シェアオフィスも在留OK?

在留資格「経営・管理」に必要な事務所要件が緩和されるようです。
今でも状況によっては認められないこともないですが、以下の3要件を満たせば、9月から、シェアオフィスも事務所として認めるとのことです。

  1. 日本貿易振興機構(ジェトロ)が支援
  2. 起業から3年未満
  3. 登記ができるシェアオフィスに入居

2、3はともかく、少し調べた範囲では、1の要件は狭く、実際はあまり変わらないような気がします。

外国人留学生の就労拡大に向け、新たな制度

法務省は外国人留学生の就労拡大に向け、以下の新たな制度を創設するとのことです。

  • 日本の大学または大学院の卒業後、年収300万円以上で日本語を使う職場で働く場合に限り、業種や分野を制限せずに外国人の在留を認める。
  • 留学生が大学卒業後に就労を希望する場合「技術・人文知識・国際業務」など入管法に定める就労資格に変更すれば今も可能だが、学んだ分野と業務に関連性が必要で、選択肢が限られていた。
  • 独立して生計を維持する能力を示す基準として年収300万円の要件を満たせば就職先を幅広く選べる。
  • 起業など外国人のさまざまな活動を法相が独自に定める在留資格「特定活動」の対象範囲を広げるか、入管法を改正して新たな資格を設けるかを検討している。
  • 来春にも新制度を導入し、留学生の就労拡大につなげる。

留学生が、業種や分野を問わず就職して在留できるとしたら凄いことです。
今まで、多くの留学生が、「学んだ分野と業務の関連性」という壁にぶち当たって帰国していました。
この制度が導入されれば、相当の数の留学生が日本で就職をするのではないかと思われます。

外国人就労に適性試験

外国人雇用協議会は、2018年9月から、就労を希望する外国人の適性試験を始める。

  • 日本語や社会的なマナー、仕事上のやりとりなどの基礎知識を試して評価する。
  • 企業が必要な人材を得やすくなるほか、外国人側も企業が求めている技能や知識がわかりやすくなる。
  • 受験対象者は日本での就職を考えている留学生などを想定する。
  • マークシート方式の選択問題で、たとえばゴミ出しのルールから、来客や電話の応対、ビジネス慣習などに関して出題する。
  • 結果は10段階で評価する。
  • 2019年には、ホテル・旅館や飲食、小売りなど業種別に能力試験を始める。
  • 2019年4月からの新在留資格を取得するためには、関係省庁などが実施するこのような試験への合格が必要な場合がある。

新就労資格の対象を拡大

新しい就労資格として、人手不足が深刻な建設、農業、介護、造船、宿泊の5分野だけでなく、一部の製造業を対象に含める方向になった。

  • 技能実習制度が扱う77職種のうち、食料品製造、鋳造、金属プレスなどが追加される可能性がある。
  • 非製造業では漁業などが候補に挙がっている。
  • ただし、3~5年の技能実習を優良で修了し、即戦力として期待できる外国人に限る方向。
  • また、入国前の外国人への日本語教育にも力を入れる。

2019年4月から新たな在留資格

  • 7月11日、菅官房長官が以下を表明した。
    • 新たな在留資格は、2019年4月から運用開始の予定
    • 受け入れ業種や日本語教育の強化などを検討する関係閣僚会議を7月中にもうける。
    • 人手不足が深刻な建設、農業、介護、造船、宿泊の5業種の予定
    • 9月から、就労を希望する外国人の適性試験を始める。

2019年からの新しい在留資格を得る方法

2019年4月からの新しい在留資格を得るには、2つの方法がある。

  1. 一つは最長5年の技能実習制度を修了すること。
    現時点では、技能実習生は研修期間を終えると本国に帰還しなければいけない。
    新制度では、技能実習で得た経験をいかしてそのまま国内で仕事ができるようにする。
  2. もう一つは新たに導入する試験に合格すること。
    日本語の能力水準はある程度の日常会話ができる「N4」を原則とする。
    建設や農業などでは日本語がさらに苦手な人でも認める。
    また、技能面での能力も確認する。

訪日客、最速で1000万 5月15%増 地震影響、伸びは鈍化

相変わらず、アジアを主とした訪日客は増えていますが、伸び率は鈍化し始めました。

そろそろ、潮目が変わるかもしれません。
以下、観光庁の6月15日発表です。

  • 2016年の訪日外国人が6月5日時点で1000万人を超えた。
  • 7月半ばに1000万人を超えた昨年より1カ月以上早く、過去最速のペース。
  • 5月の訪日客数は前年同月と比べて15.3%増の189万3600人。
  • 5月としては過去最高を記録したが、伸び率は鈍ってきた。
  • 訪日客は13年に初めて1000万人を超え、15年は1974万人だった。
  • 今年1~5月は前年同期比29%増の973万人。
  • 中国が45%増の249万人、韓国が29%増の204万人。
  • 台湾を加えた3カ国・地域で全体の6割超を占め、アジアからの流入が際立つ。
  • 訪日客は前年を上回るペースで増えているが、伸び率は鈍化している。
  • 5月の韓国からの訪日客は前年同月比4.2%減。14年6月以来のマイナス。

(2016年6月16日 日経新聞より)

外国人定住へ環境整備

政府は日本で働く外国人やその家族の定住を促すため、包括的な環境改善策を打ち出す。

2014年のGDP対比の海外からの国内投資残高では182カ国中179位と世界最低水準。

  • 医療通訳者が常駐し、周辺病院に派遣もできる病院を現在の約20カ所から16年度中に40カ所に増やす。
  • 国内に3万人程度いる日本語教育が必要な外国人の子どものうち、実際に教育を受けているのは8割程度。
    • 2020年度までに全員が日本語を勉強できる体制にする。
  • 3割にとどまる留学生の日本での就職比率を、2020年までに5割に引き上げる。
    • インターンシップ(就業体験)を経験した留学生のビザ申請手続きを早める。
    • 全国で留学生向けの企業説明会を開く。
  • 2018年度にもビザの申請や変更、更新手続きをネットで済ませられるようにする。
  • 現在の2倍の1000本の法令を英語で読めるようにする。
  • 外国企業にとって面倒な行政手続きを減らす。
  • 昨年4月に東京都内に開いた起業手続きを1カ所で進められる拠点の使い勝手を改善する。

(2016年5月18日 日経新聞より)

外国人の受け入れ拡大

外国人の受け入れ拡大策がほぼ決まってきました。
この拡大策に関して情報を整理してみたいと思います。

日本の入管行政では、特別な技能、技術などを有している外国人の在留は認めるものの、いわゆる単純労働者の在留は認めないというのが基本スタンスになっています。しかし、日本の労働人口が減少していくなかで、そのようなことを言っているわけにもいかず、単純労働者を含めて外国人労働者の受け入れを増やそうという方向になっています。

外国人は何らかの在留資格を有して日本に在留しています。
就いてよい仕事の観点から分類すると、在留資格は以下の3種類に分類されます。

  • ①経営者、IT技術者、コック等、一定の仕事に就くことが条件になっている在留資格
  • ②学生、文化活動等、基本的には仕事をできない(資格外活動許可を得れば可能)在留資格
  • ③永住者、定住者、日本人の配偶者等、どのような仕事でもできる在留資格

現在、ファストフード店など、単純労働の現場で働いている外国人は2番目の資格外活動のアルバイト、又は3番目の外国人です。

入管の方針は、以下のようなものです。

  • ①の在留資格は、専門の技術、能力を持っている外国人なので増やしても良いと思っています。
  • ②の在留資格は、増やしたいとは思っていますが、学生が主なのでそれほど急に増えるわけでもなく、仕事も軽労働のアルバイトで現在課題の人手不足解消にはなりにくいです。
  • ③の在留資格も、どのような仕事でもできるため、決して現在人手不足感の強い職種の人が増えるわけではありません。また、この在留資格は、長期在留者になるので、治安等も含めて増やすことに対して消極的な面があります。

①の在留資格の中に、技能実習という在留資格があります。発展途上国の外国人を期間限定で日本に労働者として受け入れ、将来自国に戻ってその技能を生かした職に就いてもらうのが目的です。1993年に国際貢献の一環として途上国への技術移転を目的に始まり、2013年時点で約15万人5千人います。出身国は、中国、ベトナム、フィリピンの順です。

対象職種は、農業、建設、食品製造、繊維・衣服、機械・金属など68職種と既に多岐に渡ります。この在留資格に関しては、十分な技能の習得に至らないまま帰国するケースが多いという声がある一方、低賃金、劣悪な環境で長時間労働を強いる事業者が少なからずいるということも指摘されています。

今回の拡充策は、この技能実習という名の下に、介護などの労働者を在留させ、少しでも人手不足を解消させることが主になっています。
具体的には、以下の拡充案が挙がっています。

  • 在留期間を3年から5年程度に伸ばす。
  • 就ける職種に、介護、林業、店舗運営、惣菜製造業、自動車整備業などを更に追加する。
  • 受け入れ人数枠の拡大を図る。

制度自体の抜本的な見直しには踏み込まずに、現行制度の手直しで何とか急場をしのごうとしています。技能実習という本来の趣旨から外れてしまうため、人手不足対策で利用されるべきものではないという声も出ています。

在留資格「技能実習」の拡充以外に以下のような施策も実施される予定です。

  • 高度な技術を持つ専門家(「高度外国人」)を増やす。
  • 日本企業の海外子会社で働く外国人が日本で働きやすくする。
  • 家事を手伝う外国人を地域を限って受け入れる。

今後、急激に人口が減り、労働力が減り、GDPが下がり、地方で消滅する市町村が相当出てくると言われています。なりふり構わず、人口を減らさない努力が必要になっています。

(2014年 6月20日)