相続財産の調査強化

相続税の課税強化が予定されています。それを見据え、税務署は既に相続財産の調査を強化し始めています。

  • 2010年の死亡者数は約120万人で相続税の納税申告件数は約5万件、その30%が実地調査を受け、そのうち申告漏れで税金を追徴されたのは約80%。
  • 申告書提出から1~2年の間に調査があり、財産が2億円以上だと調査される可能性が高い。
  • 被相続人の財産が相続人名義の預貯金に紛れ込む「名義預金」の調査が一段と厳しくなっている。相続人名義でも実質的に被相続人の管理下にあったと税務署が判断すれば相続財産に認定される。
  • 金は2012年から1回200万円を超える買い取りについて、取扱業者が税務署への支払調書の提出を義務付けられた。
  • 有料老人ホームを利用していた被相続人が短期間で死亡し退去した場合、入居一時金は返還され、通常は被相続人の財産として扱う。しかし、申告しないケースが多く、税務署が確認を強化している。
  • 2000万円以上の所得のある人に提出義務のある「財産及び債務の明細書」の提出を税務署から強く求められることが増えてきた。

税務署が重点チェックする項目

  • 被相続人の生前の所得・資産に見合う財産額を申告しているか?
  • 相続人(家族)名義の預貯金に被相続人の財産が紛れ込んでいないか?
  • 相続人名義の同族会社株は実質的に被相続人の財産ではないか?
  • 被相続人の生前贈与は適正か?
  • 国外にある預貯金などの相続財産をきちんと申告しているか?
  • 有料老人ホームの入居一時金の返還分を申告しているか?
  • 債務・葬式費用などを過大に差し引いていないか?
  • 「法規模宅地の評価減」が受けられないのに申請していないか?
  • 被相続人の死亡直前に多額の預貯金を引き出し、財産を減らしていないか?
  • 相続人は納税資金をどのように調達したか?

相続税の税務調査に対応する方法

  • 被相続人、相続人の預貯金通帳を3~5年分用意
  • 申告していない財産はないか、もう一度精査
  • 国外財産は十分な説明資料を準備
  • 被相続人の預貯金口座などからの出金について、合理的な説明資料を準備
  • 被相続人からの贈与を主張するなら、証拠(贈与税申告書、契約書)を用意

2012年12月15日 日経新聞より