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株主総会と取締役会の権限

取締役会を設置していない株式会社では、株主総会は最高意思決定機関です。

その権限は、
会社法に規定する事項
株式会社の組織、運営、管理等一切の事項
に及びます。

それに対して、会社の規模が大きくなって取締役会を設置しますと、上記の権限の一部が取締役会に移ります。全てを株主が集まって決定するのは無理になり、取締役の合議体に権限委譲するわけです。
結果として、株主総会の権限は
会社法に規定する事項
定款で定めた事項
に限定されることになります。

(2011年3月30日)

ライツ・イシューとは何か?

増資には、
公募
第三者割当て
株主割当て
の3種類ありますが、日本ではもっぱら公募増資と第三者割当増資が行われています。

公募増資と第三者割当増資が行われますと、当然ながら既存株主の持ち株比率が減少します。以前から、会社の都合で、ある意味勝手に株式数を増やされ、1株当たりの価値が下がるのに釈然としませんでした。少し前の制度改正で、やっと日本でもライツ・イシューという既存株主に対する割当による増資が増加することになりそうです。まずは既存株主に購入する権利が与えられ、権利を行使しないのであればその他の新規株主が購入するのであれば一応納得できます。

投資収益率に敏感な海外投資家が株式の希薄化を招く日本の増資方式を嫌って、日本の株式市場から撤退しているというのは当然と言えるでしょう。ロンドン証券取引所の2009年上場企業の増資総額のうち、69%がこのライツ・イシュー方式とのことです。今更ながら日本の対応は遅いと言えます。株主を軽視しています。もの言う株主が相対的に少ないということなのでしょう。別にその方式で日本が成り立つのであれば問題ないものの、もはや成り立たなくなっているのは株価を見ても明らかです。即断、即決、即実行の機動的な対応が今の日本には求められています。

2011年3月28日(月)

研修「知的資産経営支援者の実務」に参加

行政書士会の研修、「知的資産経営支援者の実務」に参加した。

非常に良いセミナーだった。
内容も良かったし、講師の江端俊昭先生の話し方も非常に分かり易かった。
知的資産経営報告書を作成するという直接的な新しい業務もさることながら、この切り口で企業支援コンサルテーションに切り込んでいくというストーリーにも説得力があった。

やはり以前、同じ業界にいただけに、話す内容にはかなり共感した。
江端さんとは20年ぶりくらいの再会になる。
江端さんは当時、外資系ソフトウェア会社にいて、自分の会社とは取引関係にあった。
相当前に行政書士に転身したようだが、大成功と言える。
日本行政書士会の相当中枢部にいる印象。

2011年3月22日(火)

普及し始めた成年後見制度

成年後見制度が施行されてから10年が経過しました。成年後見制度は介護保険制度と同時に2000年4月に施行されました。介護保険は、色々な問題はあるにしても人々の生活に深く定着したと言えますが、成年後見制度はまだそれほど定着したとは言えません。しかし、それでも新聞、雑誌等で目にする機会が増えてきました。

今回は、自分が、あるいは周りの人が認知症等になり、判断能力が衰えたときに役に立つ成年後見制度の概要です。

介護保険制度は、身体の自由が利かなくなったときに身体に対して様々なサービスをする制度です。それに対して、成年後見制度は、判断能力が衰えたときに財産等に対して様々なサービスをする制度です。10年前に導入された介護保険ですが、それまでのお年寄りに対する措置という考え方から、介護サービスを自ら契約するという考え方に大きく転換しました。ところが、認知症の人は自ら契約をすることができません。そこで成年後見人を通して契約するという考え方になりました。これらの理由から、介護保険制度と成年後見制度は車の両輪とよく言われています。

認知症などにより判断能力が低下したり、欠けたりすると、必要な財産管理や生活管理、療養看護等に関して自分で決めることが困難になります。
そのような場合に、

  • 家庭裁判所の監督の下に
  • 本人の自己決定権をできるだけ尊重しながら
  • 本人の権利や利益を保護するとともに
  • 本人が持っている能力を活用して
  • 普通の生活が維持できるように支援していくこと

が必要です。
そのための制度が成年後見制度になります。

成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度があります。

法定後見制度

本人の判断能力が既に低下してしまった場合に、本人、家族等が家庭裁判所に申立てをする制度です。本人の判断能力の程度に応じて以下の3つに分かれます。

  • 後見:常時、判断能力を欠く場合
  • 補佐:判断能力が著しく不十分である場合
  • 補助:判断能力が不十分である場合

家庭裁判所はそれぞれに対応して、成年後見人、保佐人、あるいは補助人を選任します。申立ての際に後見人等の候補者を予め決めてから申立てをする場合もありますが、候補者がいない場合は、家庭裁判所に選任してもらいます。そのため、家庭裁判所は後見人の候補者名簿を保有しています。
いずれの場合も家庭裁判所が本人にとって適任と思われる人を選任しますので、必ずしも申立て時に提出した候補者が選任されるわけではありません。家庭裁判所が第三者を法定後見人等として選任する場合には、弁護士、司法書士、社会福祉士、行政書士などを選任します。

後見人等の役割の中心は、本人の財産管理になるので、普通考えると子供などの家族が後見人等になるように思えます。実際、7割程度は家族が後見人等になりますが、残りの3割程度はそうではありません。家族間で本人の財産に関してトラブルになっている、疑心暗鬼になっている、あるいは近くに適切な家族がいないなど、様々なケースがあり、家族以外の第三者が後見人等になっています。

後見人等は、本人のために、財産管理(費用支出、不動産管理・売却等)や治療、介護、老人施設への入居に関する契約締結等をします。重大な責任を負いますので、行った職務内容を家庭裁判所に報告します。それらの活動に対する報酬は、第三者後見人等の場合、本人の財産から支払われることになります。

成年後見制度が施行される前は、禁治産、準禁治産という制度がありました。本人の判断能力という観点からは、禁治産者が被後見人、準禁治産者が被保佐人に対応します。成年後見制度では、更に被補助人というもっと症状の軽い人をも対象にしました。しかし、名称もさることながら、以前の禁治産制度と現在の成年後見制度では、制度そのものの発想が根本的に異なっています。
以前は、判断能力が低下した時に、
 「裁判所は、あなたが自らの財産を治めることを禁じます。」
という観点から制度設計がされていましたが、
現在は、
 「裁判所は、後見人を選定し、後見人によって、あなたが自らの財産を使いながら、人間らしい生活ができるようにサポートします。」
という考え方に変わりました。

任意後見制度

法定後見制度は判断能力が不十分になってからの制度ですが、任意後見制度は判断能力が十分なうちに、判断能力が不十分になることを想定して予め契約する制度です。本人が、予め信頼できる人を任意後見人と定め、判断能力が不十分になった時に支援して欲しい内容を公正証書による任意後見契約によって定めておきます。判断能力があるわけですので、契約内容は自由になります。しかし、契約の効力は、本人が判断能力を欠く常況になり、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時に生じます。自由契約だけに任せてしまうと、任意後見人が判断能力のなくなった被後見人の財産を害する恐れがありますので、このように家庭裁判所の監督が及ぶような仕組みになっています。

しかし、現実にはいつ判断能力が衰えるかわかりません。その意味では常日頃から本人と任意後見契約をした受任者がコミュニケーションを図る必要があります。そのため、本人が判断能力の十分なうちは見守り契約、あるいは財産管理等委任契約を締結、発効させ、いざというときにスムースに任意後見契約に移行させるのが一般的になっています。もし亡くなるまで判断能力を欠く常況にならなければ、任意後見契約が発効しないことになります。任意後見契約は転ばぬ先の杖と言われますが、任意後見契約を締結されるような方は用意周到な方なので、転ばない(呆けない)とも言われます。逆説的です。
なお、任意後見には、法定後見のような補佐、補助の制度はありません。

成年後見制度の最も重要なポイントの一つが任意後見の導入です。判断能力がなくなってから措置をしてもらうという考え方から、判断能力がなくなった時にして欲しいことを自己決定して予め契約をするという非常に大きな考え方の転換がなされています。

任意後見契約と遺言書を組み合わせることにより、

  • 認知症になったときは、自分の財産を自分の意思で自分のために使い、
  • 亡くなったときは、残った自分の財産を自分の意思で相続させる

ことができるようになります。

成年後見登記制度

成年後見等の審判を受けているか、任意後見がされているか、誰が成年後見人等なのか、その成年後見人等の権限がどうなっているかなどを管理するコンピュータシステムが成年後見登記制度で、東京法務局後見登録課が管理しています。これにより、従来の禁治産者、準禁治産者のように戸籍に記載されることがなくなりました。

まとめ

成年後見制度の理念には、

  • 自己決定権の尊重
  • 残存能力の活用
  • ノーマライゼーション、QOLの向上

などがあります。
高齢化に伴い、今後ますます増える認知症の人をサポートする仕組みを構築し、特別視しないで社会に参画してもらおうという考え方です。
非常に貧しい生活をしていた人なのに、亡くなってみると現金で3,000万円残されていたという話がありました。あるいは、残された遺産がほとんど行き来のなかった甥、姪に相続されたり、悪質商法、振り込め詐欺などに騙されたりなどの話もあります。歳を重ねると自分のお金を自分のために有効に使うことが難しくなってきます。それには判断能力が必要です。そのための制度が成年後見制度だと言えます。

(2011年 2月21日)

貸したお金を返済してもらう方法

借りたお金は返すのは当然のことですが、中には借りたお金を返さない人もいます。返せないのならいざ知らず、返せるのに返さない人もいます。

今回は、そのような人からどのようにお金を取り戻すか、に関してです。
いわゆる債権の取立です。

第1段階 内容証明郵便の送達

口頭、メール、通常郵便による催促では返済してもらえない場合、次に取る手段は内容証明郵便です。内容証明郵便とは、

「いつ、誰から誰へ、どのような内容の文書が出されたか」

を郵便事業株式会社が証明してくれる制度です。
その際、いつまでにいくら返して欲しい、という要求を明確に書くことはもちろんですが、最後に、

「なお、上記期間内に支払いのない場合、法的手段をとることになりますので申し添えます。」

というような文章を入れます。

通常の郵便による催促から一足飛びに訴訟に移ると相手が態度を硬化させる可能性が高いです。まずは、内容証明郵便でこちらの本気度を示すわけです。しかし、内容証明郵便による催告は一般の人にはかなりの心理的プレッシャーになります。この段階で返済してくれる人は多いと思います。

第2段階 訴訟提起

それでも返済がない場合は、貸金返還訴訟を起こします。借用書があり、明らかに勝算があるのであれば本人訴訟で良いでしょう。低廉な費用で済みます。特に60万円以下であれば、簡易裁判所で数千円の費用で済む少額訴訟の制度があります。

実際に訴えられると、相手もさすがに無視できなくなります。特に自分に勝算がない場合はなおさらです。この段階までくると返済できるのであれば返済するでしょう。仮に即刻全額返済しないまでも、分割返済などの和解提案をしてくるかもしれません。

第3段階 口頭陳述、勝訴判決

それでも返済がない場合は、実際の裁判になります。少額訴訟であれば1回だけの審理で口頭弁論が行われ、その日に判決が下されます。1日だけの拘束で手間がかかりません。通常の訴訟であっても借用書があれば負けることはないでしょう。敗訴判決が出れば、さすがに相手も何とかして返済すると思われます。

第4段階 強制執行

それでも返済がない場合は、強制執行をしてもらうことになります。ただ、勝訴の確定判決が出たからすぐ強制執行を行えるわけではありません。原則的には、その確定判決(債務名義)に執行文の付与を得た後、執行裁判所により強制執行の開始決定をしてもらうことが必要です。不動産執行と動産執行に違いはあるものの、差押え、競売、換価、債権回収という手続きは基本的に同じです。

まとめ

以上のように、最後は、国の力を借りて強制執行をしてもらうことになります。しかし、結構長い道のりです。その間に相手は返済逃れのため、財産を隠してしまうかもしれません。民事訴訟では勝てるかどうかより先に、勝ったとして差し押さえる財産があるかどうかの方が重要問題です。財産がなければ、裁判に勝っても判決書はダダの紙切れになってしまいます。

そこで、一般には、上記の段階を順番に踏むのではなく、財産隠しを防ぐため、訴訟提起前に抜き打ちで仮差押えをしてしまいます。最後の段階で借金返済の資産がないのでは無駄な努力になってしまいます。予めその借金返済用の動産、不動産を差し押さえる分けです。その後、おもむろに訴訟に持ち込むことになります。

ところで、返済遅延が発生したら一足飛びに強制執行に移れる強力な方法があります。金銭消費貸借契約書(借用書)を公正証書にする方法です。
書面に

「借主は、本契約による金銭債務を履行しないときは、直ちに強制執行に服する旨陳述した。」

と記載します。
それにより、確定判決と同等の効果が得られますので、支払い遅延になったときはすぐに強制執行に移ることができます。公証人手数料は、貸金額が100万円でも5,000円程度ですので、どうしてもお金を貸さざる得ないときは公正証書にするのが良い方法です。

(2011年 1月 9日)

知的資産経営報告書

企業が成長するには、以下のような面において、様々な強み、競争優位性が必要です。

人材、製品、サービス、資金、営業、技術、マーケティング、マネジメント、パートナ、トップの求心力・先見性等々

中小企業の中には、実際には色々な強みがあるのに、その強みを外部に適切に伝えきれず、思うように成長できないところが少なくありません。もったいないことです。社会、そして日本の損失でもあります。そのような将来性のある中小企業を強力にバックアップするツールがあります。「知的資産経営報告書」です。

知的資産経営報告書とは

「知的資産経営報告書」を作成することにより、ファイナンス、リクルーティング、パートナ開拓、営業に非常に効果があったという事例が増えています。今後は、損益計算書、貸借対照表などと共に「知的資産経営報告書」が中小企業の作成する基本的な報告書になるかもしれません。

一般的に企業を評価する際は財務諸表を用いて行います。企業の1年間の成績、あるいは一定時点の価値を通貨で示したものです。しかし、それらは結果であり、評価の一側面を表したものと言えます。「知的資産経営報告書」は金銭では表しにくい無形資産、あるいは知的資産をもっと評価すべきではないかという考え方から生まれたものです。企業の本当の強さを見るため、財務諸表と共に知的資産の評価がますます重要になってきています。

知的資産とは

まず、知的資産とは何かですが、これに関しては以下の経産省のポータルに定義があります。
http://www.meti.go.jp/policy/intellectual_assets/teigi.html

そこでは、広義の知的資産を以下の3種類に分類しています。
【A】
1.知的財産権(取引可能で法律で権利化されている。)
特許権、実用新案権、著作権など
2.知的財産(取引可能で法律で保護されている。)
ブランド、営業秘密、ノウハウなど
3.知的資産(狭義)(競争力や成長力の源泉になっている。)
人的資産、組織力、経営理念、顧客との関係性、技術力など
広義の知的資産と呼ぶものが、知的財産を含めた広い概念であることがわかります。

また、その広義の知的資産を別の角度から、以下の3種類に分類する方法があります。
【B】
1.人的資産(従業員の退職と共に失われる資産)
個人の知識、ノウハウ、経験、スキル、対応力など
2.構造資産(従業員の退職によっても失われない資産)
特許権、商標権、経営理念、組織、企業文化、データベース、
IT資産、マニュアルなど
3.関係資産(企業の対外的な関係資産)
顧客、サプライヤ、パートナ、金融機関、官公署との関係など

自社を分析して、その強みである知的資産を容易に発見できるかというと、必ずしもそうではありません。その場合は、企業活動を以下の4つのフェーズに分けると考えやすくなります。
【C】
1.経営理念、方針
2.マネジメント
3.研究、開発、製造、技術、ノウハウ
4.製品、サービス

そして、【B】を縦軸、【C】を横軸にしたマトリクスの中に、自社の具体的な強み、競争優位性である【A】を具体化して埋めていくことにより自社の知的資産を整理することができます。例えば以下のようなものがあり得ます。
【縦軸/横軸】
B1/C1 トップの卓越した理念、構想力、行動力
B1/C3 他社に比べて数多いレベルの高い技術者
B2/C2 フラットでオープンな企業文化
B2/C3 広く深い技術者教育システム
B2/C4 間違いのない短納期体制
B3/C3 数多い信頼できる開発パートナ
B3/C4 高いマーケットシェア、顧客満足度の高さ

それら、目に見えにくい、金銭で評価しにくい知的資産を報告書形式で表現したものが「知的資産経営報告書」になります。評価して欲しい自社の強み、優位性に関する報告書とも言えます。

知的資産経営報告書の効果

以下に実際の「知的資産経営報告書」が掲載されているサイトを示します。
http://www.jiam.or.jp/CCP013.html

何より、この「知的資産経営報告書」が良い点は、単なる内部向けのマネジメントツールにとどまらず、明確な目的を持って外部に発表、利用することにより、効果が見えやすいということです。例えば、以下のような効果が言われています。

・銀行からの借り入れがし易くなった。
・リクルーティングがし易くなった。
・新規の取引先を獲得し易くなった。
・新規のパートナと提携し易くなった。
・社員が自社の強みを再認識し、社員のベクトルを合わせ易くなった。
・M&Aにおける資産評価でも高く評価されるようになった。

上場企業、大企業であれば、知的資産に関する知見も十分ありますし、その結果として、事業報告書、アニュアルレポート等に知的資産の情報も盛り込まれています。一般的には、上場企業、大企業であること自体が、知的資産を多く保有しているだろうと推測させ、結果として信頼されることになります。その意味では、知的資産に関する認識、自覚が必ずしも十分ではなく、外から見てどの程度、知的資産を保有しているかが見えにくい中小企業にこそ、外部からの信頼感を得るために「知的資産経営報告書」が必要だということが言えます。無形資産である知的資産の”見える化”です。

知的資産経営報告書の今後

まだ、「知的資産経営報告書」は導入期にあると言えます。しかし、関西の中小企業を中心に確実に実効を上げつつあります。是非、中堅、中小企業は「知的資産経営報告書」を作成、公開することにより、自社の強みを外に発信し、外部からの信頼感を得てもらいたいと思います。今後の企業成長の必須のツールになると思います。

(2010年 12月 5日)

自宅不動産を複数人で相続するとき

自宅不動産を中心とした遺産を複数の相続人で相続するというのは良くある話です。相続人に公平に配分できるほど土地が広かったり、あるいは預貯金が多かったりすれば、分割しやすく、遺産分割協議もまとまり易いといえます。しかし実際には、相続財産のほとんどが自宅不動産で、そこに被相続人と相続人の誰かが一緒に住んでいたというケースはかなり多いです。このようなケースでの遺産分割はまとまりにくいことがあります。遺言を残すにしろ、遺産分割協議で分割するにしろ難しい面があります。

今回は、遺産の中心が自宅不動産というケースの相続方法に関してです。

はじめに

不動産を持っているとまず最初に気になるのは相続税です。しかし居住用不動産が遺産の中心というケースではほとんど心配はありません。相続税を払うような相続は全体の5%以下と言われています。相続税は、5,000万円に相続人1人当たり1,000万円を乗じた金額を加えた金額が基礎控除になります。例えば、配偶者と子ども二人が相続人の場合では8,000万円まで相続税がかからないことになります。建物は減価償却されていますので、現実的には土地の評価額が気になるところです。しかし被相続人が居住用に使用していた240㎡以下の土地で、相続人が継続して居住用に使用するのであれば「小規模宅地等の特例」が適用され、税額が80%減免されます。これにより、相続税のかかる人は非常に減ってきます。

相続が発生しますと、民法上では相続財産が法定相続人全員による法定相続割合に則した共有になったとみなされます。その共有状態を遺言書、あるいは遺産分割協議書などにより修正して、分割し、各相続人の固有財産として所有することになります。

分割方法には、現物分割、代償分割、換価分割の3つの方法があります。

現物分割

現物分割とは、個々の財産についてその取得者を個別に決定する分割方法です。自宅は長男へ、預貯金は長女へ、有価証券は次男へというように、個々の財産を分割しないでその現物のまま分割する方法です。この方法ですと、相続財産における自宅不動産の占める割合が大きい時に困ります。自宅を相続する人の相続割合が大きすぎることになり不公平になってしまいます。不動産を分割しても意味がある程広いのであれば、不動産自体を分割するという話もありますが、現実的には多くはありません。

代償分割

そこで、代償分割という方法が良く行われます。遺産のほとんどが自宅不動産で、相続人の一人が継続的に居住、かつ相続となると、その人が遺産の多くを相続することになります。結果として、分割割合が不公平になってしまいます。その場合には、まずその不動産を売却したと仮定して、その想定売却金額と他の預貯金等を合計して、総遺産額を算出します。そして、その金額を分割割合で配分するわけです。しかし、結果として、不動産を相続する人が多額の現金を他の相続人に渡すことが出てきます。その現金の捻出に苦労する場合があります。また想定売却金額でももめるケースがあるようです。一般的には、市街地であればいわゆる路線価を採用することになります。税務署で調べることが出来ます。

換価分割

代償分割をしたいが、不動産を相続する人が他の相続人に渡す現金を用意できないケースなどの時に採用されます。不動産を実際に売却してその代金を相続人間で配分します。ただ、実際には被相続人の住んでいた住居に継続して居住したい、あるいは出てしまったら他に住むところがなくなってしまう等の理由で、なかなか自宅を売却することが出来ないケースがあります。また換価分割の場合は税金にも注意する必要があります。

共有

当然、不動産を共有のままにしておくことは出来ます。現物分割では遺産が偏りすぎ、代償分割では自宅を継続使用する人が現金を用意できず、換価分割では住むところがなくなってしまうとなると共有のままということになります。しかし共有はその時は良いとしても年月が経過しますと必ず不都合が生じてきます。共有者の一人がお金が必要になり売却したいと思っても全員の同意が必要です。また共有者が亡くなると相続が発生し、権利関係が複雑になってしまいます。共有は避ける方が無難です。

まとめ

現実的には、何もしないというケースもあり得ます。自宅がまだ亡くなった人の名義のままというケースがよくあります。年とともに相続人が亡くなっていきますので、その相続も発生します。関係者が増えて複雑になってしまいます。基本的に中間省略登記は出来ませんので、いつかは亡くなった人の順番に逐次相続処理をしなくてはなりません。面倒なことを次世代、次々世代に押し付けているだけになります。相続登記は早めに行うことが必要です。

遺産分割が相続人の間でもめないようにするのが人生最後の仕事とも言えます。折角、皆のために生きてきたのに最後に自分のことが原因でもめてしまっては元も子もありません。遺産を分割しやすいようにしておく、分割割合、分割方法を予め相続人に理解してもらう、遺言書を書くなどの準備が必要です。家族、親族に揉め事の種を残して、”後はよろしく”ということだけは避けたいものです。

(2010年 11月 6日)

特別支給の老齢厚生年金

前回は在職老齢年金制度に関して簡単に書きました。在職老齢年金制度には60歳台前半のもの、及び65歳からのものの2種類あります。60歳台前半の在職老齢年金は60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金を受給する人に適用されます。その60歳台前半の老齢厚生年金を受給できるかどうかということは本人にとっては一大事です。特に今後10年ほどの間に厚生年金の受給権を取得する人は知っておく必要があります。

今回はその60歳台前半の老齢厚生年金に関してです。

特別支給の老齢厚生年金を受給する人

60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金には定額部分と報酬比例部分があります。今後、受給権を取得する男子で新たに定額部分を受給する人はいません。昭和24年4月1日生まれまでの人が対象でした。その方々は既に60歳を過ぎて報酬比例部分の受給権が発生しています。女子は今後60歳になる昭和29年4月1日生まれまでの人は短期間ではありますが定額部分を受給することができます。なお、受給権は要件を満たせば当然に発生しますが、裁定請求をしないと支給されません。また、当然に受給権が発生すると同時に、当然に5年の時効も進行し始めます。

次に、報酬比例部分を受給できる男子の生年月日とその開始年齢です。
60歳から受給:~昭和28年4月1日生まれの人
61歳から受給:昭和28年4月2日~昭和30年4月1日生まれの人
62歳から受給:昭和30年4月2日~昭和32年4月1日生まれの人
63歳から受給:昭和32年4月2日~昭和34年4月1日生まれの人
64歳から受給:昭和34年4月2日~昭和36年4月1日生まれの人
女子は5年遅れになります。
60歳から受給:~昭和33年4月1日生まれの人
61歳から受給:昭和33年4月2日~昭和35年4月1日生まれの人
62歳から受給:昭和35年4月2日~昭和37年4月1日生まれの人
63歳から受給:昭和37年4月2日~昭和39年4月1日生まれの人
64歳から受給:昭和39年4月2日~昭和41年4月1日生まれの人

特別支給の老齢厚生年金は経過措置

男子で昭和36年、女子で昭和41年のそれぞれ4月2日以降に生まれた方は経過措置が終了して、厚生年金、(国民)基礎年金共に65歳からの支給になります。この経過措置は、厚生年金の受給開始年齢を60歳から65歳に引き上げた際、急激に変更すると国民の生活設計に支障が出てしまうので、経過的に激変緩和措置を設けたものです。特別支給なので65歳になると終了します。65歳になると全く新規に本来の厚生年金の裁定請求をする必要があリます。金額的には連続性が図られていますが、制度的には連続性のあるものではありません。

老齢厚生年金を受給するための被保険者期間

年金を受給するには被保険者期間が(例外はありますが)基本的に25年必要です。会社員で厚生年金保険料を支払っていた期間(第2号被保険者)、自営業で国民年金保険料を納めていた期間(第1号被保険者)、専業主婦であった期間(第3号被保険者)の合計で構いません。但し、会社で厚生年金保険料を支払っていた被保険者期間が1年以上必要です。

会社員期間が短いからと受給しない人がかなりいるようですが、もったいないです。もらっていた給料によりますが、会社員期間1年当たり2~3万円程度の年金をもらえるはずです。なお、65歳からの老齢厚生年金は被保険者期間が1ヶ月しかなくても受給できます。また、よく言う年金の繰上げ、繰下げは65歳から支給される厚生年金、(国民)基礎年金が対象です。

老齢厚生年金の退職時改定

特別支給の老齢年金を受給する人が会社勤めを続けると、老齢厚生年金を受給しながら厚生年金保険料を支払っていることになり、少し変な感じがしなくもありません。当然とも言えますが、支払っている保険料により将来受給できる厚生年金が増えることになります。退職1ヵ月後に厚生年金の受給額は再計算され、増額されることになります。しかし、厚生年金は増えても(国民)基礎年金部分は60歳を超えると受給額が増えません。60歳を超えると第2号被保険者でなくなることによりますが、現実的にはその分は経過的加算という名称で65歳からの本来の厚生年金に加算されます。

在職老齢年金制度

少し、在職老齢年金制度に話を戻します。
在職老齢年金の制度で年金を減らされない方法はないかと思いたくなりますが、会社は個人別の年金保険料のデータを提出していますので無理です。現在は全てコンピュータで個人別に集計されていますので逃れることは出来ません。会社員として働いて厚生年金保険の被保険者になるから在職老齢年金により減額されるわけです。厚生年金保険の被保険者にならなければ在職老齢年金制度の対象にならず、減額されることもありません。以下のような方法があります。
– 短時間労働者になる。一般的には、通常の労働者の概ね4分の3未満の労働時間であれば厚生年金の適用除外となります。
– 共済年金制度の事業所で働く。例えば学校の教師などです。
– 厚生年金保険適用除外の事業所で働く。小規模の個人事業などです。
– 自ら個人事業主となる。
65歳からも仕組みは違うものの在職老齢年金制度がありますので以上のことは同じように当てはまります。

年金の現実的な金額

60歳台前半の報酬比例部分の年金額は基本的に65歳からの本来の老齢厚生年金の額と同額です。現役時代の給料にもよりますが、大多数の人の年金額は120万円から180万円程度の間です。もし基礎年金が満額の約80万円受給できたとしても、200万円から260万円です。いわゆる手取りではなく、健康保険料などがそこから引かれるのでかなり少ない金額と言えます。これからはあまり年金に期待することができません。少し早めに計画的な行動を起こした方が良いかもしれません。

(2010年 6月13日)

在職老齢年金

いつの間にか年金を考える年齢になりました。もらえる年金であればもらいたいと思いますが、一方、働けるのであれば働きたいとも思います。ただ働き続けると年金が減らされるという話も聞きます。働き続けたいけれど年金も減らされたくない。悩ましいところです。

そこで今回は働いていると減額されてしまう年金の話です。

被用者(会社員)として働いて報酬を受けていると減額されてしまう年金を在職老齢年金と呼びます。在職老齢年金の趣旨は、「元気で働いて給料をもらっているのだから年金は少なくても(もらえなくても)良いじゃないか」ということです。確かにそうも言えますが、給料から相当な金額の年金保険料を払っていたのでしっかりともらいたいという気持ちもあります。
ところで、在職老齢年金には、

60歳台前半の在職老齢年金と
65歳からの在職老齢年金

の2種類あります。

減額対象となる年金

まず大前提として、減額調整されてしまうのはあくまでも厚生年金です。(国民)基礎年金は減額されません。全く無関係です。またいわゆる3階部分の厚生年金基金も対象外です。ここからは、断りがない限り年金とは厚生年金を意味します。年金を減らされてしまうには、そもそも年金の受給権がないといけません。60歳台前半の在職老齢年金制度の適用を受けるには、60歳台前半に支給される特別支給の老齢厚生年金の受給権が必要です。

特別支給(60歳台前半)の老齢厚生年金

老齢厚生年金の受給開始は(国民)基礎年金と同様に既に65歳になっています。但し、まだ生年月日に応じて支給開始年齢を60歳から65歳に引き上げている経過措置の最中で、生年月日によっては65歳前から特別に厚生年金を受給できている人がいます。また今後も受給できる人がいます。その年金を60歳台前半の特別支給の厚生年金と呼びます。昭和36年4月1日生まれまでの男性(女性は昭和41年4月1日生まれまで)は受給期間は別として、60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金を受給することが出来ます。そして、その際会社から受ける報酬額との関係で年金を減額調整される可能性があるということになります。

老齢厚生年金の額

次に老齢厚生年金の受給金額です。
60歳台前半の特別支給の厚生年金には定額部分(65歳からの(国民)基礎年金に相当)と報酬比例部分(65歳からの本来の厚生年金に相当)があります。今後新規に年金の受給権が発生する人には、若干の女性を除いて定額部分を受給できる人はいません。よって、ここでは報酬比例部分を中心にして書くことにします。この金額は65歳からの本来の厚生年金の金額とほぼ同額で、現役時代の報酬額と勤務期間で決まってきます。更に生年月日によって乗率も異なっており計算がやや複雑です。ただ、今後受給権が発生する人で40年間厚生年金保険料を支払ってきた場合には、受給できる老齢厚生年金の報酬比例部分の金額は、ほぼ月額10万円から15万円の範囲に収まると言えます。そこで、以下では年金月額を13万円と仮定することにします。

60歳台前半の在職老齢年金

ここからやっと本題です。
年金の月額とボーナス込みの平均報酬月額相当額(会社からの給料)の合計額が28万円までであれば、年金は減額されず全額受給できます。年金月額を13万円と仮定すると、ボーナス込みの平均月収が15万円までであれば丸々年金を受給できることになります。年金と月給の合計で28万円、年額336万円というのは現役並み所得ということでよく登場する金額です。なかなか微妙な金額設定です。平均月収が15万円を超えたところから徐々に年金が減額されていきます。計算方法は結構複雑ですが、年金月額が13万円の場合であれば平均月収41万円の時点で年金が全額支給停止になります。

65歳からの在職老齢年金

60歳台前半の在職老齢年金の制度は60歳台前半の特別支給の厚生年金と共に終了します。65歳からは本来の老齢厚生年金が始まりますが、それと共に今度は65歳からの在職老齢年金制度という異なる支給調整が始まります。今度は、合計が48万円までであれば年金は全額支給されます。年金を13万円と仮定すると、平均月収35万円までであれば年金が減額されません。こちらの計算式は単純で、合計で48万円を超えるとその2分の1に相当する金額の年金が支給停止されます。そして、年金が13万円の場合であれば、月収が61万円時点で全額支給停止になる計算です。この支給調整は70歳以降もずっと続きます。

どうにも年金は複雑です。少ない文字数で厳密に書くのは不可能です。とりあえず在職老齢年金の基本的なイメージだけでも持っていただければと思います。考慮事項等、周辺の事項がかなり書きもれていますので残りは次回にします。

参考

つい先日、ある意味で消えていた年金が復活しました。
社会人になって入社した会社では厚生年金基金がありました。退職する時に年金ではなく一時金を選択受給しましたので、その基金から年金は受給できないものと思い込んでいました。転居したこともあり、その基金からは何の連絡も受けていませんでした。ふと気になり調べたところ、既にその基金は解散しており、資産は企業年金連合会に引き継がれていました。電話して調べてもらったところ、”ない”と思っていた年金が現れてきました。実は、厚生年金基金は厚生年金の代行部分と加算部分に分かれており、一時金で受け取ったのは加算部分のみで、厚生年金の代行部分が受給できることが分りました。実はこの基金の代行部分が年金受給漏れの一つの典型的なパターンのようです。年金制度は複雑です。知らないと損をする可能性があります。

(2010年 5月16日)

出産育児に関する法制度等

先日、東京都の文京区長が2週間の育児休業を取得するということが話題になりました。会社の男性も育児休暇を取得しました。少子化問題に対処するため様々な取り組みが行われています。色々な制度を組み合わせて効果を上げようとしています。

今回は、出産、育児に関する法制度に関して、その概要を簡単に説明してみたいと思います。以下、会社員を想定しています。

妊娠中の業務量軽減

労働基準法では妊娠、出産、育児をする女性に対して様々な保護を行っています。まず、妊娠した女性は、時間外、休日労働をしないこと、及び軽易な業務への配置転換を請求することが出来、事業主はそれを拒むことが出来ません。例えば、外回り営業とかドライバーという職種は母体に負担が大きいので、残業のない内勤業務に就くことが可能になります。

出産前6週間の休業と出産手当金

産前6週間は休業の申出、取得が可能になります。申出があれば会社は拒むことが出来ません。その産前休業期間中は解雇することは出来ませんし、産前休業の申出、取得を理由にした不利益取り扱いも出来ません。しかし、労基法ではノーワーク・ノーペイの原則がありますので、産前休業期間中の賃金まで保障するものではありません。休業期間に対しては、健康保険法から出産手当金として平均報酬日額の3分の2が支給されます。労基法で休業を保障し、健康保険法から手当てを支給するという合わせ技です。但し、働いて報酬を受ける場合は、その分減額されてしまいます。

出産時の出産育児一時金

出産とは、妊娠85日目以後の分娩を意味します。出産には死産、流産、人口中絶を問わず全ての分娩が含まれ、健康保険法から出産育児一時金が35万円(暫定措置等で現在は基本的に42万円)支給されます。出産育児一時金は、被扶養者も対象になります。出産が予定日より遅れた場合はその日数分、産前休業が延長されます。

出産後8週間の休業と出産手当金

産後は8週間の休業申出、取得が可能になります。最初の6週間は労働させてはいけない期間ですが、最後の2週間は本人の請求と医師が認めた場合には業務に就くことが可能になります。更に、その産後休業期間中とその終了後30日間は解雇できない期間となります。産前休業と同様、その申出、取得を理由にした不利益取り扱いも当然出来ません。また、産後休業期間中も産前休業同様、健康保険法から出産手当金が支給されます。

出産後1年間の育児休業

出産後1年間に関しては、育児介護休業法により、父母共に育児休業の申出、取得が可能になります。特に母親は使用者の承認、許可は不要で、使用者は拒むことは出来ません。いわゆる待機児童などの場合はその1年間が1年6ヶ月間に延長されます。育児休業中は労基法上の解雇制限はありませんが、育児休業の申出、取得を理由とした解雇、不利益取り扱いは認められないので実質的には守られています。なお、母親に関しては、出産後1年間は1日2回、少なくとも30分ずつ、育児時間の請求が可能です。また、時間外、休日労働をしない請求も可能です。

出産後1年間の出産手当金

産後休業期間の8週間は健康保険法から出産手当金が支給されましたが、引き続いて育児休業に入ると今度は雇用保険法から育児休業給付金が支給されることになります。このあたりは法律間でうまく連係が取れています。育児休業給付金は今年の4月から改正され、二本立てであったものが一本化されて賃金日額の50%が支給されることになりました。もし事業主から上乗せとして別途支給される福利厚生としての育児手当等がある場合、それが30%に達するまでは育児休業給付金は減額されず、合計で80%まで支給されることになります。育児休業が父母共に取得できることに対応し、育児休業給付金も父母共に対象になります。なお、育児休業期間中は健康保険料、厚生年金保険料共に事業主負担分を含めて支払いが免除され、支払っているものとして扱われます。

小学校入学までの看護休暇

育児休暇が終了すると職場復帰するわけですが、子が小学校入学までは育児介護休業法により、子の看護休暇を年間5日まで取得できます。法律上は無給で構いません。

中学校卒業までの児童手当

新聞で報道されていますように、この4月からは児童手当が子ども手当になり、金額も増額され、中学を卒業するまで一人当たり毎月13,000円支給されることになりました。

パパ・ママ育休プラス制度

今年の6月30日から育児介護休業法が以下のようにいくつか改正されます。
・これまで1年後までであった育児休業が1年2ヶ月後までに取得期間が延長されます。
・産後8週間以内に父親が育児休業を取得した場合、産後1年2ヶ月後までであればもう1回、計2回に分けて育児休業を取得することが可能になります。
・専業主婦がいる場合、会社は父親の育児休業取得を拒むことが可能でしたが、今後は拒めなくなります。

企業の上乗せ給付

出産、育児関係では会社、健康保険組合などの上乗せ給付等が盛んです。イメージアップも兼ねて拡充している会社、組合が多いと言えます。ベネッセ、住友生命保険などでは父親の育児休業の1ヶ月間を有給にしていますし、ソフトバンクの出産祝い金は第1子5万円、第2子10万円、第3子100万円、第4子300万円、そして第5子以降は何と500万円になっています。

(2010年 4月14日)