増える尊厳死宣言

尊厳死を選択する人が少しずつではありますが、増えています。

尊厳死とは、本人にも、家族にも負担を強いる延命措置を望まないことで、人間として尊厳を保った最期を自ら選択することです。

医療は人を生かすことを使命としていますし、家族等からの責任追及を恐れますので、最後まで延命の努力をします。それ故、尊厳死を選択するにはそれなりの厳格な手続きが必要になります。医師側に、本人も家族も延命治療を望んでいないこと、医師には何の責任もないことを納得してもらう必要があります。

一つの方法は、尊厳死公正証書を作成する方法です。本人が自ら公証役場に出向き、公証人に尊厳死宣言公正証書を作成してもらいます。もしある程度病気が進んで外出が困難であれば、公証人に自宅、病院などに出張してもらうことも可能です。作成費用は1万2千円程度で、もし出張が必要な場合はそれに1万円程度加算されます。
尊厳死公正証書には、以下のようなことを書きます。
・死期を延ばすためだけの延命措置は一切行って欲しくないこと
・苦痛を和らげる処置は最大限実施して欲しいが、それによって死期が早まっても構わないこと
・家族(具体的な氏名)の同意を得ていること
・延命措置をしないことに関し、医師や家族に責任がないこと
・この宣言は、自分の精神が健全な状態のときにしたものであること

もう一つ、日本尊厳死協会(http://www.songenshi-kyokai.com/)に入会する方法もあります。これは一般社団法人で、尊厳死に関わる様々な活動をしています。尊厳死宣言書を作成し、原本を協会で保管し、会員には宣言書のコピー(原本証明付き)と会員証が送られてきます。会費は年間2千円です。

(2014年 2月 5日 日経新聞より)