定款の記載事項と登記事項の関係が少し分かりにくいです。
定款とは会社運営の基本事項、基本ルールです。会社にはある程度自治権があり、法令に違反しない範囲で、自ら運営ルールを作成することが出来ます。それが定款です。どのような事業を行うか、株式をどのくらい発行するか、取締役会を設置するか、などです。会社設立時に発起人が集まり、どのように会社を運営しようかと話し合います。そして定款を作成するわけです。ただ、行政としては勝手に法令違反の定款を作成し、勝手に法令違反の会社運営をされては困るという考えがあります。そこで、会社設立段階の定款が法令違反をしていないかどうか、公証役場という役所がチェックをする仕組みになっています。
ところで、定款に書かれていることの一部が登記事項になります。定款は30数条6~7ページになりますが、登記事項はそれ程多くはありません。会社設立申請時に法務局に「登記すべき事項」という書類を提出します。それが文字通り実際の登記事項になります。最近手がけた会社設立の書類では、具体的に以下のようになっています。
商号、本店、広告をする方法、目的、発行可能株式総数、発行済み株式の総数、
資本金の額、株式の譲渡制限に関する規定、役員に関する事項、監査役設定会社に関する事項
会社設立をするとすぐに「現在事項全部証明書」をとりますが、そこにはまさしく上記の項目が並んでいます。唯一追加されているのは、会社設立の年月日だけです。
会社設立後、会社が成長するにつれ、資本金の額が増えたり、取締役会を設けたりと会社の基本事項、基本ルールが変化します。それに伴い定款変更及び変更登記を行うことになります。定款に対する変更は基本的に株式総会の特別決議で決定し、変更します。その変更にはもはや公証役場は関与せず、会社内で責任をもって変更、管理していくことになります。定款に記載されている事項の方が登記事項より多いので、定款変更をしても変更登記をする場合としない場合があります。逆に、役員の改選のように定款変更は必要ないが変更登記が必要な事項があります。法令を順守し、決まった手続きに沿って、適切に定款を変更し、登記を変更することは会社運営の基本になります。
(2011年4月19日)