兄弟相続の戸籍の取得、収集、取り寄せ

  • 兄弟相続の戸籍謄本類を収集していますが、おそらく30~40通くらい収集しないといけません。
  • まず、大前提として、被相続人の出生から死亡までの戸籍類が必要です。
  • 大変なのは、両親の出生から現在(又は死亡)までの戸籍類を収集することです。
  • 更に、相続人である兄弟の現在又は死亡までの戸籍類が必要です。
  • その上、その兄弟が死亡している場合は、代襲相続人としてその子の出生から現在又は死亡までの戸籍類も必要です。
  • 今回のように、被相続人が高齢で亡くなり、兄弟が多い場合、両親の戸籍収集も大変ですが、亡くなった兄弟の子である枝分かれした代襲相続人の戸籍収集に大変時間がかかります。
  • 一般の方がこの戸籍収集をするのは至難の業に近いと思います。
  • 相続のルール自体を考え直さないといけないような気もします。

法定相続情報一覧図、完了までに3週間

本日、4月27日、法務局に、法定相続情報一覧図の申し出をしました。
完了予定日が、3週間後の5月18日とのことで、あまりに遅いので驚きました。
理由は、ゴールデンウィーク(ステイホームウィーク)、及び自粛による交代勤務でスタッフが少ないからのようです。
今の時期、すべてがスローになっているのでやむを得ないのでしょう。

相続法改正に係る段階的施行日

2018年、平成30年の相続法改正に係る段階的施行日

  • 2019年1月
    • 自筆証書遺言の方式の緩和(財産目録はパソコン入力可、自署、押印は必要)
  • 2019年7月
    • 被相続人の介護や看病に貢献した親族(例えば子の配偶者など)が金銭請求可能に
    • 自宅の生前贈与が特別受益の対象外に(結婚期間20年以上)
    • 遺産分割前に被相続人名義の預貯金が一部払戻し可能に
    • 遺留分制度の見直し(遺留分減殺請求から遺留分侵害額請求へ)
  • 2020年4月1日
    • 配偶者居住権、配偶者短期居住権の新設
  • 2020年7月10日
    • 法務局による自筆証書による遺言書の保管制度が開始

相続分の譲渡は贈与として特別受益

相続分の譲渡は贈与であるとし、特別受益とみなし、遺留分減殺請求ができるという判決がありました。
以下は、分かりやすく簡略化してあります。

  • 父A、母B、子X、子Yとします。
  • 父Aが亡くなったとき、相続財産が1000万円あり、母Bは自己の法定相続分である1/2の500万円を子Xに譲渡しました。
  • 更に、母Bが亡くなったとき、相続財産がなかったので相続財産の分割は行われませんでした。
  • このとき、母Bが父Aの相続時に子Xに譲渡した相続分500万円を贈与とみなし、その遺留分として1/4の125万円を、子Yは子Xに対し請求できるということになります。
  • 子Xは、500万円は父Aから直接相続したものであって、母Bから具体的財産を贈与されたものではない、と主張しましたが、退けられました。

民法(相続関係)改正法の施行期日

民法(相続関係)改正法の施行期日は以下のとおりです。

(1) 自筆証書遺言の方式を緩和する方策
2019年1月13日
(2) 原則的な施行期日
2019年7月 1日
(3) 配偶者居住権及び配偶者短期居住権の新設等
2020年4月 1日

>法務省「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律の施行期日について」

>法務省「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)」

相続に係る民法改正が成立

相続分野の規定を約40年ぶりに見直す改正民法など関連法が7月6日、参院本会議で可決、成立した。
法改正のポイントは3つ。

  • 1つ目は、残された配偶者の保護を手厚くしたこと。
    • 残された配偶者が自身が死去するまで今の住居に住める「配偶者居住権」を創設し、生活資金を確保しやすくする。
    • 居住権を得られれば、残された配偶者は住まいを確保するために住居の所有権を取得する必要がなくなる。
    • それにより、遺産分割においては、預貯金など他の遺産の取り分を増やし、老後の生活資金にあてることも可能になる。居住権のみなら、所有権を取得する場合よりも評価額が低くなることによる。
    • 婚姻期間20年以上の夫婦であれば、住居を生前贈与するか遺産で贈与の意思を示せば住居を遺産分割の対象から外す優遇措置も設けた。それにより、実質的に配偶者の遺産の取り分は増えることになる。
  • 2つ目は、介護や看護をした人に報いる制度を盛り込んだこと。
    • 被相続人の死後、相続人以外で介護や看護をしていた人が、相続人に金銭を請求できるようにする。
    • 息子の妻が義父母を介護していたケースなどを想定する。
  • 3つ目は、自筆証書遺言の利便性と信頼性を高めること。
    • 自筆証書遺言は、作成過程に公証人がかかわる公正証書遺言と異なり、被相続人が自分一人で自由に書くことができる。ただ、内容に問題があっても死後まで分からず、無効になるケースがある。
    • 本人が自宅に保管したり、金融機関の金庫に預けたりしているため、相続人が存在を知らないケースもある。
    • 今後は、全国の法務局で遺言を保管できるようにし、相続をめぐるトラブルを未然に防ぐようにする。
    • なりすましが起こらないよう、預ける本人が法務局に出向き、遺言書保管官が本人確認をする。日付や名前が記載され、印鑑が押されているかどうかなども事前にチェックされる。
    • 法務省によると、法務局に預ける際は一定の手数料がかかる。額は調整中だが数千円程度が想定されている。
    • 近年、公正証書遺言が増加しているが、公正証書遺言では、遺言の内容により、通常5万円程度以上の手数料が必要なことが多い。
    • 新しい自筆証書遺言の制度は、手数料の額が低いため、遺言を遺す新たな層を掘り起こす可能性がある。
    • 自筆証書遺言の存在が遺言者の死後に相続人に時間を置かず通知される仕組みも不可欠になる。
    • 戸籍やマイナンバーと連動させたシステムを検討し、死亡届が提出された場合、法務局から相続人に通知できるようにする。紛失などのリスクを減らし、利便性を高める。
    • 2020年7月までに順次施行する。

相続人に未成年の子がいるとき

若くして交通事故などで亡くなるケースがあります。
相続人が30代前半の配偶者(奥様)と小さな子供の場合、不動産の相続登記に関して話が少し複雑になります。

  • 法定相続にするとき
    • 共有で子供が権利を得ることになるので、特に問題がなく、母親が登記申請をすることができます。
  • 母親が単独所有にするとき
    • 今後、ずっと母親が子供の面倒をみるので、処分等のとき便利なように、母親一人の単独名義にする場合があります。
    • この場合、相続人である未成年の子には特別代理人の選任申し立てをする必要があります。
    • そして、未成年の子に代わって、特別代理人が、母親の単独相続に対して合意をすることになります。
    • 考慮しなくてはいけないことは、まだ母親が若いので、再婚の可能性があることです。
    • 再婚してその相手との間に子ができた場合の相続を想定しておく必要があります。
    • その母親が亡くなったとき、再婚した夫が存命中かどうかにより割合は異なってきますが、いずれにしろ当初の子の相続割合は少なくなってしまいます。
    • 周囲の人も、特別代理人もそこまで考慮に入れて、判断する方が良いと思います。

相続手続きがやや簡素化されます。

法務省は5月から新たに「法定相続情報証明制度」という仕組みを導入する予定です。

相続時に行う不動産の所有権変更登記、銀行、証券会社などにおける解約などをするとき、遺言がない場合には、基本的に被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍を集め、それぞれの機関に原本を提出する必要があります。これが結構大変です。

  • まず、出生まで遡って戸籍を集めるのが大変です。
  • 更に、それぞれの機関に原本を提出するので、郵送のときはその原本が戻ってくるまで待たないと次の手続きができません。
  • 法務局、銀行、証券など各機関では、全く同じように戸籍の確認をするので社会的な時間の損失という面もあります。

今後は、出生から死亡までの戸籍と相続関係説明図を法務局に提出すれば、新しい証明書を受け取ることができるようになります。
その後の銀行、証券などでの手続きでは、被相続人の出生から死亡までの戸籍の代わりに、新しい証明書を提出すれば、相続手続きをしてもらえることになります。

この新しい「法定相続情報証明制度」のメリットは以下のとおりです。

  • もし、銀行、証券などにこの新しい証明書の写しを提出すれば良いのであれば、原本が戻ってくるまで待つことなく、複数の解約手続きを並行で行えます。結果として、相続手続期間がかなり短縮されます。
  • 銀行、証券側は出生から死亡までの戸籍の確認をする手間がなくなります。この社会的コストの削減が最も大きな効果だと思います。

この新しい「法定相続情報証明制度」の留意点は以下のとおりです。

  • 相変わらず、被相続人の出生から死亡までの戸籍を集める手間はなくなりません。相続人側からするとここが最も大きな負担なので、その点から言えば、この新しい制度は肩透かしのようなものです。
  • 銀行、証券に新しい証明書の原本を提出しないといけないのであれば、やはり返送されるまでの間、次の手続きは止まってしまいます。
  • 不動産があるときは、最初に相続登記を行い、この新しい証明書を取得すれば、その後の銀行、証券の手続きは少し軽くなります。(あくまで少しです。)
  • もし不動産がないときは、この証明書を取得するために法務局に行くという新たな手間が増えてしまいます。不動産のない相続においては、この新制度のメリットは限定的なものになってしまいます。

この新制度で最も大きな恩恵を受けるのは、おそらく、銀行、証券など金融機関の相続センターの担当者だと思います。

預金も遺産分割対象に 最高裁、判例見直しへ

  • 裁判の判例では、預貯金を遺産分割の対象としませんでした。
  • つまり、不動産や株式といった他の財産と関係なく、法定相続の割合に応じて相続人に振り分けられると考えられてきました。
  • 一方、話し合いや調停などでは、預金を含めて相続財産の配分を決めるのが一般的です。
  • 裁判と実務で大きなかい離がありましたが、裁判所の方が実務に歩み寄ることで統一が図られそうです。
  • 最高裁は今年3月、審理を大法廷に回付しました。
  • 大法廷は判例を変更する場合などに開かれるため、判例が変更される方向です。
  • 決定は早ければ年内に出る見通しです。

(2016年10月20日 日経新聞より)

相続した不動産の譲渡所得

相続税は相続時の価格に対して課税されますが、所得税は被相続人の購入金額と相続人の売却金額の差額に対して課税されます。

譲渡所得の計算は、不動産の所有期間によって異なります。所有期間が5年超(長期)の場合と5年以下(短期)の場合では税率が異なり、短期譲渡にかかる所得税は、長期譲渡にかかる所得税の約2倍です。
譲渡にかかる所得税、住民税は次のように計算します。
長期譲渡の場合:{譲渡金額-(取得費+譲渡費用)}×20.315%
短期譲渡の場合:{譲渡金額-(取得費+譲渡費用)}×39.63%

取得価額を示す資料が見当たらない場合、税務署は譲渡価額のわずか5%しか必要経費として認めません。

相続開始の10年前に7000万円で土地建物を購入し、減価償却を加味した後の取得費は6000万円とします。そしてこの土地建物を息子のAさんが相続後4年目に1億円で売却したとします。

領収書がある場合の税額は(1億円-6000万円)×20.315%=約812万円。
領収書がない場合の税額は1億円×(100%-5%)×20.315%=約1929万円。

領収書がないと5%しか必要経費が認められないため、約1117万円も多く税金を払うことになります。

(2016年9月14日 日経新聞)