日本に長く滞在したい外国人の一つの目標は、永住資格の取得です。永住資格を取得すれば、基本的にはどのような仕事にも就くことができますし、3年又は5年毎の在留資格の更新という手間も不要になります。国籍はそのままにして、日本で不自由なく暮らすには永住者になるのが必要なわけですが、その分審査が厳密になるのは当然です。
永住者のメリット
永住者には、以下のようなメリットがあります。
- 在留期間の制限がなくなり、更新手続きが不要になります。
- 在留活動の制限がなくなり、基本的にあらゆる職業に就けます。
- 社会生活上の信用が得られ、商取引、住宅ローンなどがスムースになります。
- 今の国籍を変える必要がありません。
- 配偶者や子供が永住許可を申請する場合、他の一般在留者の場合よりも簡易な基準で許可を受けることができます。
- 退去強制事由に該当した場合でも、永住許可を受けている者については、法務大臣はその者の在留を特別に許可することができるとされており、有利な地位にあります。
永住許可の要件
大きく、以下の3つのポイントから評価、判断されます。
但し、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等又は特別永住者の配偶者や子供については、下記要件の1、2は不問となります。
- 素行要因
法律を守り、善良な市民として社会的生活を送っているかどうかを確認します。前科などがないこと、税金を滞納していない(原則過去3年間)ことなどです。 - 生計要因
現在、将来において、安定した日常生活を営むことができる財産や収入があるどうかを確認します。独立生計を営むに足る安定した収入(原則過去3年間)があるか、預貯金などの財産があることが必要です。無職であっても家族に資産があるということであれば大丈夫ですが、生活保護を受けていると難しいです。 - 国益要件
その者の永住が日本国の利益に合致すると認められることで、基本的には以下のような要件です。概ね10年以上の日本での在留実績と、5年以上の就労実績が必要になります。現に有している在留資格について、法に規定されている最長の在留期間(5年又は3年)をもって在留していることも必要です。
在留期間の特例
上記3の在留期間は10年以上が原則ですが、以下のような特例があります。
- 日本人の妻(夫)は、婚姻後3年以上の在留期間
- 日本人の妻(夫)で、海外で婚姻同居後来日した者は、婚姻後3年以上かつ日本で1年以上の在留期間
- 永住者の妻(夫)は、上記の日本人の妻(夫)と同じ在留期間
- 日本人や永住者の実子、又は特別養子は、日本に引き続き1年以上の在留期間
- 難民認定を受けている者は、日本に引き続き5年以上の在留期間
- 定住者者は、定住許可後5年以上の在留期間
- 日本への貢献度が高い者は、5年以上の在留期間
なお、「留学」で入国し、学業終了後そのまま就職した者は、就労資格に変更後5年以上、通算10年以上の在留期間が必要です。
提出書類
入国管理局への提出物、定時物は以下のものです。
申請書、理由書、写真、立証資料、在留カード(外国人登録証明書)、資格外活動許可書(交付されている場合)、旅券又は在留証明書、身元保証書、我が国への貢献に係る資料(ある場合)
立証資料は以下の3パターンに分かれています。
- 申請人の方が,「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」の在留資格である場合
- 申請人の方が,「定住者」の在留資格である場合
- 申請人の方が,就労関係の在留資格(「人文知識・国際業務」,「技術」,「技能」など)及び「家族滞在」の在留資格である場合
例えば、上記3の方の場合であれば、以下のようなものです。
- 身分関係を証明する次のいずれかの資料(申請人が「家族滞在」の場合に必要)
戸籍謄本など - 申請人を含む家族全員(世帯)の住民票
- 職業を証明する資料
在職証明書、確定申告書の写しなど - 過去3年分の所得及び納税状況を証明する資料
住民税の課税証明書、納税証明書など - 資産を証明する資料
預貯金通帳の写しなど
会社に勤めているなどの場合、自分で在留資格の延長をしたり、変更をしたりすることは面倒です。また多くの書類が必要になりますので、その作成、準備も大変です。自ら入国管理局に行くことも当然ながら億劫です。入国管理局が認めた申請取次の資格を有した行政書士であれば、そのすべてを代行することが出来ます。
(2013年 9月14日)