ラオスと特定技能の協力覚書(MOC)を締結

7月28日に、日本とラオス両政府は特定技能に係る協力覚書(MOC)を締結した。
これにより、日本政府が特定技能についてMOCを締結したのはラオスを入れて15カ国となった。
特定技能や技能実習制度により来日を希望するラオス人は、ラオス政府から認定を受けた現地の認定送出機関を通じて、ラオス労働社会福祉省に申請する必要がある。

  • 認定送出機関はラオス資本に限定
  • 認定送出機関には最低登録資本金として20億キープ(約1,760万円)が必要
  • 認定送出機関のライセンスは3年ごとに更新
  • 認定送出機関は、労働者の月給の3%を上限とする手数料を労働者から徴収可能
  • 現在、認定送出機関は21社

特定技能MOC締結国

フィリピン、カンボジア、ネパール、ミャンマー、モンゴル、スリランカ、インドネシア、ベトナム、バングラデシュ、ウズベキスタン、パキスタン、タイ、インド、マレーシア、ラオス

「特定技能」建設分野の業務区分再編

特定技能制度、建設分野の従来からの問題点、課題

  • 業務区分が19区分に細分化されていること
  • 資格取得者が携われる業務範囲が限定的であること
  • 電気工事や塗装、防水施工など特定技能に含まれない作業が多いこと
  • 技能実習制度の職種と重ならないため円滑な移行が難しいケースがあること

自民党の国土交通部会の再編案

  • 業務区分を現行の19区分から3区分に再編、統合
  • 併せて、業務範囲も拡大、建設業許可29業種に関わる全ての作業を新区分のいずれかに分類する。
  • 技能実習の対象職種にあり、特定技能区分にない「さく井」「石材施工」「築炉」なども追加する。
  • 新区分は「土木」「建築」「ライフライン・設備」の三つ
    • 新区分「土木」:コンクリート圧送、とび、建設機械施工、塗装など
    • 新区分「建築」:建築大工、鉄筋施工、とび、屋根ふき、左官、内装仕上げ、塗装、防水施工など
    • 新区分「ライフライン・設備」:配管、保温保冷、電気通信、電気工事など
  • 業務区分の再編では、資格取得者が携わることができる業務範囲が広がるため、特定技能試験とは別に訓練や各種研修を充実させる。
  • 日本語能力や専門技能の評価試験も3区分に再編・統合される見通し。
  • 運用方針改正の閣議決定は今夏にも行われる見通し。

「特定技能」改善案

以下、「特定技能」に関する改善案です。

  • 宿泊・漁業・飲食料品製造業分野において、「技能実習2号」を良好に修了した者は、試験免除で特定技能の在留資格に移行できる。
    • これは、「技能実習2号」でどのような職種であったとしても、上記3分野に関しては、当該分野の試験に合格しなくても良いという意味なのかと思われますが、正式発表を待つ必要があります。
  • 「屋根ふき」「とび」など19の業務に細分化していた建設分野の区分を再編し、「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3区分とする。
  • 就労に必要な日本語試験は現在、指定された2種類のみだが、一定レベル以上であれば、別の試験も認める。
    • これも正式発表を待たないと詳細がよくわかりません。
  • 現在、「特定技能2号」は、建設と造船・舶用だけですが、それを現在の「特定技能1号」の全業種に拡大する。

特定技能の上限人数の見直し

政府は8月3日、特定技能制度の業種ごとの受け入れ上限人数の見直し案をまとめました。
全12業種のうち、2業種の上限を引き上げ、9業種を減らします。

  • 飲食料品製造業は、3万4000人から8万7200人に2.6倍に増やす。
  • 製造業は、3万1450人から4万9750人に増やす。
  • 外食業は、5万3000人から3万500人に減らす。
  • 宿泊業は、2万2000人から1万1200人に減らす。

「特定技能2号」を拡充

「特定技能2号」は、これまで、「建設」と「造船・舶用工業」だけでしたが、2022年度中に、介護以外の11特定分野を追加して、13分野に拡充する方向で入管庁が検討しているとのことです。

「特定技能2号」は、「特定技能1号」と比べ、以下の違いがあります。

  • 在留期間の上限が5年から無期限になります。
  • 家族の帯同が可能になります。
  • 永住申請の対象期間に算入されますので、永住への道が開かれます。

「介護」は「特定技能2号」に含まれませんが、介護福祉士の資格を取得することにより、在留資格「介護」を取得できるルートが既に開かれています。

特定技能 :ベトナムから呼び寄せる費用

2020年3月27日に越労働・傷病兵・社会問題省海外労働管理局(DOLAB)が特定技能労働者送出機関宛に発出した通知
「日本への特定技能労働者提供契約と労働者派遣契約について」
https://www.vn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/0417tokuteiginou_hiyou_guideline.html
https://www.vn.emb-japan.go.jp/files/100045972.pdf

一部分かりにくい部分がありますが、おそらく以下のような要旨だと思われます。

  • 教育費用
    • 日本側の求める技能及び日本語能力を満たすための日本語教育費と技能訓練費の全額は日本側が負担する。
    • 送出機関は教育訓練費を労働者本人から徴収しない。
    • 既に教育訓練費を自己負担した労働者(技能実習2号、3号修了者を除く)には、日本のパートナーがその実費を労働者本人に支払う。
  • 航空券
    • 労働者の訪日ための航空券(片道)は日本側が負担する。
    • 契約満了した時の労働者の帰国ための航空券は、雇用主と労働者本人の交渉による。
  • 派遣サービス手数料
    • 日本側の負担は、雇用契約の1ヶ月分の給料額以上とする。
    • 労働者本人の負担は、雇用契約の1ヶ月分の給料額以下とする。
    • 手数料総額は、雇用契約の3ヶ月分の給料額以下とする。
    • よって、計算式は以下のようになる。
      手数料総額(3ヶ月分以下)=日本側負担(1ヶ月分以上)+本人負担(1ヶ月分以下)
    • 技能実習2号、3号を修了した者は、サービス手数料を負担しない。

「 特定技能 」外国人の転職

特定技能 外国人が転職する場合は、在留資格変更許可申請が必要です。
許可されると新しい在留カードが交付されると共に、転職先が記載された指定書も発行されます。
そして、その日から所属機関が旧就労先から新就労先に変更されます。
旧就労先では就労できなくなりますので、就労したまま、新しい就労先の変更許可申請をする場合は注意が必要です。

「 特定技能 」外国人の就労部門が新会社になるとき

「 特定技能 」外国人の所属機関の就労部門が組織再編の新設分割により新会社となります。
出入国在留管理局に確認したところ、この場合は、変更許可申請が必要とのことでした。
「特定技能」は、転職しても変更許可申請が必要です。
結構、手間がかかります。

「特定技能」の試験は日本で行うか?

「特定技能」の資格を取得するには、「技能実習」ルートと試験ルートがあります。

4月から技能試験を行うと表明しているのは、宿泊業、介護業、外食業の3業種のみです。
以下の対象9か国で行います。(一部の国かもしれません。)
ベトナム
中国
フィリピン
インドネシア
タイ
ミャンマー
カンボジア
ネパール
モンゴル

ただ、日本でその試験を行うかどうかが明確になっていません。
以下のページがありました。
https://bit.ly/2CnbOWe

「宿泊業技能測定試験は、国外、国内でそれぞれ年2回程度実施される。
初回の試験は19年4月に実施予定で、留学生などを対象として国内で実施されるとみられる。」

宿泊業が、留学生からの変更を期待していますので、おそらく介護業、外食業も同様だと思われます。

介護人材の動向

  • EPA
    2008年度に始まり、17年度までに3529人が来日。国家試験の介護福祉士は同年度までに719人が合格した。
  • 在留資格「介護」
    2017年9月から在留資格に「介護」が加わったことにより、介護福祉士養成の専門学校などに入学した留学生が2018年4月は1142人と前年比で倍増した。
  • 在留資格「技能実習」
    2018年7月以降、介護の技能実習生の受け入れが各地で始まっている。
    日本の監督機関である外国人技能実習機構(東京・港)によると、9月28日時点で計画認定は332人。