ホワイトカラー・エグゼンプション

厚労省が労働政策審議会で、ホワイトカラー・エグゼンプションに関する報告書案を示しました。

  • 対象年収は、1075万円以上
  • 対象の職種は、金融ディーラー、アナリスト、金融商品開発、コンサルタント、研究開発職
  • 本人の同意と以下のいずれかを選択することが条件
    • 年104日以上の休日
    • 1ヶ月又は3ヶ月間の労働時間に上限を設定する
    • 1ヶ月間の深夜労働を一定回数以下にする

個人的に言えば、”今更”という気がします。大分以前から、時間ではなく成果に対して報酬を支払っている会社が多いのではないでしょうか。机に向かっている時間で報酬を支払われるのはどう考えてもおかしいと思います。机に向かってぼんやりしている場合だってあるわけですので。
裁量労働制も含めて、この傾向は今後も進むと思います。ホワイトカラーの人は、効率的に働いて成果を出すことがますます求められます。精神的なタフさが必要になります。

【日経新聞2015年2月7日(土)朝刊第1面より】

保険ショップ規制導入

金融庁は複数の保険商品を扱う「乗り合い代理店」に対する販売規制を2016年春に導入するとのことです。何となく怪しそうな感じがしていた業種でしたが、やはりという感じです。
以下のような疑義があるようです。

  • 販売が特定の商品に偏りすぎていないか
  • 契約者への勧め方が適切か
  • 保険会社から割高な手数料を受け取っていないか
  • 中立を装って手数料の高い保険ばかり勧めていないか
  • お客が検討していた保険よりも保障内容が劣る商品を勧めていないか
  • 代理店の売りたい保険を勧めていないか
  • 販売員の商品知識にばらつきがないか

保険は、長期、高額、複雑なので相当な注意が必要そうです。

【日経新聞2015年2月6日(金)朝刊第1面、第3面より】

劇場型未公開株詐欺事件が増加

本日の日経新聞に未公開株詐欺が急増しているという記事が掲載されていました。何人もがぐるになって綿密に筋書きを描いて皆がそれぞれのパートを演じ切るようです。そこで、劇場型詐欺と呼ばれるそうです。

元々、登録していない未公開株取引業者は存在自体が違法です。ただ業法上違法であっても、一般に契約自由の原則があり、民事上被害者と締結した契約は有効になります。その有効な契約を詐欺を理由にして取り消すには、取り消す側の被害者が相手の詐欺を立証する必要があります。主張する被害者側に立証責任があるというのが原則です。結構、酷な話しです。当然相手にも弁護士が付きます。合意してお金を支払っているので被害者側からの詐欺の立証が結構難しいことになります。

そこで立証責任を転換しようという話になりました。向こうは違法な存在なのだから”詐欺ではない”と立証できなければ、契約を無効にしてしまおうということです。論理的に立証する側は難しく不利になります。攻撃する側は論理のほころびを追求すれば良いので有利になります。”詐欺ではない”と立証できなければ契約は取り消され、存在しなかった初めの状態に戻さなければなりません。つまりお金を全額被害者に戻す必要があります。

一般市民感覚からすると、誰が見ても詐欺だから契約は無効で当然のように思えます。法律の世界、弁護士の世界に入ると必ずしもそうでもなくなります。悪いことをする側が往々にしてお金をたくさん持っていることが多く、優秀な弁護士はお金で雇うことが可能だからです。巨悪を弁護する弁護士がいるのにいつも不思議な感覚を持ってしまいます。

2011年4月 7日(木)