入国管理局の申請書が変更

入国管理局の外国人在留関連の申請書が変更されています。
分かった範囲の具体的な変更は、以下のようです。

  • 「申請人2」の「職歴」の欄
    •  従来は、職歴単位で年月欄が一つでした。
    •  それが、入社/退社の2つに分かれました。
    •  今まで書きにくかったのでこれは改善です。
  • 「所属機関1」
    •  「契約の形態」が増え、以下の選択をするようになりました。
      雇用、委任、請負、その他
  • 「所属機関1」「所属機関2」
    •  「勤務先」、「派遣先」の(x)の数字が変更されていますが、単に「支店・事業所名」に番号を振っただけの変更です。
  • 認定証明書
    •  日系四世の項目が増え、結果的に「所属機関用3」が増えました。

在留資格の数、様式の数が多すぎて、網羅的に調べるわけにはいきませんので、あくまでも分かった範囲の変更内容です。

外国人留学生の就労拡大に向け、新たな制度

法務省は外国人留学生の就労拡大に向け、以下の新たな制度を創設するとのことです。

  • 日本の大学または大学院の卒業後、年収300万円以上で日本語を使う職場で働く場合に限り、業種や分野を制限せずに外国人の在留を認める。
  • 留学生が大学卒業後に就労を希望する場合「技術・人文知識・国際業務」など入管法に定める就労資格に変更すれば今も可能だが、学んだ分野と業務に関連性が必要で、選択肢が限られていた。
  • 独立して生計を維持する能力を示す基準として年収300万円の要件を満たせば就職先を幅広く選べる。
  • 起業など外国人のさまざまな活動を法相が独自に定める在留資格「特定活動」の対象範囲を広げるか、入管法を改正して新たな資格を設けるかを検討している。
  • 来春にも新制度を導入し、留学生の就労拡大につなげる。

留学生が、業種や分野を問わず就職して在留できるとしたら凄いことです。
今まで、多くの留学生が、「学んだ分野と業務の関連性」という壁にぶち当たって帰国していました。
この制度が導入されれば、相当の数の留学生が日本で就職をするのではないかと思われます。

新就労資格の対象を拡大

新しい就労資格として、人手不足が深刻な建設、農業、介護、造船、宿泊の5分野だけでなく、一部の製造業を対象に含める方向になった。

  • 技能実習制度が扱う77職種のうち、食料品製造、鋳造、金属プレスなどが追加される可能性がある。
  • 非製造業では漁業などが候補に挙がっている。
  • ただし、3~5年の技能実習を優良で修了し、即戦力として期待できる外国人に限る方向。
  • また、入国前の外国人への日本語教育にも力を入れる。

2019年4月から新たな在留資格

  • 7月11日、菅官房長官が以下を表明した。
    • 新たな在留資格は、2019年4月から運用開始の予定
    • 受け入れ業種や日本語教育の強化などを検討する関係閣僚会議を7月中にもうける。
    • 人手不足が深刻な建設、農業、介護、造船、宿泊の5業種の予定
    • 9月から、就労を希望する外国人の適性試験を始める。

2019年からの新しい在留資格を得る方法

2019年4月からの新しい在留資格を得るには、2つの方法がある。

  1. 一つは最長5年の技能実習制度を修了すること。
    現時点では、技能実習生は研修期間を終えると本国に帰還しなければいけない。
    新制度では、技能実習で得た経験をいかしてそのまま国内で仕事ができるようにする。
  2. もう一つは新たに導入する試験に合格すること。
    日本語の能力水準はある程度の日常会話ができる「N4」を原則とする。
    建設や農業などでは日本語がさらに苦手な人でも認める。
    また、技能面での能力も確認する。

日本語学校急増

観光客の増加と共に、日本語学校、及びその生徒が増えています。しかし、日本語学校設置の基準が緩いため、「金儲け」のための安易な日本語学校設立も増えており、結果として、学生の質の低下、ひいては不法就労、不法滞在につながるケースも増えています。
日本語学校の質の低下の歯止め、健全な育成を図るため、法務省は設置基準を厳しくします。

  • 日本語習得を目指す留学生を受け入れる日本語学校が増えている。
  • 今春には600校を超え、私立大学並みの校数となった。
  • 東京・銀座など知名度の高い場所に立地したり、有名大学受験を目指したりと多様化。
  • 地方では地域活性化を狙って自治体が誘致する動きもある。
  • 半面、就労目的とされる事例も増え、在留資格の審査は厳格化している。
  • 日本語学校は法務省の基準を満たすなどすれば開校でき、最近は不動産会社や人材派遣会社の参入も目立つ。
  • 2016年度の生徒数は15年度比21%増の6万8165人と、留学生全体の約3割を占め、大学在籍の留学生数に迫る。
  • 東京芝浦外語学院(東京・港)は4月、「銀座ワールドアカデミー」を開いた。
    銀座に近く校舎ビル購入に約5億円かかったが、日本の中心で学べる特別感を売り物にする。
  • 内装設計会社が始めた日本国際文化教育学院東京校(東京・台東)は浅草寺の裏手に約3億円で購入したビルを利用。
    外国人に知名度の高い立地で留学生を集める。
  • 東京JLA外国語学校早稲田校(東京・新宿)は早稲田大学進学を目指し、学生寮を設けて受験指導もする。
    専門学校に進学する日本語学校留学生が多いなか、有名大学を目指す。
  • 石川県加賀市は4月、旧市民病院に日本語学校を誘致した。
    若者を増やして地域の活性化を図る狙い。
    初年度はインドネシアとベトナムの留学生が入学し、将来は市内就職など定着を期待する。
  • 東京都奥多摩町は廃校に人材会社を誘致、日本語学校を10月に開いてもらう。
    フィリピンやベトナムなどの留学生が、授業後はIT(情報技術)の仕事も手掛ける計画。
    町は住民と留学生の交流を促し、観光振興にもつなげたい考えだ。
  • 今後の海外展開に備えようと、静岡市の健康食品会社、AFC―HDアムスライフサイエンスは同市内に、19年4月開校を目指した日本語学校をつくる。
    主に東南アジア出身の生徒を募集、自社の海外展開を担う人材を育成する。
  • ただ、就労を巡ったトラブルが増加。
  • 福岡県などでは昨年、日本語学校の運営者らが留学生にアルバイト先を紹介し、法定時間を超える不法就労をさせたとして、出入国管理法違反容疑で摘発されている。
  • 全国日本語学校連合会(東京・千代田)の荒木幹光理事長は、「親日家をつくるのが目的なのに、留学生の日本へのイメージが悪化しかねない」と懸念する。
  • すでに、留学生の在留資格審査は厳しくなっている。
  • 東京入国管理局が今春の留学生申請に対し在留資格を認めた交付率は82%と、前年同期の91%から大きく低下し、入学予定者が来日できない事例が続出している。
  • 法務省は8月から新設校の審査基準も厳しくする。

日経新聞 2017年6月11日

外国人のエンジニア派遣が増加

現在、産業界ではエンジニアの人手不足感が強く、外国人のエンジニアが増えてきています。しかし、まだ正規社員で雇用するというよりは、派遣社員として増やしている段階です。大手の会社は別として、多くの会社では、外国人エンジニアが本当に長期的に自社の中核戦力として育ってくれるかに関して及び腰というところのようです。
また、外国人の派遣社員としての待遇は、日本人の派遣技術者のレベルにまでは到達していないようです。

  • 国内ではエンジニア需要が増えているが人手不足感が強い。
  • 国内在住の外国人エンジニアは5万人前後。
  • 人材会社はエンジニア派遣の外国人を合計で年間1000人規模で増やす。
  • 一方、アジアの理系学部出身の大卒技術者は待遇改善が見込めるため、日本企業で働きたいという人材も多い。
  • 大手のテンプホールディングスは従来の機械や電機などの分野だけでなくIT(情報技術)にも対象を拡大。
    2017年度に50人を採用し、6割増の130人規模にする。
    主にベトナムや中国などアジア7カ国・地域で面接して採用する。
  • リクルートホールディングスは韓国の2年制の専門大学に独自のカリキュラムの教室を設置。
    今秋の最終試験を経て30人前後を採用し、来春から日本の自動車メーカーの設計部門などに派遣する。
    エンジニア派遣の外国人人材は約200人いるが、今後、新卒と中途採用あわせて年150人前後を採用する。
  • 中堅のヒューマンホールディングスも16年度に始めた外国人エンジニア派遣を19年度までに現在の15倍の750人体制にする。
    6月にはタイ、ベトナム、ミャンマーで採用説明会を初開催する。

人材各社は、外国人技術者を正社員として雇用し、日本人と同等の業務内容を担わせ、待遇も同水準に高める。

日経新聞 2017年6月1日

外国人の在留許可と就労

外国人が増えています。街中でも職場でも増えてきました。少子化も相まって今後ますます増えると思われます。外国人と一緒に生きていくことが必要になってきています。

今回は、入管法、外国人の在留許可、そして就労に関してです。

外国人とは

まず外国人という定義ですが、入管法によれば「日本人の国籍を有しない者」となっています。つまり、外国の国籍を持っていても日本の国籍を持っていれば、日本人であり、外国人として扱わないということになります。また、日本は血統主義(*)を採用していますので、どちらか一方の親が日本人であれば、どこで生まれても日本人になります。

査証(ビザ)と在留資格

次に、外国人が日本に入国する際ですが、一般に、有効な旅券を所持することの他に、査証(ビザ)が免除される場合を除き、旅券に有効な査証を取り付けていることが必要になります。査証が免除されるのは、査証免除国の国籍を持ち、観光など報酬活動に従事しない短期滞在の場合です。平成17年の在留資格別新規入国者数(永住者を除く)612万人のうち、短期滞在がほとんどで約94%です。

さて、”本格的に”日本に滞在しようとする外国人には査証が必要となります。日本の査証は入国目的別に以下の7種類があります。
外交、公用、就業、一般、通過、短期滞在、特定
査証とは入国するために必要なものであり、入国の際に査証に記載されている入国目的に対応した在留資格を得てしまうと、その役目を終了します。

従って、よく言うビザの変更、ビザの延長という表現は正しくなく、正しくは在留資格の変更、在留期間の更新になります。また、入国目的、在留資格、在留身分、在留活動とはほとんど同一の意味、あるいは対応関係が存在します。査証はそれをグルーピングしています。その対応関係は以下の通りです。

査証(ビザ)と在留資格の種類

査証の種類:入国目的/在留資格/在留身分/在留活動
1)外交:外交
2)公用:公用
3)就業:教授、芸術、宗教、報道、投資・経営、法律・会計業務、医療、
研究、教育、技術、人文知識・国際業務、企業内転勤、興行、技能
4)一般:文化活動、留学、就学、研修、家族滞在
5)通過:短期滞在
6)短期滞在:短期滞在
7)特定:特定活動、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者
(査証不要:永住者)
<計 :27種類>

7種類の査証に27種類の在留資格です。但し、永住者だけは入国時に査証は不要です。

在留資格と在留活動

日本では在留資格に対応した在留活動が出来ます。逆にそれ以外の活動は原則的に出来ません。在留資格に対応した就労活動であれば、入国後に就労許可を得る必要はありません。欧州諸国では逆で、入国した後で就労許可を得ます。

27種類の在留資格の内、
日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、永住者
の4つの在留資格だけは特別扱いになっています。在留活動に制限がなく、単純労働など職種を問わず、収入を伴う活動が何でも出来ます。更に永住者はそれに加えて在留期間の制限がありません。他の3つの在留資格は1年、または3年間が在留期間です。もちろん、在留期間の更新は可能です。というわけで、外国人は、日本人の配偶者になりたがるわけですし、更には永住者の資格を取りたいと思うわけです。永住者の資格を取得するためには、通常は10年ほど真面目に日本に在留、生活する必要がありますが、日本人の配偶者であれば、それよりもずっと緩い基準で永住者になることが出来ます。

外国人の就労

ところで、留学、就学という在留資格だけでは報酬を伴う活動をすることは出来ません。そこで多くの留学生は資格外許可を受けてアルバイトをすることになります。それによって、例えば1週間に28時間を限度に資格外活動、要はアルバイトをすることが出来るようになります。

外国人を雇う場合には、旅券や外国人登録証明書(市区町村でこれを取得すれば旅券の携帯を免れます。)で在留資格を確認して、職種、期間など雇用しても問題のないことを確認する必要があります。ところが、一般の人にとって、その判断が実は容易ではありません。結果的に、雇用者は不法就労助長罪(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)を犯したくはありませんので雇うことに慎重、あるいは消極的になりかねません。それではまずいということで、誰にでも簡単に分る、就労資格証明書というものを入国管理局が発行するようになりました。取得は任意ですが、1000円以下で取得できますので、持っていない外国人には是非入手を勧めると良いと思います。本人も不利益な扱いを受けないようになりますし、雇用側も安心できます。

(*)血統主義に対立する概念として出生地主義(親がどこの国の国民であろうと、自国で生まれた子は自国民になる。)があります。 血統主義は韓国、ドイツなど、また出生地主義はアメリカなどが採用しています。

(2008年10月19日)