家庭の主婦の年金は誰が払っているのか?

家庭の主婦である国民年金第3号被保険者の年金保険料は誰が支払っているのでしょうか?

被扶養者である家庭の主婦は、第3号被保険者ということで、国民年金保険料を納付していません。一体誰が払っているのでしょうか? 扶養者である夫が納付していると普通思いますが、被扶養者がいてもその夫たる扶養者の厚生年金保険料率は独身男女、あるいは既婚女性と同率です。自分の妻の分を負担しているようには見えません。

厚生年金保険料には国民年金保険料が含まれていますので、毎年、厚生年金側から国民年金側に基礎(国民)年金の給付に必要な費用を拠出金として払っています。その際、国民年金の全被保険者数に対する第2号と第3号被保険者数の比率で計算し、支払っています。つまり厚生年金保険料として被保険者から集めた保険料からざっくりとその被保険者と被保険者の被扶養者(つまり第3号被保険者)の分を支払っていることになります。つまり、家庭の主婦の国民年金保険料は、その夫、そして無関係の独身男女、無関係の既婚女性が皆で払ってあげていることになります。

女性が結婚すると皆家庭に入っていた時代ならいざ知らず、この保険料負担の仕組みはどう考えてもおかしいと思います。何故もっと問題にならないか不思議です。高い厚生年金保険料を支払っている独身男女、既婚女性はもっと怒るべきだと思います。政治家の怠慢、不作為も甚だしいと思います。

2011年11月29日(火)

商標権など、産業財産権の手続きの解放!

知的財産権とは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産に関して、法令により定められた権利と定義されています。非常に広いです。そして、その知的財産権のうち、特許権、実用新案権、意匠権及び商標権の4つを限定して産業財産権といい、特許庁が所管しています。

その特許庁が所管する4つの産業財産権は基本的に弁理士業務でした。しかし、平成12年の弁理士法の法改正により、その特許権、実用新案権、意匠権及び商標権の権利化までが弁理士業務になり、それらの権利化後の移転登録などの手続きは行政書士に解放されています。

なお、著作権等、そのたの知的財産権は従来から行政書士が行っている業務です。

2011年11月26日(土)

物価スライド特例措置解消による年金減額?

本日の日経新聞朝刊1面に、物価スライド特例措置解消による年金額の減額の記事が掲載されていました。

本来は、物価スライドという制度により、2000年度から物価の下落に合わせて、年金額を減額しなければなりませんでした。しかし、当時の自民党が選挙対策上、年金額を据え置く特例措置をとり、2000年度から3年間適用しませんでした。その結果として、それ以降ずっと年金額は本来よりも多く支払われており、その累計が7兆円にもなっています。2011年度においても、年金額は本来水準より2.5%多い年金額が支給されています。その2.5%のギャップを来年から3年間でなくそうということです。当然だと思います。戻しても払い過ぎた7兆円以上の年金は戻ってきません。

もう一つの年金額抑制の仕組みとして、マクロ経済スライドという制度が2004年に導入されています。年金負担者(若者)の減少と平均余命の伸びにより、年金財政がますます厳しくなるので、年金の伸び率を賃金や物価の上昇率よりも0.9%低く押さえることになっていました。しかし、上記の特例措置が解消されるまで、またデフレ下では適用しようがないということで、発動されていません。

2011年11月24日(木)

基礎年金の原資はどこから出ているか?

本日の日経新聞1面に基礎年金の費用負担の記事が掲載されています。

年金費用が膨らんで不足してきたので、実は2009年度から基礎年金の費用の国庫負担割合が従来の3分の1から2分の1に引き上げられました。しかし、財源がありませんでした。そこで特別会計からお金をひねり出して、今年度までの3年間、その差分(1/2-1/3=1/6)を埋めてきました。

しかし、その埋蔵金も底をつき始めてきました。といっても他に財源があるわけではありません。そこで、将来引き上げる消費税を前取りしてその不足分に充当しようということになったわけです。将来の収入を先に使ってしまうようなものです。これで消費税の導入は決定的なものになります。

いずれにしろ、基礎年金の1/2は税金が投入されているわけなので、国民年金保険料を払わないという手はありません。しっかり国民年金保険料を払って、2倍の基礎年金として返してもらうのが妥当だと思います。

※名称として、納付する際は国民年金ですが、受給する際は基礎年金になります。

2011年11月21日(月)

監査役の役割と取締役との関係は?

監査役の職務は取締役の職務執行の監査にあります。

株式会社は所有と経営の分離が行われているので、株主が経営の専門家である取締役に会社運営を委任していることになります。しかし、委任された取締役は権限が大きいので、勝手なことをしないとも限りません。そこで、会社の所有者である株主は、取締役を監視する者として監査役を会社内に送り込むことにしました。つまり会社運営を任せた人とそれを監視する人の両方を会社に送り込んで均衡を図っていることになります。

取締役が少ないうちは、株主が直接、取締役の行動を監視することができなくはないです。そこで、監査役の設置はまず原則的に任意になっています。しかし、規模が大きくなり、取締役会を置くような場合には、(例外はありますが)原則的に監査役が必要になります。取締役会の設置には取締役が3名以上必要です。取締役が増えると株主から離れて勝手なことをする可能性が高まるという意味から、監視する人が必要になるわけです。

取締役と監査役は、監視される側と監視する側の関係なので、兼務することはできません。また、親会社の取締役は子会社の監査役を兼務して、子会社を監視することができます。しかし、親会社の監査役は子会社の取締役になると立場が弱くなり、親会社の取締役の監視という本来の職務がしにくくなるので兼務が出来ないことになっています。

なお、監査役就任時に印鑑登録証明書は必要ありません。

(2011年11月20日)

社長になるための費用

最近は、株式会社を作って代表取締役社長になるのはそれほど難しいことではありません。

発起人も出資者も取締役も全て自分ひとりでOKです。
資本金はいくらでも構いません。1万円でOKです。
自分で設立手続きを行うのであれば、定款の認証手数料と印紙代で9万円、登記費用が15万円、その他諸費用が5千円程度で合計25万円弱です。
もし、面倒ということで、設立手続き一切を専門家に依頼するのであればプラス10万円程度かかります。
その代り、電子定款により、印紙代4万円が削減できますので、プラスマイナスして、合計31万円程度ということになります。

(2011年11月16日)

取締役会と取締役の関係

同じ取締役という名称ですが取締役会のない場合とある場合では、取締役の意味は大きく異なります。

取締役会非設置会社
・原則的に、取締役各自に業務執行権限、代表権があります。
・会社設立時の取締役就任承諾書には、取締役全員の印鑑証明書が必要です。
・代表取締役は任意です。
・代表取締役を選定した場合、その他の取締役から代表権を奪うという考え方です。

取締役会設置会社
・取締役には業務執行権限、代表権がありません。
・会社設立時の取締役就任承諾書に、印鑑証明書は不要です。
・取締役は取締役会の単なる構成員にすぎません。
・取締役会が会社の業務執行等について会社の意思決定を行います。
・代表取締役の選定が必須で、代表取締役に新規に代表権を与えるという考え方です。
・代表取締役就任承諾書に印鑑証明書が必要になります。

(2011年11月15日)

特別支給の老齢厚生年金繰下げはできません

年金は基本的に65歳からの支給になっていますが、まだ60歳支給開始から65歳支給開始への移行の経過措置として、65歳前でも受給できるケースがあります。65歳前の特別支給の老齢厚生年金がそれになります。今年60歳になる人は老齢厚生年金の比例報酬部分を特別支給されます。

一方、繰上げ受給、繰下げ受給という制度があります。減額されても良いから早く受給したい場合が繰上げ、受給を遅くしても良いから増額してほしい場合が繰下げになります。

上記の65歳前の特別支給の老齢厚生年金を繰り下げて増額させたい、という話が出ることがありますが、全くの誤解です。特別支給の老齢厚生年金は繰下げはできません。繰下げというオプションはありません。経過措置として、暫定的、恩恵的(?)に支給されているものなので、「後で受給するから増額してくれ」という希望は受け入れてくれません。素直に、速やかに受給するしかありません。

もっとも、会社員で厚生年金に加入している人は低年齢在職老齢年金の制度で減額、あるいは支給されないケースがありますが…

2011年11月19日(土)

会社設立と消費税

会社を設立する時には消費税が気になります。

以下、会社設立時の消費税に関する基本的なルールです。

1)設立初年度と2年目
基準は資本金の額のみ
資本金が1,000万円以上の場合、消費税の納税義務があります。
資本金が1,000万円未満の場合、消費税の納税はしなくても構いません。(『新設法人』の特例)

2)設立3年目以降
基準は課税売上高と資本金の額
資本金が1,000万円以上の場合、消費税の納税義務があります。
基準期間(前々事業年度)の課税売上高が1,000万円超の場合、消費税の納付義務があります。
資本金が1,000万円未満で、かつ基準期間(前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下の場合、消費税の納付義務はありません。

多くの場合、初年度は消費税の納税はしないことになります。
しかし、経費等には消費税がかかっていますし、途中から消費税をかけるのが難しいケースもあります。
消費税は、最初の年からきちんとプラスして請求する方が良いと考えます。

(2011年8月19日)