「どう考えても我慢できない、訴えてやる」と思うことが間々あります。しかし、そう思いながらも時間と費用、手間を考えると出来るわけないな、と同時に思っているのも事実です。ところが、時間も費用も手間もあまりかからずに訴える方法があります。少額訴訟です。
今回は誰にでも出来る(やってみたい)少額訴訟の話です。
少額訴訟は、時間としては1日、費用としては数千円、手間としてはA4用紙1枚という手軽さです。もちろん本人が行う訴訟です。弁護士に依頼したら費用的にも手間的にも大変です。泣き寝入りした方がましでしょう。
基本的に民事訴訟は自分で起こすことが出来ます。契約不履行あるいは不法行為を受けたので損害賠償請求をしたい、というのが民事訴訟の基本的な考え方です。かの三浦和義は弁護士に依頼せず、自ら名誉毀損の本人訴訟を476件起こし、80%が勝訴(15%が時効による却下、5%が敗訴)とのことです。
少額訴訟は民事訴訟の中で60万円までの金銭債務問題のみを扱います。
例えば、以下のような時に利用できます。
・借金を返してくれない
・敷金を返してくれない
・商品を販売したのに代金を支払ってもらえない
・交通事故などの損害賠償金を支払ってもらえない
・アルバイトなどで約束通り給料を払ってもらえない
・...
少額訴訟は、原則として1回の審理で双方の口頭弁論を行い、その日のうちに判決が下されます。裁判官の指揮にしたがって訴訟を進めればよく、たいていの場合特別な知識はほとんど必要ありません。少額訴訟の法廷では、裁判官、原告、被告などすべての当事者が丸いテーブル(ラウンドテーブル)を囲んで座り、対話をするような雰囲気で審理が進められ、精神的な苦痛がなく安心と言われています。少額訴訟とはいえ、訴えが認められれば、必ず仮執行宣言が付くので被告側には支払義務が正式に発生します。それに従わない場合には判決内容の強制執行が可能です。
まさか裁判を起こさないであろうと思っている相手をぎゃふんと言わせるには効果的で、訴状が届いただけで「和解」でトラブルが解決することが多いようです。
60万円以下のトラブルで絶対に許せないと思った時は少額訴訟を起こしましょう。ただ、明らかに勝てるという自信があるときだけにした方が良いかもしれません。
(2008年5月13日)