労働保険と社会保険

会社を設立するのは比較的簡単ですが、事業を開始し、人を雇用し始めると様々な責任、義務が生じてきます。その一つとして、労働保険、社会保険があります。

そこで、今回は労働保険、社会保険に関する最低限の概括的な知識です。

労働保険と社会保険の種類

会社を設立すると基本的に労働保険と社会保険が義務付けられます。労働保険には、労働者災害補償保険(労災保険)と雇用保険があり、社会保険には健康保険と厚生年金保険があります。労働保険、社会保険を考える時、事業・会社が適用になるかということと、適用になった場合にそこに使用される労働者が適用になるかということの2つのステップで考える必要があります。個人事業であれば各種の適用除外がありますが、会社であれば規模に関わらず適用事業とされ、そこで働く通常の労働者は適用者とされます。

労働保険の適用事業

労働保険は、規模を問わず、基本的には個人事業、会社に強制適用されます。労災保険と雇用保険で若干異なりますが、労働者が5人未満等の一部業種の個人事業が任意適用になります。しかし会社であれば全面適用になります。事業が開始されたときに労災保険と雇用保険関係が共に(自動的に)成立します。そのため、所轄官公署への事業の届出が義務になっています。

労働保険の適用労働者

適用労働者に関して言えば、労災保険は労働災害に対する補償なので、短時間、短期間労働者であっても全面適用して労働者を守ります。それに対して、雇用保険は労働者自身も保険料を負担するので、全面適用をしていません。短時間、短期間労働者など様々な適用除外があります。

労災保険

労災保険の保険料は総賃金に労災保険料率を乗じた金額で、会社が全額負担します。労働基準法に基づく補償を会社に代わって行うものなので、労働者は保険料を負担しません。労災保険料率は0.3%から10.3%まで55の業種別に細分化されています。業務災害の多い建設業などが高率で、例えばソフトウェア業であれば最も低い0.3%になります。

雇用保険

雇用保険は労働者の失業等に対する保険です。会社は総賃金に対して雇用保険料率を乗じた金額を保険料として負担します。雇用保険料率は事業の種類により3種類に分かれていますが、一般的な事業であれば、1.1%です。但し、その1.1%のうち0.4%は労働者が負担します。

社会保険の適用

社会保険は、特定業種及び従業員5名未満の個人事業は適用除外になります。しかし、会社であれば業種、規模を問わず強制適用で、健康保険と厚生年金保険は基本的にセットで手続きをします。適用除外者に関する規定も両保険でほぼ共通で、短時間、短期間従業員は基本的に適用除外になります。

健康保険

健康保険は、疾病、負傷、出産、死亡に関する被用者向けの保険です。被用者でない個人事業主等は国民健康保険となります。健康保険には協会健保と組合健保があります。保険料は報酬に対して3%から10%の範囲の保険料率を乗じて求めます。健保財政は現在厳しく毎年のように保険料率がアップしています。協会健保は都道府県単位で異なり、東京都であれば平成22年3月から9.32%になります。組合健保は組合ごとに異なり、例えば関東ITソフトウェア健康保険組合では平成22年3月から7%になります。いずれも会社と被保険者で折半します。

厚生年金保険

厚生年金保険は老齢、障害、死亡に関する保険です。会社に勤めることにより国民年金から厚生年金に移行しますが、厚生年金の被保険者は国民年金の第2号被保険者でもあります。つまり厚生年金は国民年金を含んだ仕組みです。保険料は健康保険同様、報酬に対して保険料率を乗じて求めます。保険料率は、平成22年8月までは約15.7%で、会社と被保険者で折半します。年金財政も厳しく、毎年アップして平成29年9月からは18.3%になることが決まっています。

(2010年 3月13日)

離婚による年金分割

ここ数年、離婚数は落ち着いています。しかし、回りを見渡すとそれほど離婚が珍しいことではなくなってきたという事実もあります。離婚する際には、財産分与、慰謝料、子供の養育費などと並んで年金分割が重要です。数年前に一時この話題がブームになったことがありますが、案外と分割される金額が少ないせいか下火になってきた感があります。そうは言ってもいざという時には必要な知識です。もしかすると周辺にこのような情報を必要としている人がいるかもしれません。

今回は、離婚に伴う年金分割に関してです。

分割の対象となる年金

まず、離婚による分割の対象となる年金は厚生年金です。年金は2階建て、あるいは3階建てとよく言われますが、分割されるのは2階部分の厚生年金のみで、1階部分の基礎年金(国民年金)は分割されません。基礎年金は個人別に管理されていますので分割しようがありません。2階部分の厚生年金は妻の貢献があるにも関わらず、夫だけが受け取るような仕組みだったので、その不合理を是正しようというのが年金分割の趣旨です。

年金分割には2種類あります。平成19年4月と20年4月に、それぞれの法律が施行されました。

合意分割

まず、平成19年4月施行の合意分割(離婚分割特例)です。
平成19年4月1日以降の離婚から適用されるようになりました。仮に、受け取るべき老齢厚生年金額の多い方を夫、少ない方を妻とします。基本的な考え方は、夫の厚生年金額と妻の厚生年金額を合計した後、按分割合を決めて年金を分割することです。その按分割合は当事者間で合意するか、合意できない時は家庭裁判所で決めます。

合意分割の対象期間と割合

合計する厚生年金額の対象は婚姻期間のみです。両当事者共、独身期間の分はそれぞれのものなので合計、按分は行いません。また按分割合は、夫の分をA、妻の分をBとした時、妻の分はBから(A+B)/2までの範囲です。つまり妻から見ると、元々の自分の分を下限にして、上限は夫の分を合計した2分の1の範囲内です。妻の厚生年金分がなければ最大で夫の2分の1をもらえる可能性がありますが、当然に夫の2分の1をもらえるわけではありません。ポイントは①対象期間は婚姻期間のみであること、②最大で合計の2分の1であること、②按分割合は個別決定することです。

3号分割

次に、平成20年4月施行の3号分割です。
平成20年4月1日以降の離婚から適用されることになりました。同日以降の妻の第3号被保険者期間に対する夫の老齢厚生年金額は強制的に夫婦で折半することになりました。被用者/会社員(第2号被保険者)の被扶養者(第3号被保険者)であった期間は、夫名義の老齢厚生年金の2分の1を無条件で受給できることになりました。協議、合意は不要です。非常にシンプルな仕組みです。

期間対応で合意分割と3号分割を合計する

妻から見た場合で整理しますと、今後離婚をする場合、以下のようになります。
1)平成20年3月31日までの婚姻期間に関して
合意分割(離婚分割特例)により、按分割合を合意することで最大で婚姻期間の夫婦合計の老齢厚生年金額の2分の1までを受け取れる可能性があります。
2)平成20年4月1日以降の婚姻期間に関して
妻が第3号被保険者であった期間に対応する夫の老齢厚生年金はその2分の1を当然に受け取ることが出来ます。第3号被保険者でなかった期間は、1)の合意分割となります。

現実的な金額

冒頭に書きましたが、離婚分割により妻が受け取れる金額は思ったほど多くはありません。私の場合で言えば、基本的に専業主婦であった妻に分割する金額はおそらく年50万円程度(4万円強/月)だと思います。実は、老齢厚生年金の年金分割より、夫が死亡した場合に受け取れる遺族厚生年金の方が受給できる金額は多くなります。遺族厚生年金は夫が生きていれば受給したであろう老齢厚生年金の4分の3です。割合も多いですし、対象期間も婚姻期間のみではなく夫が厚生年金に加入していた全期間です。しかも死亡すればすぐに受給できます。離婚による年金分割はあくまで老齢年金の分割なので基本的には65歳にならないと受給できません。金額だけで考えるのであれば、迷うことなく離婚分割ではなく、遺族年金を選択(?)すべきです。

なお、年金には様々な例外、特例、経過措置等があり複雑です。上記の記述はあくまで基本的な考え方となります。詳細は別途調べるなどして、確認していただく必要があります。ご注意ください。

補足情報

比較的近くで失踪事件がありました。(意外と周辺で事件があるものです。)ギャンブルで多額の借金を残し、夫が妻と二人の子供を残して消えてしまいました。借金の取立てが来て困っているとのことでした。ところで民法は夫婦別産制を採用しています。日常家事債務に関しては連帯責任になっていますが、夫がギャンブル、あるいは妻が高価な宝飾品購入で作った借金に対してその配偶者には責任がありません。上記の妻の場合、夫の借金を返済する必要はありません。

(2010年 2月10日)

法定相続と遺言

前号は、簡単な遺言書の書き方でした。

遺言がないと相続人の間で紛争が起き易いと書きましたが、一方で遺言があれば紛争が起きないとは言い切れません。必ずしも遺言が絶対ではないことも知っておく必要があります。ある程度、民法上の法定相続を知った上で遺言を書かないと自分の遺言通りに財産分与がされないことがありますし、新たな火種を遺すことにもなりかねません。

そこで、今回は民法上の法定相続の概要と遺言との関係です。

相続人

  • 戸籍上の配偶者は必ず相続人になります。
    内縁、事実婚の場合、相続権はありません。
  • 配偶者以外の相続人としては、順番に子、親、兄弟姉妹のいずれかです。
    優先順位は子、親、兄弟姉妹の順です。子がいれば親、兄弟姉妹は相続人にはなりません。子かいなければ親に、子と親がいなければ兄弟姉妹に相続権があります。
    整理しますと以下になります。

    • A)配偶者がいる場合で、
      A-1)子、親、兄弟姉妹がいない場合--配偶者のみ
      A-2)子、親、兄弟姉妹がいる場合---配偶者と子or親or兄弟姉妹のいずれか
      B)配偶者がいない場合--------子or親or兄弟姉妹のいずれか
  • 代襲相続
    子が先に亡くなっている場合は孫、ひ孫と相続権が引き継がれます。
    兄弟姉妹の代襲相続は一代限り(甥、姪まで)です。
  • 配偶者の親は相続人になりません。直系尊属です。
  • 戸籍上の養子も実子と同じ権利があります。
  • 非嫡出子(婚外子)にも相続権があります。
  • 廃除という相続権を失わせる方法もあります。

法定相続分

  • 上記、A-1)とB)の場合:配偶者、あるいは子or親or兄弟姉妹のいずれかが当然に100%
  • 上記、A-2)の配偶者と子or親or兄弟姉妹のいずれかがいる場合:
    子の場合:配偶者と子が1:1で配分
    親の場合:配偶者と親が2:1で配分
    兄弟姉妹の場合:配偶者と兄弟姉妹が3:1で配分
  • 子、親、兄弟姉妹の中でそれぞれ複数いる場合は均等に分けます。
  • 非嫡出子(婚外子)の権利は2分の1(嫡出子の半分)です。

遺留分

  • 遺言書で上記の法定相続分以下の相続分を指定しても構いません。但し、その相続人には以下の最低保障の期待分があります。
    原則:法定相続分の2分の1
    例外:親のみが相続する場合は3分の1、兄弟姉妹は遺留分なし

特別受益分

  • 生前、他の相続人よりも多い贈与を受けていた相続人には、相続分を前受けしていたという”みなし”で相続分を少なくすることができます。

寄与分

  • 生前、他の相続人よりもより多く故人に貢献、寄与していた相続人には、他の相続人より多くの遺産を受け取れるようにすることができます。

相続放棄

  • 遺言とは別ですが、家庭裁判所で申述書に記入することにより、相続人としての権利を放棄することが出来ます。結果として、次順位者の相続権が繰り上がります。
  • 相続放棄には、ゼロの遺産相続をしたという簡易な相続辞退も可能です。

遺言を書く際に特に注意を要するのは遺留分です。ある相続人に遺留分よりも少ない遺産を残すことは可能です。ただ、その相続人には遺留分減殺請求権があり、遺留分までを受け取ることが可能で、その場合は他の相続人の相続分から取り戻すことになります。一般的には、遺言の中では遺留分は侵害しない方が無難です。

以上のような民法の法定相続ルールを理解した上で、遺産分割をすると遺言書にも説得力が出ます。更に言えば、何故そのような分割方法、分割割合にしたかという理由を書けば、より一層説得力が増します。

近くで起きた実際の話

住宅ローンを抱えたまま亡くなった方がいました。生命保険に加入していなかったのでしょうか、あまりに残債が多かったので配偶者と子供が家裁で相続放棄をしました。ところが、相続ルールを知らなかったのか、面倒だったのか、あるいは甘く見たのか、いずれにしろ亡くなった方のご両親が相続放棄をしませんでした。配偶者と子が相続放棄をしますと直系尊属に相続権が移ります。そして相続放棄も限定承認もしないと単純承認の相続とみなされ、資産、負債全てを相続することになります。亡くなった方名義の土地建物が競売され、債権者に配当されましたが債権が残り、住宅債権管理回収機構から1,000万円強の請求がご両親に届きました。借金を残して亡くなる場合は注意が必要です。

(2010年 1月10日)

自筆証書遺言の簡単な書き方

遺産相続でもめるケースが多くなっているようです。本人が亡くなれば相続人が少しでも多く遺産を受け取りたいと考えるのは自然です。遺産相続でもめることが多くなってきたのには以下のような背景があるようです。

・一般の人にも不動産、預金といった相続する遺産が増えてきた。
・遺産相続をする世代の人々の生活が厳しくなってきている。
・長男が相続すべきという考え方と子供が公平に相続すべきという考え方が並存している。

遺産相続はもめて当然。もめない方が不思議です。
遺言は民法の規定に優先します。自ら責任を持って自分の財産は引継がせたいものです。遺産のあることが紛争の種にならないよう遺言を残すことが必要です。

そこで、最も簡単な遺言書の書き方です。

自筆証書遺言の要件

主に3種類ある遺言書の方式のうち、最も簡単なものは自筆証書遺言です。
自筆証書遺言を書く上での絶対要件は、

全文自筆、捺印、日付

の3点です。
この要件が一つでも欠けると無効になります。現実問題、折角遺言が見つかっても無効になるケースが少なくありません。

1)全文自筆:一部でもPC等の出力は不可です。手書きです。当然、鉛筆
ではなく消しにくいボールペン、毛筆等で書きます。
2)捺印:認印でも構いませんが出来れば実印です。とにかく印鑑が捺して
ある必要があります。
3)日付:明確に日付が特定できる記載が必要です。西暦でも和暦でも、年
月日を記載しておけば間違いありません。

自筆証書遺言の保管方法

紙は便箋で構いません。上記3点を満足させた遺言を書いた紙を封筒に入れ封をします。遺言書は家庭裁判所で開封されるものです。親族であっても勝手に開封すると罰せられます。そのためには開封されないような工夫が必要です。封筒の表に「遺言書」と書き、裏に「開封せずに速やかに家庭裁判所に届けてください。」と朱書きすると良いかもしれません。あるいは封筒を2重にし、外封筒に封緘された遺言書とその朱書きした書面を入れておくのも良いかもしれません。

もう一つ重要なのは亡くなった時にすぐに見つかることです。すぐに見つかるような引き出しに入れておく、信頼できる親戚に預けておく、相続人の一人に預けるなどがあります。簡単に見つかって改ざんされるのもまずいですし、死後すぐに見つからないのもまずいです。

”自筆証書遺言の具体例’
書く際は、誰に何を相続させるのかを具体的に、明確に書く必要があります。事情が変わった時、気が変わった時は新しい日付で再度書き直せば良いです。古いほうは破棄する方が良いですが、破棄しなくとも新しい日付の方が優先されます。

以下、サンプルとして簡単な例を示します。
----------------------------------
遺言書

遺言者、中村太郎は、下記の通り遺言する。

1.妻、中村花子に、次の不動産を相続させる。
1)所在、地番、 ........
<宅地を登記簿通りに記載する>
2)所在、家屋番号、 ........
<建物を登記簿通りに記載する>

2.長男、中村一郎に、次の預貯金を相続させる。
1)○○銀行○○支店 普通預金 口座番号123456

3.長女、中村一子に、次の預貯金を相続させる。
1)△△銀行△△支店 普通預金 口座番号123456

4.長男、中村一郎に、上記記載の不動産、預貯金を除く一切の財産を相続
させる。

平成XX年XX月XX日
中村太郎 印
----------------------------------

(2009年12月10日)

一人株式会社の設立

ご存知のように平成18年5月1日施行の会社法によって株式会社の設立が簡単になりました。一人で株式会社を設立し、代表取締役社長になることが出来ます。

今回は出来るだけ簡単に、一人で株式会社を設立し、代表取締役社長になる方法です。れっきとした株式会社です。

株式会社設立には、2つのステップが必要です。
定款を作成して公証人に認証してもらうステップと法務局に株式会社の設立登記を申請するステップです。

定款の作成

定款とは会社の定義、基本的なルールになります。そのルールが法律に則していることを公証役場の公証人に認証してもらうことが必要です。公証役場は市、区などを単位に全国に300箇所あり、公証人の多くは元裁判官、元検事などです。

定款のサンプルは書籍、Web等で入手できます。最もシンプルなオプションを選択して定款を作成します。株式会社では株主総会と取締役1名が最低限必要になります。以下、定款作成上のポイントです。

・会社名を決める必要がありますが、現在では大抵の名称が通ります。
・同じ会社名が同一市区町村にあるかどうかは問われなくなりました。
・会社の所在地は自宅にします。
・株式会社設立の発起人が必要ですが、自分ひとりで構いません。
・株主も自分ひとりです。
・資本金は1円でも構いませんが、例えば1万円で1株にします。
・株式は全て譲渡制限株式にして非公開会社にします。
・株券を紙で発行する必要はありません。
・株主総会は一応形式的に必要です。
・取締役を決める必要がありますが、自分一人で構いません。一人で代表取締役になれます。
また取締役任期は面倒なので最長の10年にします。
・取締役会を置く必要はありません。
・監査役も必要ありません。
・事業目的、具体的な業務内容を記載します。

公証役場で定款の認証

作成した定款を自分で公証役場に持って行き認証を受けます。印紙代4万円、公証人手数料5万円等で、合計9万円強です。ところが電子認証という制度があります。電子認証にすれば印紙代4万円を削減できます。ただ、個人がそれをするのは意味がありません。準備だけで4万円程度かかりますし、セットアップが結構面倒です。会社設立を代理で行っている事務所の多くは電子認証に対応しています。つまり9万円程度で定款作成から電子認証までしてくれるところがあれば、定款作成の手間が省けるので依頼する方が得と言うことができます。

法務局で設立登記申請

次が法務局への株式会社登記ですが、これも本人申請が原則です。以下のものを用意して申請します。
・登記申請書
・OCR用申請用紙
・定款
・印鑑証明書
株式会社設立の登録免許税は15万円です。
なお、会社の代表者印を作成する必要があります。1万円程度から作成できます。

結局、25万円程度で株式会社の代表取締役社長になることが出来ました。手間もそれほどのことはありません。誰でもとりあえずは社長になることが出来ます。社長になることは易しいです。難しいのは社長になってからです。

(2009年11月10日)

不動産の相続登記

親が亡くなっても不動産の相続登記をしていない方が少なからずいます。別に支障がないから良いだろうということだと思います。確かに固定資産税を払っている限りにおいては役所からも指摘されません。暫くは困らないとは言えます。ただ、いつかは困ります。問題を先送りにしていることになります。

今回は相続による不動産の所有権移転登記に関してです。

相続登記をしないことによる不都合

相続登記をしないと、後々以下のように事態が複雑になってくる可能性があります。
・相続人が死亡して、その子供に相続権が移ってしまった
・相続人が結婚して、その配偶者がお金にうるさい
・相続人の経済状態が変わってしまった
・相続人である配偶者(故人の夫、妻)が再婚をした
亡くなった直後であれば、故人のためにも話を丸く収めようと努力するでしょうし、記憶が鮮明なので故人のために尽くした人が多く相続しても納得できるでしょう。しかし、年月が経過してしまうと相続関係が複雑になったり、関係者が増えたり、余計なことを言う人が出てきたりと厄介になってきます。問題を先送りにしたい気持ちも分りますが、いずれにしろやらなければならないことです。問題が大きく複雑にならないうちに片付けておいた方が良いと言えます。

「相続による不動産の所有権移転登記」を相続の部分と登記の部分に分けてみます。

不動産の相続

まず相続です。
相続人が1人であれば問題ありません。その人が全て相続すれば良いだけです。ただそのようなケースは少なく、相続人が複数いる場合がほとんどで、その場合には遺産分割が必要です。以下の3つのケースがあります。
1)遺言があり、その通りの分割をする
2)法定相続通りの分割をする
3)相続人全員で遺産分割合意書により合意分割する
まだ、遺言分割はそれほど多くはありません。また様々な事情がありますので単純に法定分割で済むケースも多くはありません。結局は、相続放棄も含めて話し合い、相続人で合意分割することになります。そして、遺産分割協議書を作成することになります。その中で、相続人の誰がその不動産を相続するか記載すれば良いわけです。しかしこれが意外と簡単ではなく、ずるずると相続登記が遅れてしまう原因になっています。

相続人による不動産の変更登記

不動産を相続する相続人が決まれば、次が登記です。
登記は本人申請が原則になっています。決して司法書士に頼まないといけないわけではありません。確かに、売買のように相手がいて共同申請が必要な場合は、取引の安全を図る上で専門家である司法書士に依頼することが現実的です。しかし、相続登記は単独申請ですので簡単です。本人申請が可能です。

具体的には以下の書類が必要になります。
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本、改製原戸籍謄本
・被相続人の除住民票
・相続人全員の戸籍謄本
・遺産分割協議書(実印押印)
・相続人全員の印鑑登録証明書
・不動産を相続する人の住民票
・固定資産評価証明書
以上の書類により、法務局は、
1)被相続人の戸籍によって相続人を割り出すことと
2)相続人全員で遺産分割を合意し、当該不動産は申請人が相続することで間違いがないことを判断することになります。
なお、相続登記の場合は、固定資産税評価額の1000分の4の登録免許税が必要になります。

自ら相続登記を行った実例

ところで先日、80歳のお年寄りに遺産分割協議書を作成して差し上げました。必要書類を教えておいたところ、司法書士に依頼せず自ら所有権移転登記を済ませてしまいました。法務局の相談窓口の方が丁寧に教えてくれたので特に問題なかったとのことです。5~10万円程度の司法書士費用を払わないで済んだことになります。相続登記は遺産分割協議書さえ作成できれば簡単です。

一見面倒に見えても、やってみると案外簡単なことが多いものです。お金に余裕があり、時間に余裕がない場合は別ですが、そうでなければ、相続登記は本人申請がお勧めです。また、新築建物の所有権保存登記、登記名義人の住所や氏名変更、あるいは抵当権抹消登記も同様に単独申請で簡単に行えます。

(2009年10月10日)

ADR(裁判外紛争解決手続)

世の中には様々な揉め事、紛争があります。社会の仕組みが複雑になり、貧富の差が大きくなり、そして権利意識が高まるにつれ、今後もますます紛争が多くなってくると思われます。

ところで、紛争解決に関わる用語には、
裁判、仲裁、調停、あっせん、和解、示談
といったようなものがあります。ただ、裁判は別として、それらの違いが今ひとつ分りにくいところがあります。あるいは何となく分っているようでも、人にその違いを説明出来ないのではないでしょうか?

今回はそれを整理してみたいと思います。

まず裁判ですが、これは別格です。裁判所で裁判官が判決を下す司法手続きで、どなたでもご存知の明確な紛争解決方法です。

仲裁、調停、あっせん

次の仲裁、調停、あっせんですが、これらは紛争解決方法として、一括りにされることが多いです。裁判所以外の民間の紛争解決機関でこれらをセットにして行っているところもあります。基本的に仲裁、調停、あっせんは、裁判にせずに当事者同士で話し合いにより解決する方法になります。その中では仲裁が最も裁判に近く、あっせんが最も当事者同士の話し合い解決に近いといえます。調停はその中間になります。ただ実際は各機関で独自に定義、分類しており、その違いは一意的ではありません。特に調停とあっせんは概念が非常に近く、明確に分類することは困難です。

仲裁

仲裁は、両当事者が仲裁人の判断に従うという前提で話し合いをします。仲裁委員が仲裁判断を下し、その判断は両当事者を拘束します。仲裁判断は確定判決と同様の効力があり、裁判でいう控訴、上告が出来ず確定してしまいます。

調停

調停では、調停委員が両当事者の話し合いのプロセスをコントロールして、お互いが合意するように誘導します。機関によっては調停案を提示するところもありますが、積極的には調停案を提示せず、当事者から解決案を引き出すことを基本的な方針にしている機関もあります。そして、うまく合意できれば、その合意した内容で調停委員も含めた合意書を作成し、取り交わします。しかしその文書自体には拘束力はありません。もし合意した当事者が合意内容を実行しない場合は裁判にして、その合意書を有力な証拠として提出することになります。

あっせん

あっせんと調停の線引きは明確ではありませんが、一般にあっせんの方が調停よりも更に両当事者の話し合いのウェイトが高くなります。あっせん員は話し合いの場を提供するような役割になります。イメージ的に言えば、調停の場合は調停委員が間に入って話し合いをするのに対し、あっせんの場合は両当事者が直接話し合うような違いがあります。あっせん案を提示するか、あっせん員は何名で行うかなどは、調停と同様にそれぞれの機関で取り決めをしています。合意した場合の合意書作成も調停と同様です。

和解

和解は、仲裁、調停、あっせんと違って、話し合いで解決された状態を言います。話し合いの目的あるいは結果であって、紛争解決の手段、方法ではありません。裁判や仲裁のように第三者が判決、判断を下す方法ですと、結果として、和解したというのは言いにくいですが、話し合いが基本の調停、あっせんであれば、目的が和解であり、結果として和解したと言えます。例えば、和解(のための)調停、調停(による)和解と言えることになります。和解は民法上に規定のある一種の契約で、いつでもすることが可能です。仲裁手続き中でも、裁判の直前でも裁判中でも、いつでも和解は可能です。

示談

示談は両当事者の話し合いで解決(和解)する際の一つの類型です。一般には、一方当事者の不法行為を賠償金(示談金)を払って解決(和解)することを示談と言います。従って、調停、あっせんなどの話し合いの結果、合意した際に作成する文書のタイトルは合意書だけでなく、和解書、示談書などにすることもあります。

裁判所における調停

ところで、簡易裁判所、家庭裁判所などでも調停を行っています。司法でも出来るだけ裁判ではなく、話し合いでの解決を図ろうとしていることになります。裁判所に訴えを持ち込んでも、事案によっては裁判より先に調停をすることが義務付けられているものもあります。裁判所の調停は確定判決と同等の効果を持ち、民間の調停とは異なります。

ADR(裁判外紛争解決手続)

さて、最後になりますが、タイトルのADRです。ADRとはAlternative Dispute Resolution の略称で、裁判以外で紛争を解決する手続きを意味します。最近一種のブームになっており、各業界団体、士業などで盛んにADRの認証を取得し、活動を始めています。日本のADR法では上記の民間でおこなう調停とあっせんを規定しています。仲裁には仲裁法という別の法律があります。

(2009年2月12日)

著作権 その2

今回は、前回の著作権の続きで、知っておいた方が良いと思われる事項です。

– 複製とは、「既存の著作物に依拠し、その内容及び形式を覚知させるに足りるものを再製すること」なので、たまたま似たようなものを作成した場合は複製権の侵害にはなりません。ただあまりにも酷似している場合は、知らなかったという主張は通りにくくなります。

– 時々、個人のWebサイトなどに他の人の文章をそのまま掲載しているケースが見受けられます。これは明らかに著作権侵害で、何人が見たかは関係なく、サーバーに他人の著作物をアップロード(コピー)した段階で(見れるようにしたという意味で)著作権の内の公衆送信権の侵害になります。ただ、リンクを張ることは存在箇所を示しているだけでなり、基本的に著作権の問題は発生しません。

– 催し物などで音楽を流したり、演奏したりすることがありますが、非営利、無料、無報酬の3拍子揃って、初めて著作権者の許諾が不要になります。一つでも欠けると著作権者の許諾が必要になります。現実的には、著作権の管理を受託しているJASRAC等の許諾を得る必要があります。

– 「禁無断引用、禁無断転載」等の表記を見ることがあります。そのような表記がなくとも、転載は一部の丸写しになるので出来ませんが、引用は禁止と書かれていても正当な範囲であれば可能です。但し、カギ括弧などで明確にするなどの条件があります。

– 書籍やWebサイトでマルCマークを見ます。これは、過去米国で、著作権が登録主義であった時代があり、その名残りです。現在は日本は元より米国でも不要です。もちろん付けて害はなく、付いている方が格好良いかなという程度です。

– 著作権はベルヌ条約をはじめとした条約でほとんどの国で著作権を相互に保護しています。日本の著作物はアメリカで、ほぼ同等のアメリカの著作権法で保護されていることになります。逆も真なりで、海外の著作物を日本で権利侵害すると日本の著作権法に抵触します。

– 著作権を譲り受ける際の契約書には基本的に以下の条項をいれることになっています。
「甲は乙に対し、本著作物に関する全ての著作権(著作権法第27条、第28条に規定する権利を含む)を譲渡する。」
もし、括弧( )内の27条、28条の記載がないと、譲渡を受けた側で二次的著作物が作れなくなってしまうので注意が必要です。また著作者人格権は譲渡不能なので、「甲は著作者人格権を行使しないものとする。」という表現も盛り込む方が無難です。但し、譲渡すると”公表に同意したものと推定する”という条項がありますので、著作者人格権の内、公表権に関しては表現がなくても行使されないことになっています。逆に言えば、記載しないと著作者人格権の内、氏名表示権と同一性保持権を主張される可能性があります。

– 著作権には登録制度があります。ただこれは権利の登録ではありません。権利は表現時に発生しています。第一発行年月日や(ペンネームで発表された著作物の)実名登録、権利譲渡の登録等に利用されます。余談ですが、絵を売る際に、著作権登録して、『著作権登録済み』と記載すると少し高く売れるようです。

(2008年12月30日)

著作権

インターネット、電子機器の普及等によって著作権が身近なものになりました。誰でもが著作者になり、誰でもが著作権侵害者になる時代になったと言えます。

そこで今回は著作権の話です。

時代の変化が激しく、著作権は毎年のように改正されています。しかし、なかなか時代に追随できていないのが現状です。まず著作権の定義ですが、条文には、

思想、感情を創作的に表現し、文芸、学術、美術、音楽の範囲に属するもの

とあります。但し、実務的には条件、範囲はかなり広く、ゆるく考えられています。例えば、子供の絵でもスナップ写真でも基本的には著作権があると考えられています。
次に、表現形態としては、

言語、音楽、舞踊・無言劇、美術、建築、地図・図形、映画、写真、プログラムなど

となっており、これまた例示列挙でかなり範囲が広いです。更に、権利の登録は必要なく、表現した時に権利が発生します。よって、子供が描いた絵でも、出来上がった時点で立派な著作物になるわけです。

著作権は、狭義の著作権と著作隣接権に大別されますが、レコード製作者などの著作隣接権はかなり複雑なので、今回は触れません。中心となる著作権は更に以下のように著作者人格権と著作権(財産権)に分かれます。

著作者人格権
公表権、氏名表示権、同一性保持権
著作権(財産権)
複製権、上演権・演奏権、上映権、口述権、展示権、公衆送信権等、
頒布権、譲渡権、貸与権、翻訳権・翻案権等、二次的著作物利用権

両者の大きな違いは、財産権である著作権は譲渡できますが、著作者人格権は一身専属の権利で譲渡できない、譲渡されないという点です。

著作者人格権の公表権とは公表するかどうかを決定できる権利、氏名表示権は公表する時に氏名を表示するかどうか決定できる権利、同一性保持権は自らの意に反して改変されない権利です。それら著作者人格権は死亡するまで著作者が持ち続ける権利です。著作権(財産権)には複製権に始まって11の権利があります。それらを一括でも個別でも譲渡することが可能です。

なお、著作権の期間は基本的に著作者の死後50年間です。著作者の孫の代まで位がその著作権の恩恵を受けられれば、後は社会的財産にしても良いであろうということが趣旨のようです。

以下、著作権に関して、知っておいた方が良いと思われることです。

  • 著作者は自然人が原則です。しかし、以下の5つの条件を全て満たすと法人が著作者になります。
    • 1)法人の発意で
    • 2)業務従事者が
    • 3)職務上創作し
    • 4)法人名義で公表し
    • 5)就業規則等に特段の定めがない(普通はありません)

この場合、創作に携わった従業員には何の権利もありません。コンピュータプログラム、営業パンフレットなど日常の会社業務で作成されるものは全て該当すると言えます。それに対して、特許は職務上の発明であっても基本的に個人が権利者です。会社に権利譲渡する場合は相当の対価が必要になります。つまり、職務発明でも特許の場合は個人に権利がありますが、著作権の場合は原則的に会社に権利があります。

  • 著作権は作成者にあります。例えば、プログラム開発を有償で委託し、完成したプログラムが納品されたとしても、著作権までは納品されていません。お金を払った側に著作権はありません。著作権は実際にプログラムを書いた受託企業にあります。ということは、受託してプログラムを開発した企業は、特約がない限り、他システムにそのプログラムを利用しても構わないことになります。

◇◇◇◇◇◇◇◇ 量が多くなりました。⇒ 次号に続きます。

(2008年12月 1日)

外国人の在留許可と就労

外国人が増えています。街中でも職場でも増えてきました。少子化も相まって今後ますます増えると思われます。外国人と一緒に生きていくことが必要になってきています。

今回は、入管法、外国人の在留許可、そして就労に関してです。

外国人とは

まず外国人という定義ですが、入管法によれば「日本人の国籍を有しない者」となっています。つまり、外国の国籍を持っていても日本の国籍を持っていれば、日本人であり、外国人として扱わないということになります。また、日本は血統主義(*)を採用していますので、どちらか一方の親が日本人であれば、どこで生まれても日本人になります。

査証(ビザ)と在留資格

次に、外国人が日本に入国する際ですが、一般に、有効な旅券を所持することの他に、査証(ビザ)が免除される場合を除き、旅券に有効な査証を取り付けていることが必要になります。査証が免除されるのは、査証免除国の国籍を持ち、観光など報酬活動に従事しない短期滞在の場合です。平成17年の在留資格別新規入国者数(永住者を除く)612万人のうち、短期滞在がほとんどで約94%です。

さて、”本格的に”日本に滞在しようとする外国人には査証が必要となります。日本の査証は入国目的別に以下の7種類があります。
外交、公用、就業、一般、通過、短期滞在、特定
査証とは入国するために必要なものであり、入国の際に査証に記載されている入国目的に対応した在留資格を得てしまうと、その役目を終了します。

従って、よく言うビザの変更、ビザの延長という表現は正しくなく、正しくは在留資格の変更、在留期間の更新になります。また、入国目的、在留資格、在留身分、在留活動とはほとんど同一の意味、あるいは対応関係が存在します。査証はそれをグルーピングしています。その対応関係は以下の通りです。

査証(ビザ)と在留資格の種類

査証の種類:入国目的/在留資格/在留身分/在留活動
1)外交:外交
2)公用:公用
3)就業:教授、芸術、宗教、報道、投資・経営、法律・会計業務、医療、
研究、教育、技術、人文知識・国際業務、企業内転勤、興行、技能
4)一般:文化活動、留学、就学、研修、家族滞在
5)通過:短期滞在
6)短期滞在:短期滞在
7)特定:特定活動、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者
(査証不要:永住者)
<計 :27種類>

7種類の査証に27種類の在留資格です。但し、永住者だけは入国時に査証は不要です。

在留資格と在留活動

日本では在留資格に対応した在留活動が出来ます。逆にそれ以外の活動は原則的に出来ません。在留資格に対応した就労活動であれば、入国後に就労許可を得る必要はありません。欧州諸国では逆で、入国した後で就労許可を得ます。

27種類の在留資格の内、
日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、永住者
の4つの在留資格だけは特別扱いになっています。在留活動に制限がなく、単純労働など職種を問わず、収入を伴う活動が何でも出来ます。更に永住者はそれに加えて在留期間の制限がありません。他の3つの在留資格は1年、または3年間が在留期間です。もちろん、在留期間の更新は可能です。というわけで、外国人は、日本人の配偶者になりたがるわけですし、更には永住者の資格を取りたいと思うわけです。永住者の資格を取得するためには、通常は10年ほど真面目に日本に在留、生活する必要がありますが、日本人の配偶者であれば、それよりもずっと緩い基準で永住者になることが出来ます。

外国人の就労

ところで、留学、就学という在留資格だけでは報酬を伴う活動をすることは出来ません。そこで多くの留学生は資格外許可を受けてアルバイトをすることになります。それによって、例えば1週間に28時間を限度に資格外活動、要はアルバイトをすることが出来るようになります。

外国人を雇う場合には、旅券や外国人登録証明書(市区町村でこれを取得すれば旅券の携帯を免れます。)で在留資格を確認して、職種、期間など雇用しても問題のないことを確認する必要があります。ところが、一般の人にとって、その判断が実は容易ではありません。結果的に、雇用者は不法就労助長罪(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)を犯したくはありませんので雇うことに慎重、あるいは消極的になりかねません。それではまずいということで、誰にでも簡単に分る、就労資格証明書というものを入国管理局が発行するようになりました。取得は任意ですが、1000円以下で取得できますので、持っていない外国人には是非入手を勧めると良いと思います。本人も不利益な扱いを受けないようになりますし、雇用側も安心できます。

(*)血統主義に対立する概念として出生地主義(親がどこの国の国民であろうと、自国で生まれた子は自国民になる。)があります。 血統主義は韓国、ドイツなど、また出生地主義はアメリカなどが採用しています。

(2008年10月19日)