合併、会社分割、株式交換、株式移転

会社の組織再編の意味と用語は誤解しやすいです。
以下に整理します。

  • 吸収合併
    A社がB社を吸収合併する。
    A社が存続しB社が消滅する。
    B社の株主にはA社の株式が割り当てられる。
    A社は「吸収合併存続会社」
    B社は「吸収合併消滅会社」
  • 新設合併
    A社とB社が合併しC社を新設する。
    A社とB社は共に消滅する。C社は新設されA社とB社の株主が移行。
    A社とB社の株主にはC社の株式が割り当てられる。
    A社、B社共に「新設合併消滅会社」
    C社は「新設合併設立会社」
  • 吸収分割
    A社が、B社から分割された一部の事業を吸収する。
    A社もB社も存続する。
    A社からB社に対価が支払われる。
    A社は「吸収分割承継会社」
    B社は「吸収分割会社」
  • 新設分割
    A社がB社を新設し、事業の一部を分割して譲渡する。
    A社は存続する。B社はA社の完全子会社として新設される。
    A社がB社の株主となる。
    A社は「新設分割会社」
    B社は「新設分割設立会社」
  • 株式交換
    B社の株式が全てA社の株式に交換される。
    A社がB社の全株式を取得して、代わりにB社の株主にA社の株式、あるいは金銭等を支払う。
    B社の株主はA社の株主になる。
    A社もB社も存続する。B社はA社の完全子会社になる。
    A社は「株式交換完全親会社」
    B社は「株式交換完全子会社」
  • 株式移転
    B社がA社を設立する。
    B社の株式を全てA社に取得させ、B社の株主にA社の株式を取得させる。
    A社もB社も存続する。B社はA社の完全子会社になる。
    A社は「株式移転設立完全親会社」
    B社は「株式移転完全子会社」

2011年4月 3日(日)

株主に株式の割当をしない株式の募集

公開会社でない株式会社において、株主に株式の割当を受ける権利を与えずにする募集株式の募集事項の決定は、

  • 原則として、株主総会の特別決議になります。
  • ただし、株主総会の特別決議により取締役、または取締役会に決定を委任することが出来ます。

それに対して、公開会社の場合、

  • 株式を引き受ける者に特に有利な発行でない場合は取締役会の決議によります。
  • 株式を引き受ける者に特に有利な発行の場合は、
    • 原則として、株主総会の特別決議によります。
    • ただし、株主総会の特別決議により取締役会に決定を委任することが出来ます。

2011年4月 2日(土)

株主総会と取締役会の権限

取締役会を設置していない株式会社では、株主総会は最高意思決定機関です。

その権限は、
会社法に規定する事項
株式会社の組織、運営、管理等一切の事項
に及びます。

それに対して、会社の規模が大きくなって取締役会を設置しますと、上記の権限の一部が取締役会に移ります。全てを株主が集まって決定するのは無理になり、取締役の合議体に権限委譲するわけです。
結果として、株主総会の権限は
会社法に規定する事項
定款で定めた事項
に限定されることになります。

(2011年3月30日)

ライツ・イシューとは何か?

増資には、
公募
第三者割当て
株主割当て
の3種類ありますが、日本ではもっぱら公募増資と第三者割当増資が行われています。

公募増資と第三者割当増資が行われますと、当然ながら既存株主の持ち株比率が減少します。以前から、会社の都合で、ある意味勝手に株式数を増やされ、1株当たりの価値が下がるのに釈然としませんでした。少し前の制度改正で、やっと日本でもライツ・イシューという既存株主に対する割当による増資が増加することになりそうです。まずは既存株主に購入する権利が与えられ、権利を行使しないのであればその他の新規株主が購入するのであれば一応納得できます。

投資収益率に敏感な海外投資家が株式の希薄化を招く日本の増資方式を嫌って、日本の株式市場から撤退しているというのは当然と言えるでしょう。ロンドン証券取引所の2009年上場企業の増資総額のうち、69%がこのライツ・イシュー方式とのことです。今更ながら日本の対応は遅いと言えます。株主を軽視しています。もの言う株主が相対的に少ないということなのでしょう。別にその方式で日本が成り立つのであれば問題ないものの、もはや成り立たなくなっているのは株価を見ても明らかです。即断、即決、即実行の機動的な対応が今の日本には求められています。

2011年3月28日(月)