

27種類の在留資格の内、
日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、永住者
の4つの在留資格だけは特別扱いになっています。在留活動に制限がなく、単純労働など職種を問わず、収入を伴う活動が何でも出来ます。更に永住者はそれに加えて在留期間の制限がありません。他の3つの在留資格は1年、または3年間が在留期間です。もちろん、在留期間の更新は可能です。というわけで、外国人は、日本人の配偶者になりたがるわけですし、更には永住者の資格を取りたいと思うわけです。永住者の資格を取得するためには、通常は10年ほど真面目に日本に在留、生活する必要がありますが、日本人の配偶者であれば、それよりもずっと緩い基準で永住者になることが出来ます。

外国人の就労

ところで、留学、就学という在留資格だけでは報酬を伴う活動をすることは出来ません。そこで多くの留学生は資格外許可を受けてアルバイトをすることになります。それによって、例えば1週間に28時間を限度に資格外活動、要はアルバイトをすることが出来るようになります。

外国人を雇う場合には、旅券や外国人登録証明書(市区町村でこれを取得すれば旅券の携帯を免れます。)で在留資格を確認して、職種、期間など雇用しても問題のないことを確認する必要があります。ところが、一般の人にとって、その判断が実は容易ではありません。結果的に、雇用者は不法就労助長罪(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)を犯したくはありませんので雇うことに慎重、あるいは消極的になりかねません。それではまずいということで、誰にでも簡単に分る、就労資格証明書というものを入国管理局が発行するようになりました。取得は任意ですが、1000円以下で取得できますので、持っていない外国人には是非入手を勧めると良いと思います。本人も不利益な扱いを受けないようになりますし、雇用側も安心できます。

(*)血統主義に対立する概念として出生地主義(親がどこの国の国民であろうと、自国で生まれた子は自国民になる。)があります。 血統主義は韓国、ドイツなど、また出生地主義はアメリカなどが採用しています。

(2008年10月19日)

個人の債務整理

借金苦で自殺したり、一家離散ということがあります。悲惨なことです。本人に責任のある場合もあるかとは思いますが、人の弱みにつけ込んだ高利貸しが跋扈していることの方にこそ問題があると思います。サラ金は言うに及ばず、カード会社や銀行までもがこのゼロ金利時代に高金利でお金を貸し出しています。

借金が多くても思い詰めることはありません。悪いのはむしろ高利貸しです。多重債務で打つ手がないと思っても極端に悲観することはありません。人生はゲームです。最初のゲームに負けただけです。場をクリアしてもう一度ゲームに挑戦すれば良いだけです。

借金・債務を整理してしまいましょう。

債務整理のハードルは低くなっています。債務整理を行うと周囲に知られてしまい、恥ずかしいし、第一再起不能になるのではないかという危惧があるかと思います。しかし実際はそうでもありません。

  • 確かにブラックリストには載りますが、特に周囲の人が見れるわけでもありませんし、何が起きるわけでもありません。ただ、5年から10年の間、借金をしたり、カードを作成したりすることが出来なくなるだけです。
  • 官報に掲載されるケースもありますが、一般の人はそれほど見るものではないでしょう。
  • 特定の職業に就けないことがあります。ただ、弁護士や会計士などのような職業で、あまり実害はありません。

つまり、基本的には会社にも近所にも親戚にも知られずに債務整理が出来るわけです。

具体的に、個人の多重債務を整理する、法的債務整理方法には以下の4種類があります。

  1. 自己破産
  2. 民事再生
  3. 任意整理
  4. 特定調停

まず、どの方法をとるにしろ、専門家に届け出て、手続きに入ります。しかし、「自己破産」と「特定調停」に関しては直接、裁判所に申し出る方が多いようです。届け出た段階で、すぐに債権取立て行為の制限と返済停止が可能です。つまり、テレビに出るような脅しがなくなり、とりあえず平穏な生活を取り戻せることになります。その後の手続きは、上記1)から4)のどの方法を選択するかで異なってきます。

1.の「自己破産」では、必要生活費の3か月分を残して、全ての財産を清算します。その代わり全ての債務が帳消しになります。ある意味、手っ取り早いですが、車も家も手放すことになり、失うものも多いことになります。

残りの3つの方法は、そこまで極端な方法ではなく、ソフトランディングと言えます。利息制限法による超過利息引き直し計算をして、元本を減額します。そして、

2.の「民事再生」では、更に残った債務総額を5分の1、あるいは10分の1(債務額によって異なる)にして3年で返済します。また、住宅ローンがある場合は、住宅ローン特則を利用して、弁済の繰り延べが可能です。但し、住宅ローンの元金、利息の免除はありません。

3.の「任意整理」は、債券、債務者で私的交渉をして合意をします。超過利息以外の元本減額はありませんが、将来利息は免除されます。

4.の「特定調停」は、調停ですので裁判所で調停委員の下、債権、債務者で話し合いをする方法です。3)の任意整理を裁判所を通して行うという意味合いになります。但し、過払い金の回収は行いません。

どの方法を選択するかがポイントになります。

「自己破産」は一番過激な方法です。利息制限法による超過利息引き直し計算をしてもあまりに借金総額が多く、とても返済し切れないようであれば、思い切って裁判所に直接「自己破産」の届けをする方が話は早いです。「民事再生」では、超過利息引き直し計算をし、更に圧縮をした債務金額と住宅ローンを返済することになります。その返済が何とか可能であれば、専門家への依頼費用を負担しても「民事再生」が良いでしょう。

「民事再生」は主に住宅ローン破産者向けに用意された方法です。

「任意整理」は、利息制限法による超過利息引き直し計算により、逆に過払い金の回収が期待できるときに有効です。

「特定調停」は、過払い金の回収までは期待できないが、超過利息引き直し計算で返済可能な額にまで減額できるときに有効で、専門家に依頼せず、直接裁判所で手続きをします。

「自己破産」と「特定調停」に関しては、自ら直接裁判所で手続き出来ますので数千円~1万円程度の費用で済みます。ただ、その分、自分の時間を使うことにはなります。「民事再生」と「任意整理」に関しては専門家に依頼しないとまず無理です。専門家に任せることで気は楽になりますが、その代わり数十万円の費用がかかります。過払い金の回収があればそれで賄うこともできますが、もし債務が残り、返済を継続するのであれば、その専門家への依頼費用を工面しないといけないので注意が必要です。一般に「民事再生」の方が手間がかかり、「任意整理」より高額です。

債務整理の専門家は、基本的には弁護士か認定司法書士ですが、当然ながら司法書士の方が費用は安いと言えます。ただ、中には悪徳とも呼べる人がいて、2次被害に合うことがあるので十分な注意が必要です。

もし、周囲に借金返済で困っている人がいたら、色々な方法があるから決して悲観しないようにとアドバイスしてください。

※超過利息の引き直し計算:利息制限法の上限金利(10万円~100万円の場合は18%)を超える利息は無効です。例えば出資法の上限金利(29.2%)で利息を支払っていた場合は、その超過利息分を元金返済に充当することが出来、もし超過利息が元金を超えている場合は過払い金として返金されます。

(2008年9月7日)

LLCとLLP

年をとるにつれて会社勤めが色々な意味で難しくなってきます。50歳を超えるような年齢になると、勤めている会社で役員になるか、あるいは外に出て独立するかのどちらかにならざるを得ないような気がします。ところで、会社法になってから株式会社設立のハードルが下がりました。数十万円もあれば誰でも会社を設立でき、社長になれます。

そこで今回は会社、その中でも新しいタイプ会社の話です。

我々に馴染みのある法人の代表格は株式会社です。有限会社はもはや設立できませんので、一人であっても株式会社を設立することになります。具体的な株式会社の設立方法に関しては後日の話題として、他の法人を考えてみましょう。旧商法と会社法の違いは、有限会社がなくなって合同会社が出来たことです。高校の時に勉強した合名会社、合資会社は相変わらず存在します。ただ我々が設立することはまずないので、新しいタイプの合同会社という会社の特徴を見てみたいと思います。

出資額を限度とする有限責任のある社員だけで構成するのが合同会社です。株式会社は基本的にお金だけ出資して、経営は専門家に任せようという発想ですが、合同会社は出資者が自ら経営します。所有と経営が分離していませんが、むしろ小さな会社ではその方が自然ではないでしょうか。特に一人で会社を始めるのに所有と経営の分離もおかしな話です。

合同会社はアメリカに倣った制度で、LLC(Limited Liability Company)と呼びます。合同会社は株式会社と比較すると、会社運営の自由度が高く、組織もシンプルで設立費用も安いというメリットがあります。株式会社だと法定費用だけで24万円かかりますが、合同会社では6万円です。設立を行政書士に依頼する場合には、その費用も当然安くなります。また、株式会社の場合は株主総会の開催など法律上守らなければならないことが多々ありますが、合同会社はそれが少なくなっています。なぜなら、株式会社は所有と経営が分離していますので、所有者(株主)から見ると、経営陣の暴走を許さないような規制が必要になりますが、合同会社は自分で所有して自分で経営するので自己規制、自己責任で済むからです。その他の特徴もありますが、これから会社を起こそうとする人は、必ずしも株式会社だけでなく合同会社というオプションもあるということを覚えておいて損はないと思います。

似て非なるものに、LLP(Limited Liability Partnership)=有限責任事業組合というものがあります。会社法上の会社ではありません。また民法上の組合でもなく、その中間で、「有限責任事業組合契約に関する法律」に定義されています。個人あるいは会社が、上下関係がなく、並列、仲間として集まったようなものです。文字通りCompany でなく、Partnership になります。有限責任で、取締役会や株主総会のような決議なしに、内部の出資者の総意で自由に意思決定が出来るという点ではLLCと同様ですが、法人としての概念をもたず、寄り合い所帯という点では大きく異なります。その結果として、LLPには法人所得、法人税がなく、直接、構成員(個人あるいは会社)に課税されます。構成員全体で上げた利益に課税するというステップがないので、パススルー課税と呼ばれます。言ってみれば利益に対して二度課税されない
ことになります。赤字の場合は直接構成員の費用に計上できるわけなので非常にメリットがあります。

更にLLPとLLCの違いには以下のようなものがあります。
・LLPを立ち上げるには2人以上必要ですが、LLCは1人で作れます。
・LLPは会社法外の組合であり、株式会社への転換はできません。LLCは会
社法の範疇で株式会社に転換可能です。
・LLPは法人ではないので、LLPとしては財産を持ったり、契約をしたり、
不動産登記をしたりということが出来ません。LLCは当然出来ます。
LLPは既に自立、成立している個人事業主、会社が共同で、永続的ではない(一時的な)事業を行うようなイメージです。例えば、広告代理店、映画制作会社、プロダクションや出版社、テレビ会社などが集まって、映画製作のLLPを組成することが考えられます。利益が出れば皆で分け、損失が出れば出資額の範囲で、それぞれの会社、個人がかぶります。

一人で会社を始めるのならLLC、既に個人事業、会社を始めていて、新たに共同で新しい事業を始めるのであればLLPを考えてみることをお勧めします。

(2008年7月19日)

法律系の”士業”

様々な○○士という資格があります。法律系の資格には、弁護士、司法書士、行政書士、社会保険労務士などがあります。それぞれの役割、仕事の範囲は分っているようでいて、なかなか分りにくいものです。

今回はざっくりとその違いに触れます。ただ、どこの世界でも微妙な業際問題はあり、簡単に説明することはきわめて難しいと言えます。以下の内容は参考程度にお読みください。

弁護士が、法律系の資格として代表格なのはご承知の通りです。法廷での被告の弁護が典型的な、弁護士しか出来ない独占業務ですが、その他の法律事件全般を扱います。特には訴訟性を帯びた事件で大きな力を発揮します。

司法書士の大きな業務は登記と裁判書類の作成です。登記には商業登記と不動産登記があります。商業登記では会社設立、運営方法の重要な変更などの各種登記情報を当事者に代理して法務局に手続きをします。不動産登記はご承知のように土地、家屋の売買時にお願いしている業務になります。また、認定司法書士は簡易裁判所の一部の事件で弁護士と同等のことが出来るようになりました。

行政書士は、官公署に提出する書類、その他権利・義務又は事実証明に関する書類の作成、及び代理を行ないます。ただし、他の法律(弁護士法、司法書士法等)において制限されている業務を除きます。明治まで遡ると行政書士と司法書士の根は同じで、代書人という職業になります。一方、弁護士は代言人と呼ばれました。

社会保険労務士は行政機関(主に労働基準監督署、公共職業安定所、社会保険事務所)に提出する社会保険と労務管理に関する申請書、届出書、報告書、審査請求書、異議申立書、その他の書類の作成、提出代理を行います。社会保険労務士は昭和43年に行政書士から分離独立した資格です。現在、行政書士は官公署に提出する書類であっても、社労士の独占業務になっているものを扱うことは出来ません。

司法書士と社会保険労務士は比較的業務範囲が明確です。それに対して行政書士はそれ以外の業務という定義で広いものの、逆に漠としている面があります。また相互に業務範囲の重複があると同時に、それぞれ業務範囲を広げようと各”士業”間で縄張り争いをしている面があります。その点、弁護士はオールマイティ的にほとんどの法的業務をこなせます。

別の観点から大胆に分類すると、弁護士以外の各”士業”が紛争を予防する観点から業務を行うのに対して、弁護士は紛争になってからが本領発揮ということが出来ます。従って、弁護士は紛争を難しくして、裁判に持ち込み自分の仕事を増やす嫌いがあると言われています。注意が必要です。

社会の複雑さ、行政機能の拡大に伴い、多くの法律が出来、結果として様々な書類を作成する必要が出てきました。行政、司法としては、毎回毎回、素人である一般市民に複雑な書類の書き方を教えるのは面倒なので、”士業”という専門職を設置して、その人たちに任せるような仕組みを作ったと言うことが出来ます。

各”士業”が行うことは基本的に本人の代理行為です。ほとんどのことは本人・当事者で処理することが可能です。何も高いお金を払って”士業”に依頼する必要は必ずしもありません。”士業”に依頼するというのは時間と専門知識をお金で買っているようなもので、時間のある人は自分で本を読むなりすれば行えることがかなりあります。企業では個人と比較してスピードが要求されますなので”士業”への依頼も必要と言えますが、個人の場合は自分でトライしてみる価値のあることも多々あります。

もし、”士業”に依頼する場合は、事前に報酬水準を知っておくことをお勧めします。検索サイトで、依頼内容、あるいは「○○士 報酬」で検索すれば、簡単に報酬水準を知ることが出来ます。各”士業”とも独占禁止法により標準報酬テーブルが廃止されています。とは言え、報酬水準というものはあります。見積もりをもらった場合は一般水準と比較して安ければ安い、高ければ高い理由を事前に聞くのが良いと思います。良心的な人はその正当な理由を言うはずです。また、各”士業”の地元の○○士会に連絡すれば、具体的な事務所を紹介してもらえます。その方法が一番安心と言えます。

(2008年6月22日)

本人訴訟、少額訴訟

「どう考えても我慢できない、訴えてやる」と思うことが間々あります。しかし、そう思いながらも時間と費用、手間を考えると出来るわけないな、と同時に思っているのも事実です。ところが、時間も費用も手間もあまりかからずに訴える方法があります。少額訴訟です。

今回は誰にでも出来る(やってみたい)少額訴訟の話です。

少額訴訟は、時間としては1日、費用としては数千円、手間としてはA4用紙1枚という手軽さです。もちろん本人が行う訴訟です。弁護士に依頼したら費用的にも手間的にも大変です。泣き寝入りした方がましでしょう。

基本的に民事訴訟は自分で起こすことが出来ます。契約不履行あるいは不法行為を受けたので損害賠償請求をしたい、というのが民事訴訟の基本的な考え方です。かの三浦和義は弁護士に依頼せず、自ら名誉毀損の本人訴訟を476件起こし、80%が勝訴(15%が時効による却下、5%が敗訴)とのことです。

少額訴訟は民事訴訟の中で60万円までの金銭債務問題のみを扱います。
例えば、以下のような時に利用できます。
・借金を返してくれない
・敷金を返してくれない
・商品を販売したのに代金を支払ってもらえない
・交通事故などの損害賠償金を支払ってもらえない
・アルバイトなどで約束通り給料を払ってもらえない
・...

少額訴訟は、原則として1回の審理で双方の口頭弁論を行い、その日のうちに判決が下されます。裁判官の指揮にしたがって訴訟を進めればよく、たいていの場合特別な知識はほとんど必要ありません。少額訴訟の法廷では、裁判官、原告、被告などすべての当事者が丸いテーブル(ラウンドテーブル)を囲んで座り、対話をするような雰囲気で審理が進められ、精神的な苦痛がなく安心と言われています。少額訴訟とはいえ、訴えが認められれば、必ず仮執行宣言が付くので被告側には支払義務が正式に発生します。それに従わない場合には判決内容の強制執行が可能です。

まさか裁判を起こさないであろうと思っている相手をぎゃふんと言わせるには効果的で、訴状が届いただけで「和解」でトラブルが解決することが多いようです。

60万円以下のトラブルで絶対に許せないと思った時は少額訴訟を起こしましょう。ただ、明らかに勝てるという自信があるときだけにした方が良いかもしれません。

(2008年5月13日)

知的財産権と登録商標

巷にはモノがあふれ、特徴のないモノにはお金を払わなくなってきました。実質価値から付加価値にお金を払うようになってきました。有形資産から無形資産へ。

Intangible asset、知的資産重視の時代です。

以前、知的所有権と呼ばれていたものが現在は知的財産権と呼ばれています。略して「知財」です。知的財産権は以下のように大別されます。
1)産業財産権---以前は工業所有権と呼ばれていたもので、特許権、
実用新案権、意匠権、商標権になります。
2)著作権-----狭義の著作権と著作隣接権です。
3)その他-----肖像権や商号権などがあります。

今回は、知的財産権(知的所有権)の中の産業財産権(工業所有権)の中の商標権の話です。

他から区別する目的で使用する名称やマークを一般用語では標章と言います。標章を商業的に使用すると商標になります。そして、そのうち特許庁で登録されたものが登録商標になります。

製品名の右肩に小さなマルアール(大文字のアールを丸で囲んだもの)とTMという記号を目にすることがあります。分ったようでいて十分にはわかっていない記号です。実は、マルアールもTMも日本の決まりではなく、米国の連邦商標法上で使用が必要とされている記号です。マルアールは登録されている商標を意味し、TMは登録していないものの”商標”として使用していることを意味します。必ずしも出願中である必要はありません。

マルアールをつけることは、『すでに登録済みなので他の人は使用してはいけない』という意味と『無断で使用したら損害賠償請求をする』という2つの意味があります。逆に言うと登録してあってもマルアールをつけていない場合は、他の人が使用しても損害賠償請求が出来ないことになります。また、米国は「使用主義」を採用しており、その標章を商標として使用し始めた時から権利が発生するとされています。その意味でTMマークも重要になるわけです。しかし、いずれにしろそれらは米国の話であり、日本の話ではありません。

日本では、登録された商標を使用する場合には、それが登録商標であることを示す表示をすることが望ましいとされているだけです。よくある、「○○○は△△△株式会社の登録商標です。」というものです。仮に表示をしなくても権利は守られます。更に言えば使用していなくとも権利があります。それを「登録主義」と呼びます。また、同じ商標であれば先に出願をした人に権利があります。(先願主義)日本には、商標に対してマルアールやTMを付けるという法的な要請はありません。ただ、もしもの時に、商標を使用しているという立証に役立つとは言われています。日本で商標登録は弁理士の業務とされています。しかし原則は本人出願であり、一般企業が弁理士に依頼せず自ら出願することも少ないことではありません。

特許庁へ商標登録をする費用ですが、出願時と審査に通った時の登録料の2本建てです。
一つの商標を一つの区分へ出願するという仮定で、
・本人/企業自らが出願する場合であれば、
出願費用が21,000円で登録料が66,000円、合計87,000円で済みますが、
・弁理士に依頼すると、平均的な報酬を加えて、
出願時の費用が88,000円で登録時の費用が111,000円、合計199,000円
と2倍以上になります。

(2008年4月13日)

遺言とは

日経平均株価が急落しているとは言え、日本は徐々にストック社会に移行しています。結果として、人が亡くなる時、何らかの資産を残してしまうことになります。かくして、相続が発生することになります。誰でも黙っていてお金をもらえるのであれば10万円でも多いほうが良いと思うのが人情です。何もしなければ、折角残した資産・遺産で子供、親族などの関係にひびが入りかねません。

立つ鳥、後を濁さず。 遺言をして「立派な旅立ちであった」と言われたいものです。

遺言には3種類あります。
1)自筆証書遺言
2)公正証書遺言
3)秘密証書遺言

1)は自分で勝手に書く方法です。費用はかかりませんが、法的安全性が低いです。2)は法的安全性は高いですが、費用がかかり、“大げさ”と思われがちです。3)は1)と2)の中間で、あまり採用されていないようです。

1)は全文自筆、押印、日付記載など要件がいくつかありますが、勝手に書いて、法的要件を満たさないため、無効になるケースが少なくないようです。1)を選択する場合はしっかり参考書を読むか、専門家に依頼する(数万円から)のが良いでしょう。

2)は公証役場というところに行って、書いてもらいます。遺言内容を公証人に口頭で言う必要がありますし、証人が2名必要なので、何となく敷居が高いです。費用も遺産総額と相続人の数などにもよりますが、例えば1億円で5万円~8万円程度です。

3)は自分で勝手に書くものの、保管だけは公証役場にお願いする方法です。

さて、どの方法で書いたら良いでしょうか?

とりあえず、すぐ亡くなる予定のない方は、1冊本を買って勉強し、「自筆証書遺言」を書くことをお勧めします。近い将来、亡くなる可能性のある方は、法的安全性を優先させ、まず専門家に“無料相談”してみるのが良いと思います。自分に向いた方法を決められるはずです。なお、遺言の専門家とは一般に弁護士か行政書士です。行政書士の方が費用がはるかに安いのでお勧めです。

(2008年3月25日)