社会保険等

入社時の手続き

基礎情報

共通で、以下のような情報が必要です。

  • 氏名、フリガナ、性別、生年月日、現住所、フリガナ、住民票の住所、入社日

雇用保険

雇用される労働者は、常用、パート、アルバイト、派遣等、名称や雇用形態にかかわらず、次のいずれにも該当する場合には、原則として被保険者となります。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  • 31日以上の雇用見込があること

ただし、次に掲げる労働者は除かれます。

  • 季節的に雇用される者であって、次のいずれかに該当する者
    • 4ヶ月以内の期間を定めて雇用される者
    • 1週間の所定労働時間が30時間未満である者
  • 昼間学生
  • 65歳以上で新たに雇用される者

具体的な手続きは以下のとおりです。

  • 必要情報
    取得区分(新規/再取得)、被保険者番号、職種、契約期間、契約更新条項、週所定労働時間
  • 雇用保険被保険者資格取得届
    翌月10日までに、ハローワークに提出
  • 兼務役員雇用実態証明書(役員兼務の場合)
    登記簿謄本、就業規則、給与規程、役員報酬規程、賃金台帳、出勤簿、組織図、労働者名簿、定款、役員就任時の取締役会議事録などと共に、翌月10日までに、ハローワークに提出
  • 雇用保険被保険者番号が分からないときは、以下の方法で調べられます。
    • 本人が、前勤務先の会社に聞く。
    • 本人が、自らハローワークに電話で聞く。
    • 前勤務先の名称、住所、退職時期を元に会社事務担当者がハローワークの窓口で聞く。(電話で聞けるのは本人だけです。)
    • 書類を郵送する場合は、以前の勤務先名称、住所、勤務時期をメモ書きし、「再取得」で送ります。

雇用保険料は、給与を支払う都度、一定率で控除します。納付は年度単位です。

健康保険・厚生年金保険

以下の条件を満たす者はパートタイマー等であっても原則として、被保険者となります。

  • 1日又は1週間の労働時間が正社員の概ね3/4以上であること。
  • 1ヶ月の労働日数が正社員の概ね3/4以上であること。

具体的な手続きは以下のとおりです。

  • 必要情報
    取得区分(新規/再取得)、基礎年金番号、被扶養者の有無等
  • 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
    5日以内に、社会保険事務所に提出
  • 健康保険被扶養者(異動)届
    被保険者に被扶養者がいるとき、被扶養者の収入状況を証明する書類を添付して、5日以内に、社会保険事務所に提出
  • 70歳以上被用者該当届
    被保険者が70歳以上のとき
  • 国民年金第3号被保険者資格取得・種別変更・種別確認(3号該当)届
    20~59歳の配偶者を扶養するとき、年金手帳と共に、14日以内に、社会保険事務所に提出

健康保険の被保険者証は、届け出後10日ほどで、健康保険協会から送られてきます。被保険者証が着いてから、それまでの国民健康保険等の資格喪失の手続きをします。なお、厚生年金保険の処理は自動で行われます。

保険料は、入社日(資格取得日)の属する月から発生します。基本的に、当月分は翌月分の給与から控除し、同月末日に納付します。

税金

  • 特別区民税・都民税(住民税)特別徴収への切替申請書
    普通徴収の納期限までに
  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(届出不要)
    最初の給与支払までに
  • パートタイムの源泉徴収
    一般社員と同じで、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出することにより、税額表の甲欄適用になります。

その他の手続き

  • 雇用契約の締結
  • 労働者名簿の作成
  • 賃金台帳の作成
  • 出勤簿の作成
  • 源泉徴収簿の作成
  • 扶養控除等(異動)申告書を回収
  • 前職の当年分に関わる源泉徴収票の回収
  • 給与支払報告・特別徴収にかかる給与所得者異動届出書を回収し、作成

70歳以上の被用者

70歳以上の従業員は基本的に次のような取扱いになります。

  • 健康保険は適用されます
  • 厚生年金の保険料は徴収しません
  • 高年齢在職老齢年金の対象になります
    但し、健康保険の被保険者になるには、通常労働者の4分の3以上の労働時間が必要です。週40時間労働の会社であれば週30時間以上の労働する人が対象です。なお、75歳になると健康保険から後期高齢者医療制度に移行します。

70歳以上の人も65歳以降の人と同様に高年齢在職老齢年金のしくみが適用されます。現在であれば老齢厚生年金と月額給与(総報酬月額相当額)の合計が46万円を超えますと、超えた金額の2分の1の額の老齢厚生年金が支給停止となります。

離職時の手続き

雇用保険

事業主は、雇用する労働者が退職等をする場合には、資格喪失の手続きをとらなければなりません。

  • 具体的には、次のような事実があった場合です。
    • 被保険者が離職した場合
    • 被保険者が死亡した場合
    • 被保険者として取扱われた兼務役員が従業員としての身分を失った場合
    • 被保険者が在籍出向した場合で、出向先で新たに被保険者資格を取得することとなった場合
    • 被保険者の1週間の所定労働時間が20時間を下回る就業条件になったとき
  • 雇用保険被保険者資格喪失届
    所轄の公共職業安定所へ提出します。
    ハローワーク インターネット サービスにデータ入力フォームがありますので、データを入力し出力することができます。
  • 提出期限
    提出は、事実のあった日の翌日から10日以内です。書類は、退職日には受け付けてもらえず、退職日の翌日の資格喪失日以降でないと受け付けてもらえません。
  • 雇用保険被保険者離職証明書/離職票
    雇用保険を受給するなどで、被保険者が希望する場合は、雇用保険被保険者離職証明書(離職票と一体化した3枚つづり、ハローワークで入手)に離職者の給与等を記入して提出します。被保険者が失業等給付を受給する場合は、その受給額、期間に影響する重要な書類になります。再就職先が決まっている場合などでは、失業等給付を受給しないので、必須という分けではありません。ただし、後日請求された場合には交付しなければなりません。
    離職証明書は、

    • 1枚目:雇用保険被保険者離職証明書(事業主控)
    • 2枚目:雇用保険被保険者離職証明書(安定所提出用)
    • 3枚目:雇用保険被保険者離職票-2
      になっており、インターネットからダウンロードはできません。

なお、離職の日において満59歳以上であれば、離職証明書は必須です。

  • その他の書類
    • 賃金台帳:離職証明書を提出する場合は、記入されている給与等を証明するために、賃金台帳を過去1年分提出することが必要です。
    • 出勤簿:被保険者が、日給制、時給制、あるいは月給制であっても欠勤で給与の一部を控除したなどの場合は、出勤状況と照合する必要がありますので出勤簿も必要になります。
    • 離職理由証明書類:自己都合退職の場合は、必ずしも退職願を添付する必要はありませんが、会社都合等の場合はそれを証明する書類を添付することになります。

健康保険・厚生年金保険

従業員が退職、死亡した場合や、事業所が適用事業所に該当しなくなったり事業所自体が廃止になったりした場合は、被保険者の資格を喪失します。

  • 保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届
    健康保険被保険者証を添付し、退職日の翌日から5日以内に所轄社会保険事務所または健康保険組合へ提出します。健康保険被保険者証が添付不能の場合は、被保険者証回収不能届を添付する必要があります。
  • 定年後再雇用者の場合
    定年による退職であり、かつ老齢厚生年金の受給権者である者が、雇用契約上はいったん退職し、引き続き嘱託等として再雇用された場合、事実上の雇用関係は継続しているので、被保険者資格は継続しますが、この場合特例として、一度資格を喪失し、同時に資格を取得することができます(同時得喪)。従いまして、随時改定の対象とはなりません。
  • 資格喪失日
    資格喪失日は、退職日等の翌日となりますので注意が必要です。(70歳到達の場合は当日)

    • 適用事業所に使用されなくなった日の翌日
    • 死亡した日の翌日
    • 適用除外になった日の翌日
    • 事業所が廃止になった日の翌日
    • 任意適用事業所が任意包括脱退を認可された日の翌日
    • 厚生年金保険については、70歳に達した日(誕生日の前日)
  • 提出期限
    提出は5日以内です。資格喪失は条件が揃えば自動的に行われますが、保険者の確認が必要です。書類の提出は、退職日でも受け付けてもらえます。
  • 添付するもの
    健康保険被保険者証を添付します。(70歳に達した事により厚生年金の資格を喪失するときを除く)添付できないときは、被保険者証回収不能届を提出します。
  • 保険料の控除
    例えば、月末退職の場合、退職日の翌日が被保険者の資格喪失日になりますので、翌月初日が資格喪失日です。そして、保険料の支払は資格喪失日の属する月の前月分まで納付する必要があります。一方、会社が控除する保険料は基本的に前月分になりますので、最後の月は前月分と当月分の2ヶ月分を控除する必要があります。

その他の時の手続き

労災保険・雇用保険

  • 労働保険 名称、所在地等変更届(管轄内)
    • 労災保険
      届出書は、インターネットからダウンロードできず、労基署に取りに行く必要があります。労働保険番号と変更後の情報、変更年月日をOCRの枠内に記入します。右側には変更前後の情報とその変更理由を記載します。記名押印又は署名が必要です。新しい住所を証明するもの(登記簿謄本又は賃貸借契約書)を添付します。
      名称、所在地等の変更があった日の翌日から10日以内に管轄の労働基準監督署に届け出ます。もし、届け出が遅れた場合は、10日を気にせず実際に変更があった日を記入します。
    • 雇用保険事業主事業所各種変更届(管轄内)
      届出書は、インターネットからダウンロード、又は直接入力、印刷することができます。変更事項の14.事業主欄は全て記入し、登録印を事業主印影欄に捺印します。所在地変更の場合には、まず先に「労働保険名称、所在地等変更届」を提出して、新しい労働保険番号を付与されてから、その事業主控えと新しい住所を証明するもの(登記簿謄本又は賃貸借契約書)を添えて提出します。管轄内であれば労働保険番号は変わりませんのでどちらが先でも構いません。
      名称、所在地等の変更があった日の翌日から10日以内に管轄の公共職業安定所に届け出ます。もし、届け出が遅れた場合は、10日を気にせず実際に変更があった日を記入します。

健康保険・厚生年金保険

  • 適用事業所所在地/名称変更(訂正)届(管轄内)
    インターネットからダウンロードできます。
    届出書の他に、法人(商業)登記簿謄本のコピー(60日以内に発行されたもの)が必要です。
    事業所の所在地が登記上の所在地等と異なる場合は、代わりに、「賃貸借契約書のコピー」など事業所所在地の確認できるものを添付します。

賃金月額と報酬月額

雇用保険では賃金月額、社会保険(健康保険・厚生年金保険)では報酬月額という用語が使われています。

雇用保険の賃金月額

労働者に支払われるもの全体が賃金で、下記一定のものを除いたものが賃金月額になります。

  • 臨時の賃金
  • 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金
  • 超過勤務手当

社会保険の報酬月額

労働者が受けるものが報酬月額と賞与に分けられます。年金を説明する厚生労働省の資料では、報酬という用語も用いられていますが、報酬月額と同義で用いられているようです。
報酬月額は、通貨によるものと現物によるものに分かれます。

  • 報酬月額
    • 通貨によるものの額
      報酬のうち、臨時に受けるもの及び3月を超える期間ごとに受けるもの以外のもので、金銭(通貨)で支払われる賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受けるすべてのものについて、健康保険法第42条第1項各号又は厚生年金保険法第22条第1項各号の規定によって算定した額。
    • 現物によるものの額
      報酬のうち、食事、住宅、被服など金銭(通貨)以外のもので支払われるものについて、健康保険法第46条又は厚生年金保険法第25条の規定によって厚生労働大臣又は健康保険組合が定めた価額によって算定した額。

賃金/報酬の対象となるもの

  • 基本給
  • 諸手当(残業手当、通勤手当、住宅手当、家族手当、役付手当、勤務地手当、日直・宿直手当、勤務手当、能率手当、精勤手当など)
  • 賞与
    • 雇用保険では賃金になります。(ただし、賃金月額にはなりません。)
    • 健保・厚生年金では、年に4回以上ある賞与は、報酬になりますが、年に3回までの賞与は報酬ではなく賞与になります。

賃金/報酬に該当しないもの

  • 見舞金
  • 解雇予告手当
  • 退職金
  • 出張旅費
  • 大入り袋
  • 交際費
  • 慶弔費 など

参考情報

※本ページは、情報提供のページです。