外国人の受け入れ拡大策がほぼ決まってきました。
この拡大策に関して情報を整理してみたいと思います。
日本の入管行政では、特別な技能、技術などを有している外国人の在留は認めるものの、いわゆる単純労働者の在留は認めないというのが基本スタンスになっています。しかし、日本の労働人口が減少していくなかで、そのようなことを言っているわけにもいかず、単純労働者を含めて外国人労働者の受け入れを増やそうという方向になっています。
外国人は何らかの在留資格を有して日本に在留しています。
就いてよい仕事の観点から分類すると、在留資格は以下の3種類に分類されます。
- ①経営者、IT技術者、コック等、一定の仕事に就くことが条件になっている在留資格
- ②学生、文化活動等、基本的には仕事をできない(資格外活動許可を得れば可能)在留資格
- ③永住者、定住者、日本人の配偶者等、どのような仕事でもできる在留資格
現在、ファストフード店など、単純労働の現場で働いている外国人は2番目の資格外活動のアルバイト、又は3番目の外国人です。
入管の方針は、以下のようなものです。
- ①の在留資格は、専門の技術、能力を持っている外国人なので増やしても良いと思っています。
- ②の在留資格は、増やしたいとは思っていますが、学生が主なのでそれほど急に増えるわけでもなく、仕事も軽労働のアルバイトで現在課題の人手不足解消にはなりにくいです。
- ③の在留資格も、どのような仕事でもできるため、決して現在人手不足感の強い職種の人が増えるわけではありません。また、この在留資格は、長期在留者になるので、治安等も含めて増やすことに対して消極的な面があります。
①の在留資格の中に、技能実習という在留資格があります。発展途上国の外国人を期間限定で日本に労働者として受け入れ、将来自国に戻ってその技能を生かした職に就いてもらうのが目的です。1993年に国際貢献の一環として途上国への技術移転を目的に始まり、2013年時点で約15万人5千人います。出身国は、中国、ベトナム、フィリピンの順です。
対象職種は、農業、建設、食品製造、繊維・衣服、機械・金属など68職種と既に多岐に渡ります。この在留資格に関しては、十分な技能の習得に至らないまま帰国するケースが多いという声がある一方、低賃金、劣悪な環境で長時間労働を強いる事業者が少なからずいるということも指摘されています。
今回の拡充策は、この技能実習という名の下に、介護などの労働者を在留させ、少しでも人手不足を解消させることが主になっています。
具体的には、以下の拡充案が挙がっています。
- 在留期間を3年から5年程度に伸ばす。
- 就ける職種に、介護、林業、店舗運営、惣菜製造業、自動車整備業などを更に追加する。
- 受け入れ人数枠の拡大を図る。
制度自体の抜本的な見直しには踏み込まずに、現行制度の手直しで何とか急場をしのごうとしています。技能実習という本来の趣旨から外れてしまうため、人手不足対策で利用されるべきものではないという声も出ています。
在留資格「技能実習」の拡充以外に以下のような施策も実施される予定です。
- 高度な技術を持つ専門家(「高度外国人」)を増やす。
- 日本企業の海外子会社で働く外国人が日本で働きやすくする。
- 家事を手伝う外国人を地域を限って受け入れる。
今後、急激に人口が減り、労働力が減り、GDPが下がり、地方で消滅する市町村が相当出てくると言われています。なりふり構わず、人口を減らさない努力が必要になっています。
(2014年 6月20日)