入管の取次申請予約制を利用しました。

品川入管はいつ行っても混雑しています。3時間待ちを覚悟する必要があります。そこで、今回は申請取次の届出済証明書を所持する弁護士・行政書士のみを対象にした予約制を利用してみました。

  • 全ての案件ではありませんが、ほとんどの申請に対応しています。
  • 実施は、平日の火曜と木曜の16時までです。
  • 取次申請予約申出書に希望の日時を記入し、前開庁日の12時までにFAXで送ります。
  • 前開庁日の16時までにFAXで回答が着きます。
  • 受付は総合受理カウンターの左から2番目に目立たないように置かれています。

待ち時間が10~20分程度と劇的に減りました。いつも申請で待たされうんざりしていたので、この予約制を利用しない手はないと思いました。週2回ですが、緊急でなければ何とか対応できるのではないでしょうか。
予約受付は目立たないように置かれています。おそらく初めてだと聞かないと分からないと思います。

(2015年 2月24日)

外国人の受け入れ拡大

外国人の受け入れ拡大策がほぼ決まってきました。
この拡大策に関して情報を整理してみたいと思います。

日本の入管行政では、特別な技能、技術などを有している外国人の在留は認めるものの、いわゆる単純労働者の在留は認めないというのが基本スタンスになっています。しかし、日本の労働人口が減少していくなかで、そのようなことを言っているわけにもいかず、単純労働者を含めて外国人労働者の受け入れを増やそうという方向になっています。

外国人は何らかの在留資格を有して日本に在留しています。
就いてよい仕事の観点から分類すると、在留資格は以下の3種類に分類されます。

  • ①経営者、IT技術者、コック等、一定の仕事に就くことが条件になっている在留資格
  • ②学生、文化活動等、基本的には仕事をできない(資格外活動許可を得れば可能)在留資格
  • ③永住者、定住者、日本人の配偶者等、どのような仕事でもできる在留資格

現在、ファストフード店など、単純労働の現場で働いている外国人は2番目の資格外活動のアルバイト、又は3番目の外国人です。

入管の方針は、以下のようなものです。

  • ①の在留資格は、専門の技術、能力を持っている外国人なので増やしても良いと思っています。
  • ②の在留資格は、増やしたいとは思っていますが、学生が主なのでそれほど急に増えるわけでもなく、仕事も軽労働のアルバイトで現在課題の人手不足解消にはなりにくいです。
  • ③の在留資格も、どのような仕事でもできるため、決して現在人手不足感の強い職種の人が増えるわけではありません。また、この在留資格は、長期在留者になるので、治安等も含めて増やすことに対して消極的な面があります。

①の在留資格の中に、技能実習という在留資格があります。発展途上国の外国人を期間限定で日本に労働者として受け入れ、将来自国に戻ってその技能を生かした職に就いてもらうのが目的です。1993年に国際貢献の一環として途上国への技術移転を目的に始まり、2013年時点で約15万人5千人います。出身国は、中国、ベトナム、フィリピンの順です。

対象職種は、農業、建設、食品製造、繊維・衣服、機械・金属など68職種と既に多岐に渡ります。この在留資格に関しては、十分な技能の習得に至らないまま帰国するケースが多いという声がある一方、低賃金、劣悪な環境で長時間労働を強いる事業者が少なからずいるということも指摘されています。

今回の拡充策は、この技能実習という名の下に、介護などの労働者を在留させ、少しでも人手不足を解消させることが主になっています。
具体的には、以下の拡充案が挙がっています。

  • 在留期間を3年から5年程度に伸ばす。
  • 就ける職種に、介護、林業、店舗運営、惣菜製造業、自動車整備業などを更に追加する。
  • 受け入れ人数枠の拡大を図る。

制度自体の抜本的な見直しには踏み込まずに、現行制度の手直しで何とか急場をしのごうとしています。技能実習という本来の趣旨から外れてしまうため、人手不足対策で利用されるべきものではないという声も出ています。

在留資格「技能実習」の拡充以外に以下のような施策も実施される予定です。

  • 高度な技術を持つ専門家(「高度外国人」)を増やす。
  • 日本企業の海外子会社で働く外国人が日本で働きやすくする。
  • 家事を手伝う外国人を地域を限って受け入れる。

今後、急激に人口が減り、労働力が減り、GDPが下がり、地方で消滅する市町村が相当出てくると言われています。なりふり構わず、人口を減らさない努力が必要になっています。

(2014年 6月20日)

高度人材外国人

高度人材外国人という在留資格の一類型があります。
2月下旬に高度人材外国人の申請をして、本日やっと認定の連絡が着きました。

単純労働者ではなく、能力が高く、給料の多い外国人を迎え入れたいという政府の方針にも合致しますので、ここ数年、入国管理局では高度人材ポイント制に力を入れています。ただ、位置づけ等が今一つ不明確なためか、その申請・認定人数が思ったほど増えていません。

行政書士の実務研修では、入国管理局の審査官が、「高度人材外国人の申請は優先的に処理しており、審査期間は、1~2週間を目標にしている」と言われていました。また、申請時の受付では、審査期間は2週間が目途です、と言われました。しかし、実際は6週間かかりました。思ったほどには、優先的に処理されていないのかもしれません。

(2014年 4月 7日)

高度人材外国人の申請

東京入国管理局で高度人材外国人の申請をしました。
比較的新しい在留制度の一つとして、高度人材ポイント制というものがあります。学歴、職歴、年収、年齢、保有資格などの基準で点数付けをして、70ポイント以上取得すると高度人材外国人になることができます。2013年6月現在で、高度人材外国人は全国に576人しかいません。高度人材外国人になると、永住者になるための年数の緩和、親の呼び寄せ、配偶者の就労、在留手続きの優先処理等の優遇措置があります。

東京入管では、まず番号札をもらい、いつも通り1時間半程度待って、申請のBカウンターで申請します。しかし、今回はここで終了せず、就労審査部門まで連れて行かれ、そこでまた番号札を引きます。そして待つこと1時間、やっと番号が呼ばれ、書類を渡します。どうやら、すぐにポイントとその証明書類の実質的な審査をするようです。20分ほど待たされ、「これでお受けします。」とのことで、またBカウンターに戻ります。書類を再度提出して更に20分ほど待ってようやく終了しました。9時過ぎに着いて終了したのが12時半頃です。他の在留資格変更等の申請よりはるかに長い時間がかかりました。しかし、何よりも良いことは結果の連絡が2週間後に来るということです。通常数か月の審査期間が2週間になるのは大きなメリットです。

高度人材外国人になってからも在留手続きは優先的に行われ、期間が短縮されます。ディズニーランドファストパス、空港のビジネスクラスのチェックインカウンターのようなものかもしれません。通常の就労に関わる在留資格の上乗せ資格のようなもので、取得しなくても良いものですが、優遇措置にメリットを感じる人で、要件に該当する人は、手間をかけても取得する価値はあると思われます。

(2014年 2月24日)

高度人材ポイント制

優れた技術者や研究者を海外から日本に呼び込む制度である高度人材ポイント制が、条件が厳しいこともあり、利用件数が伸び悩んでいます。2012年5月に始まり、高度人材外国人として認められた人数は、開始12ヶ月時点の目標が2,000人のところ、開始11か月時点で434人です。高等教育を受けた人口に占める外国人移住者比率は、オーストラリア28%、欧米主要国は10%台、日本は先進国最低の0.7%です。

制度の概要

高度人材に対するポイント制による優遇制度とは,現行の外国人受入れの範囲内で,経済成長や新たな需要と雇用の創造に資することが期待される高度な能力や資質を有する外国人(=高度人材)の受入れを促進するため,ポイントの合計が一定点数に達した者を「高度人材外国人」とし,出入国管理上の優遇措置を講ずる制度です。主な対象者は、以下の3タイプです。

  • 企業と大学の研究者
  • ITや工学の技術者
  • 外資系企業の幹部

ポイント評価

申請人の希望に応じ,高度人材外国人の活動内容を

  • 学術研究活動
  • 高度専門・技術活動
  • 経営・管理活動

の3つに分類し,それぞれの活動の特性に応じて,
「学歴」,「職歴」,「年収」,「年齢」、「研究実績」
などの項目ごとにポイントを設定し,評価を実施します。例えば、
学歴が修士号(20点)、職歴が5年(10点)、年収が900万円(35点)、年齢が30~34歳(10点)
で合計70点以上になり、高度人材外国人と認定されます。

優遇措置

ポイント評価の結果,70点以上の高度人材外国人には,以下の出入国管理上の優遇措置が付与されます。

  • 複合的な在留活動の許容
    研究者が自分の研究成果を使ってベンチャー企業を立ち上げ、経営することができます。
  • 5年の在留期間の付与
  • 在留歴に係る永住許可要件の緩和
    概ね5年で永住許可の対象となります。
  • 一定の条件の下での高度人材の親の帯同の許容
    年収1,000万円以上で、子どもが2歳以下などの要件
  • 一定の条件の下での高度人材に雇用される家事使用人の許容
    年収1,500万円以上で、メイドの月収20万円以上、子どもが12歳以下などの要件
  • 高度人材の配偶者の就労
  • 入国・在留手続の優先処理

(2013年 9月30日)

外国人による日本の永住資格の取得

日本に長く滞在したい外国人の一つの目標は、永住資格の取得です。永住資格を取得すれば、基本的にはどのような仕事にも就くことができますし、3年又は5年毎の在留資格の更新という手間も不要になります。国籍はそのままにして、日本で不自由なく暮らすには永住者になるのが必要なわけですが、その分審査が厳密になるのは当然です。

永住者のメリット

永住者には、以下のようなメリットがあります。

  1. 在留期間の制限がなくなり、更新手続きが不要になります。
  2. 在留活動の制限がなくなり、基本的にあらゆる職業に就けます。
  3. 社会生活上の信用が得られ、商取引、住宅ローンなどがスムースになります。
  4. 今の国籍を変える必要がありません。
  5. 配偶者や子供が永住許可を申請する場合、他の一般在留者の場合よりも簡易な基準で許可を受けることができます。
  6. 退去強制事由に該当した場合でも、永住許可を受けている者については、法務大臣はその者の在留を特別に許可することができるとされており、有利な地位にあります。

永住許可の要件

大きく、以下の3つのポイントから評価、判断されます。
但し、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等又は特別永住者の配偶者や子供については、下記要件の1、2は不問となります。

  1. 素行要因
    法律を守り、善良な市民として社会的生活を送っているかどうかを確認します。前科などがないこと、税金を滞納していない(原則過去3年間)ことなどです。
  2. 生計要因
    現在、将来において、安定した日常生活を営むことができる財産や収入があるどうかを確認します。独立生計を営むに足る安定した収入(原則過去3年間)があるか、預貯金などの財産があることが必要です。無職であっても家族に資産があるということであれば大丈夫ですが、生活保護を受けていると難しいです。
  3. 国益要件
    その者の永住が日本国の利益に合致すると認められることで、基本的には以下のような要件です。概ね10年以上の日本での在留実績と、5年以上の就労実績が必要になります。現に有している在留資格について、法に規定されている最長の在留期間(5年又は3年)をもって在留していることも必要です。

在留期間の特例

上記3の在留期間は10年以上が原則ですが、以下のような特例があります。

  • 日本人の妻(夫)は、婚姻後3年以上の在留期間
  • 日本人の妻(夫)で、海外で婚姻同居後来日した者は、婚姻後3年以上かつ日本で1年以上の在留期間
  • 永住者の妻(夫)は、上記の日本人の妻(夫)と同じ在留期間
  • 日本人や永住者の実子、又は特別養子は、日本に引き続き1年以上の在留期間
  • 難民認定を受けている者は、日本に引き続き5年以上の在留期間
  • 定住者者は、定住許可後5年以上の在留期間
  • 日本への貢献度が高い者は、5年以上の在留期間

なお、「留学」で入国し、学業終了後そのまま就職した者は、就労資格に変更後5年以上、通算10年以上の在留期間が必要です。

提出書類
入国管理局への提出物、定時物は以下のものです。
申請書、理由書、写真、立証資料、在留カード(外国人登録証明書)、資格外活動許可書(交付されている場合)、旅券又は在留証明書、身元保証書、我が国への貢献に係る資料(ある場合)

立証資料は以下の3パターンに分かれています。

  1. 申請人の方が,「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」の在留資格である場合
  2. 申請人の方が,「定住者」の在留資格である場合
  3. 申請人の方が,就労関係の在留資格(「人文知識・国際業務」,「技術」,「技能」など)及び「家族滞在」の在留資格である場合

例えば、上記3の方の場合であれば、以下のようなものです。

  • 身分関係を証明する次のいずれかの資料(申請人が「家族滞在」の場合に必要)
    戸籍謄本など
  • 申請人を含む家族全員(世帯)の住民票
  • 職業を証明する資料
    在職証明書、確定申告書の写しなど
  • 過去3年分の所得及び納税状況を証明する資料
    住民税の課税証明書、納税証明書など
  • 資産を証明する資料
    預貯金通帳の写しなど

会社に勤めているなどの場合、自分で在留資格の延長をしたり、変更をしたりすることは面倒です。また多くの書類が必要になりますので、その作成、準備も大変です。自ら入国管理局に行くことも当然ながら億劫です。入国管理局が認めた申請取次の資格を有した行政書士であれば、そのすべてを代行することが出来ます。

(2013年 9月14日)

外国人の在留許可と就労

外国人が増えています。街中でも職場でも増えてきました。少子化も相まって今後ますます増えると思われます。外国人と一緒に生きていくことが必要になってきています。

今回は、入管法、外国人の在留許可、そして就労に関してです。

外国人とは

まず外国人という定義ですが、入管法によれば「日本人の国籍を有しない者」となっています。つまり、外国の国籍を持っていても日本の国籍を持っていれば、日本人であり、外国人として扱わないということになります。また、日本は血統主義(*)を採用していますので、どちらか一方の親が日本人であれば、どこで生まれても日本人になります。

査証(ビザ)と在留資格

次に、外国人が日本に入国する際ですが、一般に、有効な旅券を所持することの他に、査証(ビザ)が免除される場合を除き、旅券に有効な査証を取り付けていることが必要になります。査証が免除されるのは、査証免除国の国籍を持ち、観光など報酬活動に従事しない短期滞在の場合です。平成17年の在留資格別新規入国者数(永住者を除く)612万人のうち、短期滞在がほとんどで約94%です。

さて、”本格的に”日本に滞在しようとする外国人には査証が必要となります。日本の査証は入国目的別に以下の7種類があります。
外交、公用、就業、一般、通過、短期滞在、特定
査証とは入国するために必要なものであり、入国の際に査証に記載されている入国目的に対応した在留資格を得てしまうと、その役目を終了します。

従って、よく言うビザの変更、ビザの延長という表現は正しくなく、正しくは在留資格の変更、在留期間の更新になります。また、入国目的、在留資格、在留身分、在留活動とはほとんど同一の意味、あるいは対応関係が存在します。査証はそれをグルーピングしています。その対応関係は以下の通りです。

査証(ビザ)と在留資格の種類

査証の種類:入国目的/在留資格/在留身分/在留活動
1)外交:外交
2)公用:公用
3)就業:教授、芸術、宗教、報道、投資・経営、法律・会計業務、医療、
研究、教育、技術、人文知識・国際業務、企業内転勤、興行、技能
4)一般:文化活動、留学、就学、研修、家族滞在
5)通過:短期滞在
6)短期滞在:短期滞在
7)特定:特定活動、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者
(査証不要:永住者)
<計 :27種類>

7種類の査証に27種類の在留資格です。但し、永住者だけは入国時に査証は不要です。

在留資格と在留活動

日本では在留資格に対応した在留活動が出来ます。逆にそれ以外の活動は原則的に出来ません。在留資格に対応した就労活動であれば、入国後に就労許可を得る必要はありません。欧州諸国では逆で、入国した後で就労許可を得ます。

27種類の在留資格の内、
日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、永住者
の4つの在留資格だけは特別扱いになっています。在留活動に制限がなく、単純労働など職種を問わず、収入を伴う活動が何でも出来ます。更に永住者はそれに加えて在留期間の制限がありません。他の3つの在留資格は1年、または3年間が在留期間です。もちろん、在留期間の更新は可能です。というわけで、外国人は、日本人の配偶者になりたがるわけですし、更には永住者の資格を取りたいと思うわけです。永住者の資格を取得するためには、通常は10年ほど真面目に日本に在留、生活する必要がありますが、日本人の配偶者であれば、それよりもずっと緩い基準で永住者になることが出来ます。

外国人の就労

ところで、留学、就学という在留資格だけでは報酬を伴う活動をすることは出来ません。そこで多くの留学生は資格外許可を受けてアルバイトをすることになります。それによって、例えば1週間に28時間を限度に資格外活動、要はアルバイトをすることが出来るようになります。

外国人を雇う場合には、旅券や外国人登録証明書(市区町村でこれを取得すれば旅券の携帯を免れます。)で在留資格を確認して、職種、期間など雇用しても問題のないことを確認する必要があります。ところが、一般の人にとって、その判断が実は容易ではありません。結果的に、雇用者は不法就労助長罪(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)を犯したくはありませんので雇うことに慎重、あるいは消極的になりかねません。それではまずいということで、誰にでも簡単に分る、就労資格証明書というものを入国管理局が発行するようになりました。取得は任意ですが、1000円以下で取得できますので、持っていない外国人には是非入手を勧めると良いと思います。本人も不利益な扱いを受けないようになりますし、雇用側も安心できます。

(*)血統主義に対立する概念として出生地主義(親がどこの国の国民であろうと、自国で生まれた子は自国民になる。)があります。 血統主義は韓国、ドイツなど、また出生地主義はアメリカなどが採用しています。

(2008年10月19日)