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目次
借用書(金銭消費貸借契約書)
- 金銭を貸し借りする際の契約書
>「金銭消費貸借契約書」(借用書)
- 金銭の貸し借りがあることを合意して、返済を約束する契約書
>「債務弁済契約書」
金銭トラブルの対処方法
世の中はお金で回っている面がありますので、どうしても金銭トラブルに巻き込まれることがないとは言えません。金銭トラブルを起こさない、あるいは起こっても大きな問題にならないようにするには、まずはしっかりと契約書を結ぶことが必要です。
金銭トラブルが起こってからの対処方法には以下のようにいくつかあります。
- 内容証明郵便
- 支払督促
- 民事調停
- 少額訴訟
- 民事訴訟
相手、金額、状況等に応じて、どの方法を採用するかを決めなくてはなりませんが、専門家のアドバイスを受けながら進めるのが良いでしょう。
内容証明郵便
口頭、メール、手紙等で解決の糸口が見えないようであれば、まずは内容証明郵便を出すのが最初のステップです。内容証明郵便の趣旨は、「もし返済してもらえないのであれば法的手段に訴えます。」ということであり、宣言書、最後通牒的な意味を持ちます。相手が、法的手段に訴えられるのが嫌な人であれば、この内容証明郵便を出すことにより、解決に向かうことになります。
内容証明郵便に関しては、以下を参照してください。
>内容証明郵便
支払督促
- 簡易裁判所経由で支払督促を行います。
支払督促とは、債務者の住所地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官を通じて債務者に対して債務を支払うように督促する制度です。
郵券を除いて、費用は通常訴訟の半額であることが利点ですが、異議申立てをしてくる可能性が高いのであれば、最初から通常訴訟にする方がかえって手間がかかりません。簡易裁判所に支払う総費用は、請求額100万円程度で6,500円程度です。
異議申立てがない場合
- 異議申立てがない場合は仮執行宣言の申立をします。
一定期間(2週間)の間に、債務者から「異議」申立てが無ければ、次に、仮執行宣言の申立て手続きをします。 - 更に、異議申立てがない場合は仮執行宣言付支払督促が確定します。
一定期間(2週間)の間に、債務者から「異議」申し立てがなければ、仮執行宣言付支払督促が確定します。 - 強制執行が可能です。
仮執行宣言付支払督促が確定すれば、それが債務名義となり、裁判をしなくても強制執行(差押)が可能になります。
異議申立てがある場合
- 異議申し立てがあると裁判手続きへ移行します。
債務者が「異議」を述べた場合には自動的に裁判手続きへ移行します。
裁判管轄は、支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所、または、その所在地を管轄する地方裁判所になります。
つまり、債務者の住所地を管轄する裁判所での裁判手続になります。- 事件記録符号が、(ロ)から、簡易裁判所(ハ)又は地方裁判所(ワ)になります。
- 「債務者より督促異議がありました。追って補正の連絡をいたします。」というハガキが着きます。
- そして、支払督促申立者へ「補正依頼書」という書面が送られてきます。
1ヶ月経っても何の連絡もなければ、裁判所に電話します。 - 補正依頼書には、2週間以内に以下のものを提出してくださいと記載されています。
- 訴状に代わる準備書面(正本・副本)と証拠(正本・副本)
- 郵便切手
- 収入印紙
- 準備書面の記載に形式的、実質的な不備がなければ、1~1ヶ月半後に第1回口頭弁論期日が決められます。
- 第1回口頭弁論期日に被告が欠席し、かつ、答弁書を提出していない場合、又は、被告が請求の原因をすべて認めた場合、通常、1週間後に原告の請求を認める判決(原告勝訴)が言い渡されます。
- 一方、被告が請求の原因について、1つでも否認した場合は、否認された事実について原告が立証等することになり、裁判が長引くことになります。
- 本人訴訟
弁護士に依頼するには貸金が少額の場合は本人訴訟とします。
本人訴訟といっても難しいことはありませんし、費用も低廉です。
ただ、訴訟の当事者になるということと、ある程度時間が取られるということの覚悟は必要です。
少額訴訟
基本的に民事訴訟は自分で起こすことが出来ます。契約不履行あるいは不法行為を受けたため損害賠償請求をしたい、というのが民事訴訟の基本的な考え方です。少額訴訟は民事訴訟の中で60万円までの金銭債務問題のみを扱います。
例えば、以下のような時に利用できます。
- 借金を返してくれない
- 敷金を返してくれない
- 商品を販売したのに代金を支払ってもらえない
- 交通事故などの損害賠償金を支払ってもらえない
- アルバイトなどで約束通り給料を払ってもらえない
少額訴訟は、原則として1回の審理で双方の口頭弁論を行い、その日のうちに判決が下されます。裁判官の指揮にしたがって訴訟を進めればよく、たいていの場合特別な知識はほとんど必要ありません。少額訴訟の法廷では、裁判官、原告、被告などすべての当事者が丸いテーブル(ラウンドテーブル)を囲んで座り、対話をするような雰囲気で審理が進められ、精神的な苦痛がなく安心と言われています。少額訴訟とはいえ、訴えが認められれば、必ず仮執行宣言が付くので被告側には支払義務が正式に発生します。それに従わない場合には判決内容の強制執行が可能です。
訴えを起こす側
- 訴訟は,原則として,相手方の住所のある地区の裁判を受け持つ簡易裁判所に起こします。例えば,相手方の住所が東京23区内にある場合には,東京簡易裁判所に訴訟を起こします。
- 少額訴訟手続の審理では,最初の期日までに,自分のすべての言い分と証拠を裁判所に提出します。また,証拠は,最初の期日にすぐ調べることができるものに制限されています。
- 原告の言い分を認めるかどうかを判断するだけでなく,一定の条件のもとに分割払,支払猶予,訴え提起後の遅延損害金の支払免除などが命じられます。
- 少額訴訟手続の判決に対しては,同じ簡易裁判所に異議の申立てをすることができますが,地方裁判所に控訴をすることはできません。
訴えを起こされた側
- 訴えを起こされた側には,裁判所から訴状,口頭弁論期日呼出状,少額訴訟手続の内容を説明した書面等が送られます。
- 少額訴訟手続による審理を希望しない場合には,簡易裁判所の通常の手続による審理を求めることができます。その場合には,最初の期日において弁論をするまでに,訴訟を通常の手続へ移行させる旨の申し出をしなければなりません。
- 答弁書を提出しないまま,決められた裁判の期日に出席しない場合には,原告の言い分どおりの少額訴訟判決が出る可能性があります。
手続き
- 少額訴訟手続は、原則として,1日で裁判が終わるようにしなければなりません。そのため、双方から裁判所に対し,事前に必要な事情を、事情説明書という形式で提出します。
- 訴訟の途中で裁判所で話合いをし,相手方との間で分割払の約束をするなど,和解の方法により解決することもできます。
少額訴訟終了後
- 当事者が判決を受け取った日の翌日から起算して2週間以内に異議を申し立てない場合、判決が確定します。少額訴訟の判決には,「この判決は,仮に執行することができる」旨の仮執行宣言が付されます。
- 原告と被告は,いずれも少額訴訟判決に対し不服がある場合には,少額訴訟判決をした簡易裁判所に異議の申立てをすることができます。異議後の審理は,少額訴訟の判決をした裁判所と同一の簡易裁判所において,通常の手続により審理及び裁判をすることになります。
- 訴訟の途中で話合いをして和解が成立すると,裁判所書記官がその内容を記載した和解調書を作ります。和解調書の効力は確定した判決と同じであり,相手方が和解で約束した行為をしない場合,もう一方は,和解の内容を実現するため,強制執行を申し立てることができます。
少額訴訟債権執行/差押え
①債権者が債務者に対して、少額訴訟手続きで債務名義(判決、和解調書など)を得ます。
↓
②債権者が簡易裁判所に対して、少額訴訟債権執行の申立てをします。
↓
③簡易裁判所が、債務者が第三債務者(勤務先、銀行)に対して有する債権(給与、預金等)に対して、差押処分を行います。
民事訴訟
以下、東京簡易裁判所の民事訴訟の手続きの概要です。
- 訴状
- 連帯保証人がいる場合は、被告2にも書き、紛争の要点の連帯保証人にチェックします。
- 訴状2枚は綴じて契印、または下部にページ付けします。
- 訴状は1部コピーして2部提出しますが、2部ともに認印押印が必要です。
- 提出する部数
基本は2部ですが、連帯保証人1人につき1部追加します。添付資料も同様です。 - 裁判所の手数料
100万円までは、10万円ごとに千円です。
収入印紙を購入して、訴状1部の1枚目の余白に貼ります。 - 予納郵券(切手)
5,625円分で内訳は以下の通りです。
500円切手と100円切手が8枚、及び82円、50円、20円、10円、2円、1円切手が各5枚ずつ
連帯保証人がいる場合は、1人につき2,164円(500円切手を4枚、82円を2枚)追加します。 - 送付
訴えは、原則的に被告の住所地の裁判所に起こします。
宛先は霞が関簡易裁判所の民事事件係とします。 - 送付後
1週間程度で相手側に連絡がいきます。
もし、切手、情報、書面等が不足している場合は、原告の方に連絡がきます。
判決
口頭弁論から2週間ほどすると判決が行われ、その調書がおくられてきます。特に、貸したことに対する争いがないようであれば、主文に以下のように書いてあります。
- 被告は、原告に対し、○○万円を支払え。
- 訴訟費用は被告の負担とする。
- この判決は仮に執行することができる。
その後の流れには、以下の3つ考えられます。
- 被告が2週間以内に不服の申立てをします。
具体的には、地方裁判所へ控訴することになるので、争いが続くことになります。
2週間以内の基準日は、調書が到着した日の翌日です。 - 被告が2週間以内に不服の申立てをしないと判決が確定します。
被告が借りた金銭を返済すれば良いですが、返済しない場合は、原告が被告に対して強制執行の申立てをします。 - 「仮に執行することができる」とあれば、判決書が到着次第、原告は被告に対して強制仮執行の申立てができます。
簡易裁判所で取り扱っている民事事件
- 支払督促:書類審査で行う迅速な手続
申立人の申立てに基づいて、裁判所書記官が金銭の支払を督促する手続です。相手方がこれに異議を述べると、訴訟手続に移行します。 - 民事調停:話合いで解決を図る手続
裁判官と一般人から選ばれた調停委員からなる調停委員会が合意をあっせんし、当事者の話合いによる紛争の適切妥当な解決を図る手続です。 - 少額訴訟:原則的に、1回の審理で行う迅速な手続
60万円以下の金銭の支払を求める場合に利用できる特別な民事訴訟手続です。 - 民事訴訟:判決によって解決を図る手続
裁判官が、法廷で、双方の言い分を聴いたり、証拠を調べたりして、最終的に判決によって紛争の解決を図る手続です。
少額訴訟と通常の民事訴訟
簡易裁判所では、60万円までの少額訴訟と140万円までの通常訴訟を扱います。少額訴訟は、通常訴訟との違いとして、以下のように説明されています。
「少額訴訟は、民事訴訟のうち,60万円以下の金銭の支払を求める訴えについて,原則として1回の審理で紛争解決を図る手続です。即時解決を目指すため,証拠書類や証人は,審理の日にその場ですぐに調べることができるものに限られます。法廷では,基本的には,裁判官と共に丸いテーブル(ラウンドテーブル)に着席する形式で,審理が進められます。」
簡易裁判所には、様々な訴訟が提起されるわけですが、60万円以下の支払いを求める簡単な訴えが多いため、その種の事件だけに限定して簡便な手続きを設定しました。
しかし、少額訴訟も訴訟には違いないので、裁判所に支払う手数料は同額です。たとえば、少額訴訟の上限の60万円であれば、少額訴訟も通常訴訟も6千円になります。
25万円の貸金債権が、2本ある場合、少額訴訟では2件の訴訟を別々に起こす必要があり、手数料は3万円ずつの計6千円になります。それに対して、通常訴訟では、合計50万円の訴訟を1件起こせばよく、手数料は5千円です。
一般に、少額訴訟2件より、1件の通常訴訟の方が訴訟の手間は少ないです。つまり、ケースによっては、裁判所への手数料の観点からも、手間の観点からも、少額訴訟より通常訴訟を選択する方が良いということが言えます。
なお、支払督促の簡易裁判所に支払う手数料は、訴訟の半額なので、50万円のケースでは、2,500円です。
利息と遅延損害金
返済期限までに返済されないときは、遅延損害金を請求することができます。遅延損害金は利息の1.46倍が上限ですが、金銭消費貸借契約書で利息の記載がある場合とない場合で異なってきます。
- 金銭消費貸借契約書で、利息の記載を全くしていない場合
商人間では利息付(年6%)になりますが、個人の場合は無利息となります。
無利息の場合の遅延損害金は法定の年5%になります。 - 金銭消費貸借契約書で、利息の定めはあるが、利率の定めがない場合
商人間では年6%ですが、個人の場合は年5%になります。
遅延損害金は、それぞれ利率の1.46倍になります。
連帯保証人の追加と代位弁済
債務者の状況によっては、連帯保証人の追加が必要になる場合があります。そのような場合は、連帯保証人を追加して、新たに準消費貸借契約書を公正証書で作成、締結することになります。
債務者が返済しない場合、子、親など第三者にその借金を返済してもらう方法があります。代位弁済という方法で、望ましくない人に債権が移るのを防ぐため、債務者の同意が必要になります。第三者が債務者に代わって弁済した場合、債権者がその第三者に移り、債務者に対して求償権を持つことになります。
参考情報
- 日本司法支援センター 「法テラス」
- 0570-078-374
- 国が設立した法的トラブル解決の総合案内所です。
- 直接、弁護士に相談ができます。
- 町田市 法律に関する無料相談
- 042-724-2102
- 30分以内で弁護士が対応
- 月・金曜日=午後1時30分~4時
火・水・木曜日=午前9時~11時30分、午後1時30分~4時
ただし、第2、第4水曜日の午後を除く
- 簡易裁判所相談センター
- 03-3581-5289
- 民事訴訟費用
訴訟の目的の価額が100万円までの部分に関しては、その価額10万円までごとに1000円になります。
少額訴訟の上限60万円の場合- 通常訴訟 6千円
- 少額訴訟 6千円
- 支払督促 3千円
Q and A
Q:大家にしつこく絡まれ、引越しを余儀なくされました。少額訴訟を起こしたいのですが可能でしょうか?
A:
まず、少額訴訟とは、民事訴訟のうち,60万円以下の金銭の支払を求める訴えについて,紛争解決を図る簡易的な手続です。
今回の引越しが大家さんの言動が原因だということが証明でき、引越しによって発生した精神的、金銭的損害額として60万円以下を請求するのであれば少額訴訟は可能です。
以下の進め方が考えられます。
・裁判で勝つには証拠が必要です。スマートフォンのLineと電話の着信履歴で勝つと確信できるなら、進めるべきですが、負けるかもしれないと思うのであれば諦める方が良いかもしれません。
・勝つと確信できるのであれば、まず、「これこれの理由で○○万円を請求します。もしお支払がない場合は訴訟を提起します。」という内容証明郵便を送るのが良いと思います。
・人によっては、訴訟を起こされるのは嫌なので、和解を選び、○○万円、又は少し減額して□□万円を貴方に支払って終了するかもしれません。
・人によっては、訴訟を起こされても負けないだろうと思い、内容証明郵便を無視します。
・無視されたら、貴方は、簡易裁判所に、「大家さんは、これこれの理由で、金○○万円を私に支払え。」という少額訴訟を起こします。
・実際に訴訟を起こされると、多くの場合、相手は嫌だと思うので、訴訟を起こされた段階で、和解を選び、○○万円、又は少し減額して□□万円を貴方に支払って終了する可能性があります。
・相手があくまで争う気であれば、最終的には判決となります。
・貴方の言い分、証拠が認められれば、○○万円又は少し減額された□□万円の勝訴判決を得ます。
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