日本語学校卒の留学生の「特定活動/就活」の学校要件を緩和

  • 政府は外国人留学生が日本語学校を卒業後に国内で就職活動するのに必要な在留資格を取得しやすくします。
  • 在籍校が3年連続で留学生管理の「適正校」であることを求める要件を緩和し、直近1年でも適正だと国が判断すれば認めるようにします。
  • まずは国家戦略特区を対象に始め、運用を検証します。
  • 政府が2023年度中にも既存の通知を見直します。
  • 適正校になるには不法残留や資格取り消しなど問題のある留学生を在籍者全体の5%以下に抑える必要があります。
  • 23年7月10日時点で国内に日本語学校は831校あり、適正校は全体の85%を占めます。
  • 22年9月時点の75%から増えています。

日本語学校急増

観光客の増加と共に、日本語学校、及びその生徒が増えています。しかし、日本語学校設置の基準が緩いため、「金儲け」のための安易な日本語学校設立も増えており、結果として、学生の質の低下、ひいては不法就労、不法滞在につながるケースも増えています。
日本語学校の質の低下の歯止め、健全な育成を図るため、法務省は設置基準を厳しくします。

  • 日本語習得を目指す留学生を受け入れる日本語学校が増えている。
  • 今春には600校を超え、私立大学並みの校数となった。
  • 東京・銀座など知名度の高い場所に立地したり、有名大学受験を目指したりと多様化。
  • 地方では地域活性化を狙って自治体が誘致する動きもある。
  • 半面、就労目的とされる事例も増え、在留資格の審査は厳格化している。
  • 日本語学校は法務省の基準を満たすなどすれば開校でき、最近は不動産会社や人材派遣会社の参入も目立つ。
  • 2016年度の生徒数は15年度比21%増の6万8165人と、留学生全体の約3割を占め、大学在籍の留学生数に迫る。
  • 東京芝浦外語学院(東京・港)は4月、「銀座ワールドアカデミー」を開いた。
    銀座に近く校舎ビル購入に約5億円かかったが、日本の中心で学べる特別感を売り物にする。
  • 内装設計会社が始めた日本国際文化教育学院東京校(東京・台東)は浅草寺の裏手に約3億円で購入したビルを利用。
    外国人に知名度の高い立地で留学生を集める。
  • 東京JLA外国語学校早稲田校(東京・新宿)は早稲田大学進学を目指し、学生寮を設けて受験指導もする。
    専門学校に進学する日本語学校留学生が多いなか、有名大学を目指す。
  • 石川県加賀市は4月、旧市民病院に日本語学校を誘致した。
    若者を増やして地域の活性化を図る狙い。
    初年度はインドネシアとベトナムの留学生が入学し、将来は市内就職など定着を期待する。
  • 東京都奥多摩町は廃校に人材会社を誘致、日本語学校を10月に開いてもらう。
    フィリピンやベトナムなどの留学生が、授業後はIT(情報技術)の仕事も手掛ける計画。
    町は住民と留学生の交流を促し、観光振興にもつなげたい考えだ。
  • 今後の海外展開に備えようと、静岡市の健康食品会社、AFC―HDアムスライフサイエンスは同市内に、19年4月開校を目指した日本語学校をつくる。
    主に東南アジア出身の生徒を募集、自社の海外展開を担う人材を育成する。
  • ただ、就労を巡ったトラブルが増加。
  • 福岡県などでは昨年、日本語学校の運営者らが留学生にアルバイト先を紹介し、法定時間を超える不法就労をさせたとして、出入国管理法違反容疑で摘発されている。
  • 全国日本語学校連合会(東京・千代田)の荒木幹光理事長は、「親日家をつくるのが目的なのに、留学生の日本へのイメージが悪化しかねない」と懸念する。
  • すでに、留学生の在留資格審査は厳しくなっている。
  • 東京入国管理局が今春の留学生申請に対し在留資格を認めた交付率は82%と、前年同期の91%から大きく低下し、入学予定者が来日できない事例が続出している。
  • 法務省は8月から新設校の審査基準も厳しくする。

日経新聞 2017年6月11日