遺言がある場合
現在の民法では、遺言を遺すことが予定されています。従って、遺言があれば遺言が優先され、基本的には遺言どおりに遺産が分割されることになります。但し、遺留分などの一定の制約はあります。
遺言がない場合
遺言がない場合は、相続人で協議、合意し、遺産分割協議書を作成した後、そのとおりに分割します。どのように合意しても構わないのですが、利害がぶつかる可能性が高いです。そこで民法は詳細に法定分割を規定しており、それを基準に分割することになります。
遺言はあるが、異なる分割をしたい場合
遺言が遺されてはいるものの、異なった分割をしたい場合が時にあります。遺言は尊重されるべきですが、それとは異なった分割をすることは可能です。但し、当然ですが、相続人及び遺贈を受ける者など利害関係者全員の合意が必要です。財産相続を受ける誰からも異議申立てがされないことが前提です。被相続人は異を唱えたいでしょうが、「死人に口なし」ということなのでしょう。
2011年6月11日
相続欠格と廃除
相続欠格
一定の非行を行った相続人は当然に相続権を失います。
以下の5つの場合です。
- 被相続人の遺言を偽造、変造、破棄、隠匿した
- 詐欺や強迫により、被相続人に遺言させたり、前にした遺言の取消しや変更をさせた
- 詐欺や強迫により、被相続人が遺言をすることや、前にした遺言の取消し、変更を妨害した
- 被相続人が殺されたことをしりながら告発や告訴をしなかった
- 被相続人や先順位又は同順位の相続人を殺したり、殺そうとして刑を受けた
廃除
推定相続人に、被相続人を虐待するなどのひどい非行がある場合、被相続人の意思により相続権を奪うことができます。
以下のようなケースです。
- 被相続人に対する虐待
常態的に罵声を浴びせたり、殴る、けるの暴行を加えた
寝たきりの親を看護せず、食事も与えず衰弱させた
など
- 被相続人に対する重大な侮辱
日頃から人目もはばからず親を無能呼ばわりした
私的な秘密を公表し、名誉を傷つけた
など
- その他の著しい非行
定職に就かず、繰り返し親に金を無心したり財産を盗んだりした
夫と子を棄て、愛人と同居していた
など
生前に廃除を行う場合には、被相続人が家庭裁判所に廃除請求を申し立てる。
死後で廃除を行う場合には、遺言で廃除の意思表示をし、遺言執行者が家庭裁判所に廃除請求を申し立てる
2011年6月 8日