消費税、簡易課税見直し

先日の日経新聞に、消費税の簡易課税制度を見直すという記事が掲載されていました。

納付すべき消費税は、売上にかかる消費税から仕入れにかかる消費税を引いて計算します。しかし、中小企業ではその計算が難しいケースがあるとして、簡易課税制度があります。業種によって、以下のみなし仕入れ率が決まっています。

90% 第一種事業(卸売業)
80% 第二種事業(小売業)
70% 第三種事業(製造業、建設業)
60% 第四種事業(料理飲食業、金融保険業)
50% 第五種事業(運輸・通信業、サービス業、不動産業)

実際の仕入れ率よりみなし仕入れ率が高いと、みなし仕入れ率を採用することにより、「益税」が発生します。結果として、本来は国に納付すべき消費税が利益として企業にとどまってしまいます。今回は、その差が大きい金融保険業と不動産業のみなし仕入れ率を以下のように下げ、「益税」を縮小するという狙いです。

金融保険業 60% ⇒ 50%
不動産業  50% ⇒ 40%

みなし仕入れ率を採用している金融保険業と、不動産業は納税負担が増えることになります。

これまで、簡易課税制度は以下のように改正され、益税を縮小してきました。

対象事業者の売上高   みなし仕入れ率
---------   -------
1989年   5億円以下      80%、90%のみ
1991年   4億円以下      60%、70%を追加
1997年   2億円以下      50%を追加
2004年   5000万円以下
2014年              40%を追加(見込)

2011年度の消費税の納税申告件数は306万件
簡易課税制度利用は4割強の131万件
簡易課税制度利用による益税総額は、年間1千億円規模
(1989年の消費税導入当初の益税は、1兆円規模)

来年4月からの消費税増税に向け、消費者が払った消費税をできるだけ取り漏らさないようにしようという措置になります。

2013年12月1日(日)

会社設立と消費税

会社を設立する時には消費税が気になります。

以下、会社設立時の消費税に関する基本的なルールです。

1)設立初年度と2年目
基準は資本金の額のみ
資本金が1,000万円以上の場合、消費税の納税義務があります。
資本金が1,000万円未満の場合、消費税の納税はしなくても構いません。(『新設法人』の特例)

2)設立3年目以降
基準は課税売上高と資本金の額
資本金が1,000万円以上の場合、消費税の納税義務があります。
基準期間(前々事業年度)の課税売上高が1,000万円超の場合、消費税の納付義務があります。
資本金が1,000万円未満で、かつ基準期間(前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下の場合、消費税の納付義務はありません。

多くの場合、初年度は消費税の納税はしないことになります。
しかし、経費等には消費税がかかっていますし、途中から消費税をかけるのが難しいケースもあります。
消費税は、最初の年からきちんとプラスして請求する方が良いと考えます。

(2011年8月19日)

株式会社設立時の現物出資

先日行った株式会社設立で500万円の現物出資をしました。

500万円を超す現物出資は、裁判所に検査役選任の申し立て、あるいは弁護士、税理士等の調査が必要になります。しかし、500万円以下の場合は、設立時の取締役と(いれば)監査役が調査すれば良いという少額財産の特例があります。

一般に、書籍にはパソコン、車などが現物出資の対象と書いてあります。今回は全く異なる物でした。現物出資の内容に関して、公証役場、あるいは登記所(本人申請です)から問い合わせが入るかと少し心配しました。しかし、結局は何もありませんでした。500万円以下という少額に関しては、公証役場も登記所もあまり内容に興味がないようです。会社内で責任を持ってもらえればそれで良いというスタンスのようです。

何かの理由で資本金を少し大きく見せる必要がある場合、現物出資は有効かもしれません。もちろん、出資する現物に実態がないといけませんが。

(2011年6月 9日)