みずほ株主が提訴請求 11.7億円

昨日の日経新聞の夕刊に、みずほ銀行の株主が、暴力団融資をしたことにより、会社に損害を与えたとのことで、歴代経営陣に11.7億円の損害賠償を求める提訴を行うよう要求したという記事が掲載されています。

  • 株主代表訴訟
    株主代表訴訟とは、株主が会社に代わって取締役らの責任を追及する訴えのことです。本来であれば、取締役は他の取締役の責任を追及すべきですが、同じ役員同士ですから、どうしても責任追及には消極的になります。そこで、株主が自ら訴えることになります。ただ、訴えを起こす株主は、原則として6か月以上、引き続き株式を所有している株主になります。
    株主代表訴訟は、すぐに訴えを起こすことは認められておらず、まず会社に対し訴えを提起するよう求めることになっています。本来であれば、役員に他の役員の責任追及の責任があるというのが理由です。そして、60日経過しても、なお会社が訴えを起こさないときに株主代表訴訟を起こすことが認められています。また、いったん株主代表訴訟が起こされると、他の株主や会社は途中から訴訟に参加することができます。
  • 役員等の損害賠償責任
    もともと、役員等は与えられた義務に違反して会社に損害を与えると、会社に対して損害賠償責任を負います。要件は以下の3点です。

    • 以下の義務違反をした
      善管注意義務、忠実義務違反、監視義務違反、競業避止義務違反、利益相反取引規制違反、株主の権利行使に関する違法な利益供与、違法な剰余金の配当など
    • 過失がある
      自己のために利益相反取引の直接取引をした取締役などは無過失でも責任が問われます。
    • 会社の損害がある
      義務違反の行為と因果関係のある損害がある。
      競業取引をした場合には、それにより取締役などが得た利益の額は会社に生じた損害の額と推定されています。
  • 取締役の義務
    なお、取締役の一般的な義務としては、以下の3つあります。

    • 善管注意義務
      取締役と会社の関係は民法上の委任関係になります。その結果として、取締役には善管注意義務が課されます。善管注意義務は、「善良なる管理者の注意義務」で、「自己の財産と同一の注意義務」よりは高度の注意義務になります。
    • 忠実義務
      法令・定款・株主総会の決議を遵守し、会社のため忠実にその職務を行う義務をいいます。
    • 監視義務
      他の取締役の重大な任務違反を見逃すことがないよう監視する義務です。結果として。取締役は、自己の任務違反行為だけでなく、他の取締役の任務違反についても責任を負う場合があることになります。

2013年10月20日(日)