高度外国人材を増やす新たな受け入れ策

政府は2月17日、日本で働く高度外国人材を増やす新たな受け入れ策を決定した。
4月の開始をめざす。

在留資格「高度専門職」の取得要件の拡大

  • 研究者と技術者は「修士号以上の取得と年収2000万円以上」もしくは「職歴10年以上と年収2000万円以上」に定める。
  • 経営者は「職歴5年以上と年収4000万円以上」と設定する。
  • 対象になった人は「特別高度人材」となり1年で永住権の申請が可能となる。
  • 雇える外国人の家事使用人を現行の1人から2人に増やす。
  • 配偶者がフルタイムで働ける職種を拡充する内容も盛り込む。

在留資格の「特定活動」に「未来創造人材」を追加

  • 世界上位の大学卒業者の日本企業への就職の促進をする。
  • 現行は「短期滞在」として90日しか認めない滞在期間を2年に延ばす。
  • 英国や中国の機関が出す3種類の大学ランキングのうち2つ以上で上位100位以内に入る大学を卒業してから5年以内の人を対象にする。
  • 家族の帯同も許し、能力のある人が時間をかけて日本での就労を考える機会を用意する。

地方就労で、高度人材ポイント10点

以下のニュースがありました。

  • 政府は、「高度人材ポイント制」を2022年度中に改める予定。
  • 地方が高度な知識や技術を持つ外国人を招きやすくする。
  • 地方の企業での就労経験を10点と換算し、経営者の年収1000万円以上などと同じ扱いとする。
  • 職種は、研究者やエンジニア、経営者など。
  • これまで国家戦略特区の制度の下で、広島県や北九州市など一部の自治体で認めてきたが、これを全国に広げる。
  • 広島県の場合は半導体開発に携わる企業などが外国の技術者を招いている。

「高度人材」最短1年で永住権、3月実施へ省令改正

一定の要件を満たした研究者や技術者などの外国人に対し、日本での在留期間が最短1年で永住権を認める制度を3月にも実施することになった。

  • 1月18日からパブリックコメント(意見公募)手続きを始める。
  • 現行制度の5年を3年に短縮し、さらに80点以上の外国人については1年にする。
  • IT(情報技術)などの成長分野に従事する人材や、高額投資家、トップ大学の卒業者らに対してポイントを加算する措置も設定する。

(2017年1月18日 日経新聞)

「高度専門職」は、最短1年で永住許可へ

「高度専門職」の人が永住許可を取得しやすくなります。

  • 政府は6月の成長戦略に「世界最速級の日本版高度外国人材グリーンカードを創設する」と明記しました。
  • 現時点では、専門知識を持つ高度人材は、永住許可取得に5年の滞在が必要です。
  • この期間を3年に短縮したうえで、一定の条件を満たせば1年での申請を認める方向です。
  • 具体的な認定基準は今後詰めることになりますが「ポイント制で80点以上」という案が出ています。
  • ポイント制も見直し、日本への高額投資や世界トップ級の大学卒業といった実績も上積みとして認める案があります。

「高度専門職」は、2016年6月末時点で2688人が取得。中国籍の人が65%。

(2016年11月16日 日経新聞)

在留資格(ビザ)「高度専門職」が増加

日経新聞10月19日付朝刊に、「高度専門職」(高度人材ポイント制)に関する記事が掲載されていました。

  • 「高度人材ポイント制」という優遇制度が、人口減を踏まえ、高い専門知識や技能を身につけた外国人の受け入れ拡大策として、海外の制度を参考に2012年5月に始まった。
  • 高度人材に係る優遇制度が始まって3年がたち、利用者は導入初年度の6倍の3千人を超える。
  • 最初から最長5年の在留許可をもらえた人もいる。
  • 日本の企業でホワイトカラーとして働く場合、最初の在留期限は1年、長くても3年という例が一般的だ。30代前半で初めから最長5年の在留許可を取得できる例は珍しい。
  • 対象は外資系企業の経営幹部や専門職、企業や大学の研究・開発者、情報技術(IT)の専門家といった職種だ。このうち年齢や学歴、職歴、年収などを点数にして合計が合格点(70点)に達し、国が認めれば「高度人材」となる。
  • 通常10年の在留が必要な永住権の取得が短縮されたり、母国から親や家事使用人などを呼び寄せやすくなったりといった恩恵がある。いきなり最長5年の在留許可をもらえるのも特典の一つ。
  • 61歳で職歴も長いエンリコさんの得点は85点と合格点を大きく上回った。だが「私のようにシニアは高得点を取れても、若い人が70点以上を取るにはよほど高収入でないと」と話す。法務省が公開する高度人材ポイント制の計算表をみると、30歳代前半の年収で最も高い配点は「1千万円以上」で40点だ。「500万~600万円」だと15点で、「500万円未満」となると0点だ。
  • スイスのビジネススクール、IMDの魅力度調査(14年)によると、高度人材が働きたいランキングで日本は60カ国・地域中48位だ。アジアの中でも、シンガポール(3位)や香港(9位)、中国(18位)、タイ(19位)に大きく水をあけられている。

(2015年10月19日 日経新聞)

高度人材外国人

高度人材外国人という在留資格の一類型があります。
2月下旬に高度人材外国人の申請をして、本日やっと認定の連絡が着きました。

単純労働者ではなく、能力が高く、給料の多い外国人を迎え入れたいという政府の方針にも合致しますので、ここ数年、入国管理局では高度人材ポイント制に力を入れています。ただ、位置づけ等が今一つ不明確なためか、その申請・認定人数が思ったほど増えていません。

行政書士の実務研修では、入国管理局の審査官が、「高度人材外国人の申請は優先的に処理しており、審査期間は、1~2週間を目標にしている」と言われていました。また、申請時の受付では、審査期間は2週間が目途です、と言われました。しかし、実際は6週間かかりました。思ったほどには、優先的に処理されていないのかもしれません。

(2014年 4月 7日)

高度人材外国人の申請

東京入国管理局で高度人材外国人の申請をしました。
比較的新しい在留制度の一つとして、高度人材ポイント制というものがあります。学歴、職歴、年収、年齢、保有資格などの基準で点数付けをして、70ポイント以上取得すると高度人材外国人になることができます。2013年6月現在で、高度人材外国人は全国に576人しかいません。高度人材外国人になると、永住者になるための年数の緩和、親の呼び寄せ、配偶者の就労、在留手続きの優先処理等の優遇措置があります。

東京入管では、まず番号札をもらい、いつも通り1時間半程度待って、申請のBカウンターで申請します。しかし、今回はここで終了せず、就労審査部門まで連れて行かれ、そこでまた番号札を引きます。そして待つこと1時間、やっと番号が呼ばれ、書類を渡します。どうやら、すぐにポイントとその証明書類の実質的な審査をするようです。20分ほど待たされ、「これでお受けします。」とのことで、またBカウンターに戻ります。書類を再度提出して更に20分ほど待ってようやく終了しました。9時過ぎに着いて終了したのが12時半頃です。他の在留資格変更等の申請よりはるかに長い時間がかかりました。しかし、何よりも良いことは結果の連絡が2週間後に来るということです。通常数か月の審査期間が2週間になるのは大きなメリットです。

高度人材外国人になってからも在留手続きは優先的に行われ、期間が短縮されます。ディズニーランドファストパス、空港のビジネスクラスのチェックインカウンターのようなものかもしれません。通常の就労に関わる在留資格の上乗せ資格のようなもので、取得しなくても良いものですが、優遇措置にメリットを感じる人で、要件に該当する人は、手間をかけても取得する価値はあると思われます。

(2014年 2月24日)

高度人材ポイント制

優れた技術者や研究者を海外から日本に呼び込む制度である高度人材ポイント制が、条件が厳しいこともあり、利用件数が伸び悩んでいます。2012年5月に始まり、高度人材外国人として認められた人数は、開始12ヶ月時点の目標が2,000人のところ、開始11か月時点で434人です。高等教育を受けた人口に占める外国人移住者比率は、オーストラリア28%、欧米主要国は10%台、日本は先進国最低の0.7%です。

制度の概要

高度人材に対するポイント制による優遇制度とは,現行の外国人受入れの範囲内で,経済成長や新たな需要と雇用の創造に資することが期待される高度な能力や資質を有する外国人(=高度人材)の受入れを促進するため,ポイントの合計が一定点数に達した者を「高度人材外国人」とし,出入国管理上の優遇措置を講ずる制度です。主な対象者は、以下の3タイプです。

  • 企業と大学の研究者
  • ITや工学の技術者
  • 外資系企業の幹部

ポイント評価

申請人の希望に応じ,高度人材外国人の活動内容を

  • 学術研究活動
  • 高度専門・技術活動
  • 経営・管理活動

の3つに分類し,それぞれの活動の特性に応じて,
「学歴」,「職歴」,「年収」,「年齢」、「研究実績」
などの項目ごとにポイントを設定し,評価を実施します。例えば、
学歴が修士号(20点)、職歴が5年(10点)、年収が900万円(35点)、年齢が30~34歳(10点)
で合計70点以上になり、高度人材外国人と認定されます。

優遇措置

ポイント評価の結果,70点以上の高度人材外国人には,以下の出入国管理上の優遇措置が付与されます。

  • 複合的な在留活動の許容
    研究者が自分の研究成果を使ってベンチャー企業を立ち上げ、経営することができます。
  • 5年の在留期間の付与
  • 在留歴に係る永住許可要件の緩和
    概ね5年で永住許可の対象となります。
  • 一定の条件の下での高度人材の親の帯同の許容
    年収1,000万円以上で、子どもが2歳以下などの要件
  • 一定の条件の下での高度人材に雇用される家事使用人の許容
    年収1,500万円以上で、メイドの月収20万円以上、子どもが12歳以下などの要件
  • 高度人材の配偶者の就労
  • 入国・在留手続の優先処理

(2013年 9月30日)