巷にはモノがあふれ、特徴のないモノにはお金を払わなくなってきました。実質価値から付加価値にお金を払うようになってきました。有形資産から無形資産へ。
Intangible asset、知的資産重視の時代です。
以前、知的所有権と呼ばれていたものが現在は知的財産権と呼ばれています。略して「知財」です。知的財産権は以下のように大別されます。
1)産業財産権---以前は工業所有権と呼ばれていたもので、特許権、
実用新案権、意匠権、商標権になります。
2)著作権-----狭義の著作権と著作隣接権です。
3)その他-----肖像権や商号権などがあります。
今回は、知的財産権(知的所有権)の中の産業財産権(工業所有権)の中の商標権の話です。
他から区別する目的で使用する名称やマークを一般用語では標章と言います。標章を商業的に使用すると商標になります。そして、そのうち特許庁で登録されたものが登録商標になります。
製品名の右肩に小さなマルアール(大文字のアールを丸で囲んだもの)とTMという記号を目にすることがあります。分ったようでいて十分にはわかっていない記号です。実は、マルアールもTMも日本の決まりではなく、米国の連邦商標法上で使用が必要とされている記号です。マルアールは登録されている商標を意味し、TMは登録していないものの”商標”として使用していることを意味します。必ずしも出願中である必要はありません。
マルアールをつけることは、『すでに登録済みなので他の人は使用してはいけない』という意味と『無断で使用したら損害賠償請求をする』という2つの意味があります。逆に言うと登録してあってもマルアールをつけていない場合は、他の人が使用しても損害賠償請求が出来ないことになります。また、米国は「使用主義」を採用しており、その標章を商標として使用し始めた時から権利が発生するとされています。その意味でTMマークも重要になるわけです。しかし、いずれにしろそれらは米国の話であり、日本の話ではありません。
日本では、登録された商標を使用する場合には、それが登録商標であることを示す表示をすることが望ましいとされているだけです。よくある、「○○○は△△△株式会社の登録商標です。」というものです。仮に表示をしなくても権利は守られます。更に言えば使用していなくとも権利があります。それを「登録主義」と呼びます。また、同じ商標であれば先に出願をした人に権利があります。(先願主義)日本には、商標に対してマルアールやTMを付けるという法的な要請はありません。ただ、もしもの時に、商標を使用しているという立証に役立つとは言われています。日本で商標登録は弁理士の業務とされています。しかし原則は本人出願であり、一般企業が弁理士に依頼せず自ら出願することも少ないことではありません。
特許庁へ商標登録をする費用ですが、出願時と審査に通った時の登録料の2本建てです。
一つの商標を一つの区分へ出願するという仮定で、
・本人/企業自らが出願する場合であれば、
出願費用が21,000円で登録料が66,000円、合計87,000円で済みますが、
・弁理士に依頼すると、平均的な報酬を加えて、
出願時の費用が88,000円で登録時の費用が111,000円、合計199,000円
と2倍以上になります。
(2008年4月13日)