遺言の基礎知識

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問合せ

遺言を遺すメリット

遺言には、以下の3種類があります。

  1. 公証人に作成してもらう「公正証書遺言」
  2. 自分で作成する「自筆証書遺言」
  3. 遺言の内容を秘密にできる「秘密証書遺言」

当事務所では、これら遺言書の作成支援を行います。

  • 遺産分割に関する自分の意思を明確に伝えられます。
    しかし、相続人間で、遺産分割の合意が別途出来てしまうとそれまでです。
  • 遺言執行者を指定できます。
    それにより、遺言通り、確実に遺産分割を行えます。
  • 相続時に遺産分割協議書を作成する必要がありません。
    それにより、相続人の手間が大幅に削減できます。
  • 他の相続人には知らせずに、遺言書通りに遺産分割が出来ます。
    しかし、良し悪しは別です。
  • 自分の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本類を遡って取得する必要がありません。(公正証書遺言のとき)
    それにより、相続人の手間、費用、時間が大幅に削減できます。

遺言に具体的に記述できること、考慮すべきこと

  • 遺贈
    相続権のない人に相続財産を贈ることができます。
  • 包括遺贈
    相続権のない人を相続人に加えることができます。
  • 特定遺贈
    特定の相続人に特定の財産を相続させることができます。
  • 負担付遺贈
    遺贈に条件を付けることができます。
  • 廃除
    相続人から特定の人を排除できます。
  • 寄与分の考慮
    特に世話になった相続人には相続財産を多くできます。
  • 特別受益分の考慮
    他相続人よりも多く資産を分け与えている相続人には相続財産を少なくできます。
  • 遺留分減殺の順序の指定
    現金から、特定の相続人の分からなどのように指定できます。
  • 兄弟の相続分をゼロにする。
    兄弟の遺留分はないので、兄弟に相続させないことができます。
  • 後見人の指定
    相続人の後見人を指定できます。
  • 最大5年間の遺産分割の禁止
    遺産分割をさせないことができます。

遺言の種類と特徴

遺言には、①公正証書遺言、②自筆証書遺言、③秘密証書遺言の3種類あります。

7~8割が公正証書遺言
1~2割が自筆証書遺言
1割未満が秘密証書遺言

です。

【表 公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言の違い】

①公正証書遺言 ②自筆証書遺言 ③秘密証書遺言
作り方 遺言者の口述を公証人が筆記し、その内容を遺言者・証人の前で読み上げ、全員で署名押印します。 遺言者自らの手で、全文と日付を書き、署名押印します。ワープロソフトを使っての作成や代筆は認められません。 自筆証書遺言として作成します。その封をした遺言を公証役場に持ち込み、公証人、証人が秘密証書遺言として証明します。
メリット 法律上の不備なく、証拠力もあります。公証人が遺言書原本を保管するので、隠匿されたり、偽造されたりする心配はありません。家庭裁判所の検認も必要なく、すぐに相続手続きに入れます。 証人や公証人の関与を要せず、作成できます。従って、遺言書の内容や存在を秘密に出来ます。費用がかかりません。 遺言の内容を他の人に知られることがありません。遺言書が遺言者本人のものであることが明確になります。公証人の手数料が低いです。
デメリット 相続財産の額に応じて公証人手数料がかかります。証人への手数料が必要になる場合もあります。遺言の存在と内容が公証人と証人に知られてしまいます。 家庭裁判所の検認が必要です。(約2か月)遺言書が発見されなかったり、偽造されるおそれがあります。また、内容が法律的に不備となる可能性があります。 発見した人が家庭裁判所に届け出て、検認を受ける必要があります。内容の確認がされていないので、無効になる可能性があります。公証役場に行き、手数料11,000円を払う必要があります。

3種類の遺言の詳細比較

①公正証書遺言 ②自筆証書遺言 ③秘密証書遺言
遺言案の検討 遺言者又は行政書士 遺言者又は行政書士 遺言者又は行政書士
遺言書の作成者 公証人が、 遺言者が、 遺言者又は行政書士が、
遺言作成方法 公証人のシステムで、 自筆で、 自筆又はワープロで、
遺言を行う場所 公証役場において、 自宅等において、 公証役場において、
遺言内容の秘密性 公証人と証人が知る 完全に秘密にできる 完全に秘密にできる
文字を書けないとき 可能、病院へ出張も可能 不可能 可能(行政書士が代筆)
取消 可能 可能 可能
変更 不可能⇒再作成 可能 不可能⇒再作成
無効 可能性なし 可能性あり 可能性あり/なし
隠匿 不可能 可能 可能
偽造 不可能 可能 不可能
証人2名 必要 不要 必要
保管 公証役場 遺言者など 遺言者など
家裁の検認 不要 必要 必要
公証人費用 4~8万円程度 不要 必要、11,000円
行政書士等費用 3~5万円程度 3~5万円程度 3~5万円程度

公正証書遺言が基本

3つの遺言の作成方法のうち、公正証書遺言が最も安心、安全です。

公正証書遺言を選択する3つの理由です。

  1. 自筆証書遺言、秘密証書遺言では、検認という以下の手間のかかる手続きを行うことが必要です。検認が終了するまで遺言執行はできません。
    • 検認の申立てをするには、被相続人の生れてから亡くなるまでの戸籍謄本類、相続人全員の戸籍謄本類が必要です。その収集には、かなりの日数と費用がかかります。
      兄弟が相続人になる場合、代襲相続人がいる場合などでは、戸籍謄本類の収集が特に大変になります。
    • 検認の申立ては、家庭裁判所に行うので、気が重いです。
    • 検認の申立てから、検認期日まで1ヶ月程度待たないといけません。
    • 検認期日は平日で、その開廷時間内に、基本的に相続人が揃って家庭裁判所に行かなくてはなりません。
    • 検認の手続きで日数がかかっている間に、遺言執行妨害を受ける可能性があります。
      例えば、遺言書に遺贈の記述があっても、遺言がないことにして、相続登記ができます。
      (※相続による所有権移転登記は、相続人が自己が相続人であることを戸籍謄本等で証明することにより、相続による所有権移転登記が可能です。)
  2. 公証人が作成しています。
    内容に法的不備がなく、無効になることがありません。
    信頼度が高く、信ぴょう性を疑われることがありません。
  3. 原本が公証役場で保管されます。
    見つからない、破棄される、変更される心配がありません。

自筆証書遺言でなく公正証書遺言にする理由

自筆証書遺言のメリットは、基本的には作成時に費用がかからないことと、遺言の内容を秘密にしておけることです。しかし、遺言者の死亡後に相続人がその遺言を執行するためには、まず検認をしなければならず、その際に費用と時間がかかり、かなり大変な作業になります。さらに、検認の通知は相続人全員に対して行われますので、遺言の存在や内容についても知られてしまいます。

一方、公正証書遺言では、作成時には費用がかかりますが、遺言の執行時には検認手続きが不要であり、費用や時間が節約できます。さらに、遺言の存在や内容についても、その遺言によって財産を取得する人を除けば、あえて他の相続人などに知らせる必要はありません。

例えば子供のいない夫婦で、夫が財産をすべて妻に相続させるという内容の遺言を自筆証書遺言で作成した場合、夫の死後、妻は遺言の検認を行わないと、自宅の名義変更などができないことになります。その際の検認申立では、妻は夫の出生から死亡までの戸籍すべてと、自らの戸籍、及び夫の父母若しくは兄弟姉妹の戸籍を集めなければなりません。

そして、妻が苦労して申立をして、検認期日を迎えた際、夫の兄弟姉妹等と一緒に家裁で遺言を開封したときに、その内容が「財産はすべて妻に相続させる」であった場合に、兄弟姉妹がどのように思うかの問題があります。確かに、相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合には、兄弟姉妹には遺留分はありませんが、わざわざ遠方から駆けつけた夫の兄弟姉妹からすると、気分が良いはずはないと思われます。

特別な遺言:危急時遺言

危急時遺言とは、病気や怪我などで死に直面している人が、第三者に口述することにより作成する遺言の方式です。

  • 危急時遺言の要件
    • 病気その他の理由により死亡の危急に迫っていること
    • 証人3人以上の立会があること
      後記の確認のことを考慮すると医師に証人になってもらうことは有効です。
    • 遺言者が証人のうち1人に遺言の趣旨を口述し、その証人がこれを筆記すること
      ワープロ等を用いても構いません。
    • 筆記した証人がその全文を遺言者及び他の証人に読み聞かせ又は閲覧させること
    • 各証人が筆記の内容が正確であることを承認し、署名捺印すること
      遺言者は署名捺印する必要は有りません。
    • 遺言の日から20日以内に、遺言者の住所地を管轄する家庭裁判所に請求して遺言の確認を受けること
  • 遺言の確認
    • 危急時遺言では、家庭裁判所による遺言の確認の手続が必要です。
    • 遺言の確認とは、遺言が遺言者の真意に出たものかどうかについて、裁判所が確認する手続です。
    • 遺言の確認では、遺言者が生きていれば、裁判所が直接遺言者に真意を確認し、遺言者が亡くなっているなどの場合では、医師などの関係者から事情を聞きます。

遺言者が普通の方式の遺言をすることができるようになった時から6ヶ月間生存したときは危急時遺言は失効します。
危急時遺言では、遺言の確認に加えて、公正証書遺言以外で行う遺言の検認も必要です。

3種類の遺言に対する当行政書士事務所の役割

 

遺言の内容が確定しており、かつ法的不備のないように書くことができるのであれば、特に行政書士等に依頼することもなく、自ら3種類の遺言作成方法のどれを選択しても良いと言えます。しかし、実際にはそういうことは少なく、様々な状況を踏まえて、どのような遺言を書くかというのはそれ程易しいことではありません。
当行政書士事務所では、ご相談者の状況を良く聞き、その状況に最もふさわしい内容の遺言を作成するご相談に乗ります。遺言の内容、書き方に不安がある方には必要なステップと言えます。

①公正証書遺言に対して

 

ご相談者と合意した内容の遺言を行政書士がPCで作成、出力します。行政書士がそれを公証役場に送り、公証人と内容を調整し、最終的に遺言者が承認をします。行政書士が公証役場と日程調整しますので、遺言者は指定された日時に公証役場に出向きます。公証人が、証人同席の下、遺言者に対して遺言内容を読み上げ間違いないことを確認します。間違いなければ、遺言者が実印を捺印し、公正証書遺言を完成させ、原本を公証役場で永久にオンラインで保管します。正本と謄本が1部ずつ渡されますので遺言者、遺言執行者などが保管、管理します。公正証書遺言は、相続発生後、相続人など権原ある者はいつでもその謄本を請求することができます。

②自筆証書遺言に対して

ご相談者と合意した内容の遺言を行政書士がPCで作成、出力しますので、遺言者がそのまま自筆で写して書き、捺印して封をします。保管は遺言者、相続人等が行いますが、場合によっては行政書士が預かる場合もあります。

③秘密証書遺言に対して

ご相談者と合意した内容の遺言を行政書士がPCで作成、出力しますので、捺印して封をします。行政書士が公証役場と日程調整しますので、遺言者は指定された日時に公証役場に出向き証人同席の下、その遺言が自らのものであることを自認します。公証人は遺言の内容を見ることはありません。

秘密証書遺言は,自筆証書遺言と同じように,この遺言書を発見した人が,家庭裁判所に届け出て,検認手続を受けなければなりません。

遺言作成の流れ

  • ご相談
    親族関係、財産、遺言の内容、遺言の種類など
  • 業務の内容、範囲とお見積り金額の提示
  • 遺言作成業務のご依頼
  • 遺言作成に必要な書類の収集
    固定資産評価証明書、戸籍、住民票、印鑑登録証明書など
  • 遺言案の作成
  • 遺言案の検討
  • 遺言の内容確定と最終作成
    遺言の種類により異なります。

    • 公正証書遺言
      公証役場と調整します。
    • 自筆証書遺言
      遺言者ご本人が自筆で書きます。
    • 秘密証書遺言
      当事務所で作成したものに署名、捺印及び封緘し、公証役場と調整します。

遺言ではなく生前にする財産分与

自らの意思で財産を分与したいのであれば、生前に贈与するのが一番確実です。相続税対策にもなります。贈与には暦年課税と相続時精算課税の2つの課税方式があります。いずれも受贈者が納税義務を負います。

歴年課税

従来からの課税方式で1年間に贈与された財産の価額をもとに、10%から50%の税率で課税されます。ただし、歴年課税には110万円の基礎控除がありますので、贈与財産が110万円以下であれば贈与税はかかりません。また申告も不要です。贈与方法には注意が必要ですが、子ども3人に10年間毎年贈与すると、3,300万円まで無税で生前贈与できます。ただし、相続開始前3年以内の贈与に限り、相続税の対象になります。

相続時精算課税

財産の早期移転を促すために設けられ、贈与税と相続税が一体化した制度です。贈与時に特別控除額の2,500万円を超える金額に対し一律20%の贈与税が課税されます。相続時には贈与された金額を含めて相続税の計算をして、納付済みの贈与税と相殺します。つまり、贈与時に相続税を仮払いし、実際の相続時に精算することになります。65歳以上の親から20歳以上の子(代襲相続含む)への贈与に限られます。

暦年課税の適用を受けるか相続時精算課税を選択するかは、それぞれの子が父母ごとに選択することになります。また、一度相続時精算課税を選択した場合は暦年課税に戻ることはできません。

住宅取得等資金の非課税

住宅取得や増改築の資金として、子や孫に非課税で援助することが出来ます。平成24年の場合、一般住宅で1000万円、省エネ住宅で1500万円までです。援助を受ける側の所得金額が2000万円以下という条件があります。

具体的な非課税限度額は、次の区分により、最初に非課税の特例を受けようとする住宅取得等資金の贈与を受けた年に応じて、受贈者1人について、次のとおりです。

  • 省エネ等住宅の場合
    イ 平成24年のときは1500万円
    ロ 平成25年のときは1200万円
    ハ 平成26年のときは1000万円
  • 省エネ等住宅以外の住宅の場合
    イ 平成24年のときは1000万円
    ロ 平成25年のときは 700万円
    ハ 平成26年のときは 500万円

国税庁へのリンク

その他

生命保険金の扱い

  • 受取人が被相続人の場合
    相続財産になります。
    預貯金のように遺言の中で明示して、「...に相続させる。」としても良いですし、少額であれば、「その他の財産は...」とひとくくりにしてまとめてしまっても構いません。
  • 受取人が被相続人ではない場合
    被相続人の死亡により発生する受取人固有の財産になります。
    一度、被相続人が受け取って相続財産にした後、本来の受取人にその金額を移転させるわけではありません。相続財産ではないので、遺言の中に記載することはできません。

遺言者が高齢のとき

遺言者が高齢のとき、又は認知症のときなどでは、判断能力が問題になる場合があります。
判例では、以下のようになっています。

「遺言能力の有無は、遺言の内容、遺言者の年齢、病状を含む心身の状況および健康状態とその推移、発病時と遺言時の時間的間隔、遺言時とその前後の言動および健康状態、日頃の遺言についての意向、遺言者と受遺者の関係、前の遺言の有無、前の遺言を変更する動機・事情の有無等遺言者の状況を総合的にみて、遺言の時点で遺言事項を判断する能力があったか否かによって判定すべきである。」東京地判平成16・7・7

遺言内容に疑義を持たれないようにするため、以下のような方法が考えられます。

  • 遺言の内容は単純なものにする。
    複雑な遺言は否定されることがあり得ます。
  • 遺言を作成する際に、主治医に同席してもらう。
    遺言能力に関する診断書を作成してもらう。
  • 客観的な証拠を残す。
    ビデオテープ、信頼できる証人など相続税

相続税

相続時に相続税が発生するかどうか、予め計算しておく必要があります。相続税によって、遺言内容を変更することもありますし、相続発生前に行っておく節税対策もあります。
相続税

遺言書作成上の考慮点

遺言書の内容は、基本的には遺留分を侵害しない内容で書く方が無難です。被相続人が生存中に、相続人が了解していれば良いですが、遺言書の 中で突然遺留分より少ない遺産しか受け取れないと分った相続人は心中穏やかとはいきません。トラブルに発展する可能性が大きいので、極力遺留分を前提にし た遺言が無難です。

相続人が被相続人の生存中に相続放棄をすることは出来ません。しかし、家庭裁判所の許可を得て,あらかじめ遺留分を放棄することができます。結果として、遺言と組み合わせることで、実質的には相続人が被相続人の生存中に相続放棄をすることが出来ることになります。

普段の言動と違う内容の遺言書は出来るだけ避ける方が良いです。仮に法定相続割合と異なっていても、普段からそのように言っていれば「やはり」という感覚 で受け入れやすいはずです。相続人の予想と全く異なる内容の遺言書の場合、相続人にとっては、サプライズとなってしまい、素直に受け入れることが 出来ません。予想より有利な内容の相続人にとっては良いでしょうが、予想より不利な内容の相続人にとっては納得できません。遺産相続協議自体がうまく進 まず、親族間にトラブルを残して亡くなったと恨まれかねません。

簡単な遺言書の作成例

簡単な遺言書の書き方です。
主に3種類ある遺言書の方式のうち、最も簡単なものは自筆証書遺言です。
自筆証書遺言を書く上での絶対要件は、

全文自筆、捺印、日付

の3点です。
この要件が一つでも欠けると無効になります。現実問題、折角遺言が見つかっても無効になるケースが少なくありません。

  1. 全文自筆:一部でもPC等の出力は不可です。手書きです。当然、鉛筆ではなく消しにくいボールペン、毛筆等で書きます。
  2. 捺印:認印でも構いませんが出来れば実印です。とにかく印鑑が捺してある必要があります。
  3. 日付:明確に日付が特定できる記載が必要です。西暦でも和暦でも、年月日を記載しておけば間違いありません。

紙は便箋で構いません。上記3点を満足させた遺言を書いた紙を封筒に入れ封をします。遺言書は家庭裁判所で開封されるものです。親族であっても勝手に開封すると罰せられます。そのためには開封されないような工夫が必要です。封筒の表に「遺言書」と書き、裏に「開封せずに速やかに家庭裁判所に届けてください。」と朱書きすると良いかもしれません。あるいは封筒を2重にし、外封筒に封緘された遺言書とその朱書きした書面を入れておくのも良いかもしれません。

もう一つ重要なのは亡くなった時にすぐに見つかることです。すぐに見つかるような引き出しに入れておく、信頼できる親戚に預けておく、相続人の一人に預けるなどがあります。簡単に見つかって改ざんされるのもまずいですし、死後すぐに見つからないのもまずいです。

書く際は、誰に何を相続させるのかを具体的に、明確に書く必要があります。事情が変わった時、気が変わった時は新しい日付で再度書き直せば良いです。古いほうは破棄する方が良いですが、破棄しなくとも新しい日付の方が優先されます。

以下、サンプル(ひな形)として簡単な例を示します。
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遺言書

遺言者、中村太郎は、下記の通り遺言する。

1.妻、中村花子に、次の不動産を相続させる。
1)所在、地番、 ........
<宅地を登記簿通りに記載する>
2)所在、家屋番号、 ........
<建物を登記簿通りに記載する>

2.長男、中村一郎に、次の預貯金を相続させる。
1)○○銀行○○支店 普通預金 口座番号123456

3.長女、中村一子に、次の預貯金を相続させる。
1)△△銀行△△支店 普通預金 口座番号123456

4.長男、中村一郎に、上記記載の不動産、預貯金を除く一切の財産を相続させる。

平成XX年XX月XX日
中村太郎 印
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遺言の必要な人

以下のような人は是非とも遺言を遺すべきです。

  • 夫婦の間に子どもがいない
    →遺言がないと、親兄弟も相続人になり、配偶者が遺産の全部を相続できません
    ⇒配偶者に遺産の全部を相続させる遺言をします
    (親には遺留分があるので注意)
  • 配偶者が籍に入っていない内縁関係
    →遺言がないと、内縁(事実婚)の妻は相続できません
    ⇒遺言で財産を遺贈します
  • よく尽くしてくれた嫁に財産を分けたい
    →遺言がないと、嫁は相続人ではないので相続権がありません、友人なども同様
    ⇒遺言で嫁、友人などに遺贈します
  • 音信不通の子どもがおり、どこにいるのかわからない
    →遺言がないと、遺産分割協議が出来ず、不在者財産管理人などの手続きが必要
    ⇒遺産の分け方を遺言にしておけば、財産承継がスムース
  • 事業を長男に事業用の財産を相続させたい
    →遺言がないと、長男が事業用財産を相続できるかわからず、事業承継が難しくなる
    ⇒遺言で各相続人が取得する財産を指定しておけば安心
  • 障害のある子どもの将来が心配
    →遺言がないと、他の子や施設などがしっかり面倒をみてくれるかどうか心配
    ⇒遺言で負担付きの遺贈する、あるいは後見人を指定することが出来る
  • 暴力をふるうドラ息子に財産を渡したくない
    →遺言がないと、ドラ息子にも他の相続人と同じように相続する権利がある。
    ⇒遺言で非行の相続人を廃除することが出来る
    (遺言によらない廃除も可能)
  • 相続人がいないので遺産を社会のために役立てたい
    →遺言がないと、債権者への精算後、残余財産は国家に帰属する
    ⇒遺言で特定の団体に寄付したり、使用方法を指定したりすることが出来る

遺言が必要になるケース

法律通りの相続をさせる場合、遺言は必要ないとも言えますが、遺言通りでない相続を求める相続人がいるかもしれません。その意味では全ての人は遺言を残すべきと言えます。
以下は特に遺言が必要になるケースです。

例1)子供のいない夫婦の場合

仮に夫が死亡した場合、法定相続人はa)妻及び亡夫の親、あるいはb)妻と亡夫の兄弟姉妹です。特によくあるb)のケースで、妻に全財産を単独で相続させたい場合は、遺言書でその旨記述することで実現されます。
兄弟姉妹には遺留分がないためです。もし遺言がないと兄弟姉妹に4分の1の相続権が発生してしまいます。

例2)内縁の夫婦の場合

内縁関係には法定相続分が全くありません。遺言がないと、全ての財産は死亡した人の子、親、あるいは兄弟姉妹のものとなり、内縁の妻(夫)は全く相続できません。法定相続人がいない場合、特別縁故者として財産を受け取れる可能性がありますが、手続きが煩雑であり、かつ不確実です。遺言の中で遺贈をすることにより、内縁の妻(夫)に財産を遺すことが出来ます。

内縁の妻(夫)に相続財産を取得させるためには、遺言の中でその妻(夫)を遺言執行者として指定しておくことが必要です。自宅など不動産を遺贈し、その登記をする場合は、遺言執行者と受け取る本人が共同で申請をする必要があります。もし遺言執行者がいない場合は、別途家庭裁判所に選任してもらう必要があります。妻(夫)を指定しておけば、一人二役で単独申請をすることができ、手続きがスムースになります。

例3)主たる財産が不動産の場合

遺言がなく相続人が複数いる時は、基本的にその不動産を法定相続分に従って共有にするか、売却して代金を分配することになります。
もし不動産を相続人の一人に相続させたい場合には遺言が必要です。

例4)婚外子がいる場合

婚外子に相続させたい場合はその子を認知する必要があります。認知は遺言の中でも可能です。
また、認知しても非嫡出子(法律上の婚姻外の子)の相続分は嫡出子(法律上の夫婦の子)の相続分の2分の1です。
遺言の中でその相続分を増やすことが可能です。

例5)特に世話になった人に財産を分けたい場合

お世話になった長男の嫁や相続権のない人に財産を分けたい場合などは遺言が必要です。
基本的に、遺言がないと法定相続人以外の人に遺産分割はされません。

Tips & Techniques

  • 公証役場の手数料(一般的に4~6万円程度)がかかっても、公正証書遺言が絶対にお勧めです。
  • 必ず遺言執行者を指定します。
  • 遺留分には十二分の配慮が必要です。
    遺留分に関しては、専門家の助言を受けるのが安全です。
  • サプライズな内容の遺言は避ける方が良いです。
    事前に根回しをしておくと、相続人間でのトラブルを避けられます。
  • 相続税の事前計算は必須です。
    土地は路線価、建物は固定資産税評価額が基本です。
  • 相続税がかかる場合は、早くから節税対策を取る必要があります。
  • 預貯金は、できるだけ集約しておく方が手間がかかりません。
  • 不動産の共有は、できる限り避けるべきです。
  • 尊厳死宣言(延命治療の拒否)も検討に値します。
  • 身寄りのない方は、死後事務委任の検討をする価値があります。

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ブログ「遺言」

当事務所の遺言書作成サービス

遺言は、当然ながら相続と密接に関連しています。相続手続きがスムースに行われるよう十分考慮された遺言でなければなりません。

当事務所では、相続税、不動産登記まで含んだ総合的な観点から遺言作成のお手伝いをします。遺言執行者に関しても、遺言者の年齢その他を考慮して、複数の最適な遺言執行者を立てるようお勧めします。

費用

以下が遺言作成の費用例です。
当事務所の委任報酬には別途消費税が必要です。

自筆証書遺言 秘密証書遺言 公正証書遺言
当事務所の委任報酬 35,000円~ 35,000円~ 35,000円~
証人1名分の費用(証人は2名必要です) 5,000円×2名分 5,000円×2名分
公証役場の手数料 11,000円 30,000円~
合計 35,000万円~ 56,000円~ 75,000円~

個別に見積もりますが、当事務所の委任報酬、公証役場の手数料共に、財産額、相続人の数、記載内容、記載方法等で異なります。

公正証書遺言、秘密証書遺言は、町田公証役場(当事務所と同じビル内)に来ていただくことを前提としています。病院・自宅への出張、または他の公証役場の場合は、別途費用が必要です。

当事務所の報酬は前払いになります。

  • 遺言執行者
    • 遺言執行者としての業務量、相続財産額等により異なります。
    • 標準的には、遺産総額の1~1.5%(最低30万円)程度です。
    • 個別にお見積りいたします。

内容

遺言者の思い、ニーズ、状況をお聞きして最善の遺言内容を一緒に検討し、提案します。

  • 必要に応じて、遺言作成の前提となる推定相続人の調査、相続財産調査等をします。
  • 法律的な制約を考慮しながら遺言内容を完成させます。
  • 3種類の方法から遺言を遺す方法を選択します。
  • 自筆証書遺言の場合
    • 当事務所の作成した遺言書文面通りに手書きし、日付記入、署名、捺印して封をします。
  • 秘密証書遺言の場合
    • 手書き又はPC出力の遺言を封筒に入れ、封をします。
    • 公証役場に出向き、公証人、証人の面前で自認します。
  • 公正証書遺言の場合
    • 公証役場と調整し、遺言を公正証書化します。
    • 戸籍謄本、財産情報、印鑑登録証明書を準備します。
    • 公証役場に出向き、公証人、証人の面前で公正証書遺言に署名、捺印します。
  • 遺言に記載することにより、遺言執行者に就任します。

期間

遺言の作成は、内容が決まっていれば、1週間以内で作成可能です。
公正証書遺言の場合は、公証人の予定により、プラス1週間程度必要です。

遺言執行の期間は、解約する預貯金の口座数、不動産の数、相続人の人数、相続税の有無等により異なります。
2ヶ月から6ヶ月程度が多いです。

対応エリア

  • 町田市、多摩市、稲城市、狛江市、世田谷区、新宿区、渋谷区などの東京都
  • 相模原市、座間市、厚木市、大和市、綾瀬市、海老名市、横浜市、川崎市などの神奈川県
  • 内容、状況によっては全国対応、海外対応もします。

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