目次
- 1 産業廃棄物と一般廃棄物
- 2 一般廃棄物処理
- 3 一般廃棄物に係る処理施設設置許可及び処分業許可の流れ
- 4 一般廃棄物の限定許可
- 5 町田・高橋行政書士事務所のサポート
産業廃棄物と一般廃棄物
廃棄物処理法によると、廃棄物は産業廃棄物と一般廃棄物に大きく2分類されます。
- 産業廃棄物
事業活動に伴って生ずる廃棄物のうち、燃えがらや汚泥など量的・質的に見て環境に大きな影響を与えるおそれのある特定の種類のものです。排出事業者に処理責任があります。産業廃棄物の廃棄にあたっては、市町村等の一般廃棄物用の処理施設で処理・処分することはできません。産業廃棄物を処理・処分できる許可を受けた産業廃棄物処理事業者へ処理・処分委託することとなります。
- 一般廃棄物
産業廃棄物でない廃棄物です。産業廃棄物として定義されていないものは、たとえ、造園業から排出される剪定枝や枯葉のように事業活動から生じたものであっても一般廃棄物になります。家庭等から排出される一般のごみ(一般廃棄物)は市町村に処理責任があります。産業廃棄物に該当しない事業活動に伴う廃棄物(事業系一般廃棄物)については、事業者が自ら処理するか、市町村または市町村の許可を受けた一般廃棄物処理業者に処理・処分を委託しなければなりません。一般廃棄物処分業の許可を受けていない産業廃棄物処理事業者へ処理・委託することは違法となります。
ここでは、一般廃棄物処理、及びその処理施設の設置許可申請に関して記述します。
一般廃棄物処理
一般廃棄物処理に関する許可は以下のように分かれます。
- 一般廃棄物
- 一般廃棄物処理業許可
- 一般廃棄物処分業
- 一般廃棄物収集運搬業
所用期間:2ヶ月程度
法定費用:各1万円
- 一般廃棄物処理施設設置許可
所用期間:1年~1年半
法定費用:11万円
- 一般廃棄物処理業許可
一般廃棄物処理業(処分業・収集運搬業)
一般廃棄物の収集・運搬および処分は、市町村に処理責任があり、市町村自らが行うのが原則です。ただし、市町村で行うことが困難な場合に限り、市町村長は一定の要件を満たした業者の申請により、ごみ処理基本計画に基づいて一般廃棄物処理業の許可を与えることができます。ただし、ほとんどの市町村では、新規に許可は与えていないようです。
亡くなった方の家財など、家庭のごみを一時的に大量に運び出したりする場合には、一般廃棄物収集運搬業の許可が必要になります。上記のように新規の許可が出ないようなので、遺品処理業を新規に開業するなどは現実的には難しいことになります。
一般廃棄物処理施設の設置
処理施設の1日の処理能力が5トンを境に許可と届出に分かれます。1日の処理能力とは1時間の処理能力に1日の稼働予定時間を乗じたものです。なお、1日の稼働予定時間は最低8時間とします。
- 許可:1日の処理能力5トン以上
- 届出:1日の処理能力5トン未満
届出の期間は許可より半年程度短いですが、作成、提出する書類の種類、量は許可と届出で大差はありません。
一般廃棄物に係る処理施設設置許可及び処分業許可の流れ
以下では、一般廃棄物処理施設の設置許可と一般廃棄物処分業許可に関し、主に横浜市のケースを元に記述します。このケースでは、一般廃棄物処理施設を設置し、自分の事業所と他事業所の剪定枝などの一般廃棄物を処理することを想定してます。非常に重い手続きになるのは前者の施設設置許可で、後者の処分業許可は軽い手続きになります。
以下のようなステップで進めていくことになります。
- 横浜市資源循環局へ事業計画書の提出、説明、協議、審査
- 開発事前審査願、確認、付議、建築局開発調整会議の審議
- 近隣説明計画作成、協議、実施、報告、確認
- 生活環境影響調査実施計画作成、協議、実施、報告
- 横浜市都市計画審議会への付議
- 資源循環局へ一般廃棄物処理施設設置許可申請、審査
- 処理施設の着工
- 使用前検査
- 一般廃棄物処分業許可申請
1.資源循環局へ事業計画書の提出、説明、協議、審査
事業計画書
事業計画書へは以下の内容を記入します。
- 名称、場所、土地所有者、免責、処理方式、処理能力、作業時間、都市計画の内容
- 搬入道路、関係法令、処理後の廃棄物の処分方法、搬入搬出の時間・方法、交通量、公害防止対策、火気取締責任者、技術管理者付帯設備等、人員配置
添付書類
位置図・計画地の見取図、公図の写し、求積図、設計計算書、登記事項証明書・賃貸借契約書、現況図、処理工程図、施設計画図、一般廃棄物の保管場所・方法・量、施設・設備の仕様書、処理能力を示す書類、管理体制系統図、施設維持管理計画書、搬出入車両の経路・交通量の算定根拠書類、その他
資格、基準等
技術管理者の資格を取得すると共に、各種の基準を守る必要があります。
- 技術管理者の資格
廃棄物処理施設技術管理者の講習会を受講 - 一般廃棄物処理施設の設置に関する基準
自重、排ガス、騒音、振動... - 一般廃棄物処理施設の維持管理に関する基準
ごみの飛散、蚊、はえ... - 一般廃棄物の処分に関する基準
保管、囲い、掲示板、害虫... - 一般廃棄物の保管時の高さについて
一般廃棄物処理施設の立地
認められない場所
- 住居系地域、商業系地域
- 準工業地域又は市街化調整区域で、風致地区、地区計画又は建築指定地区が指定されている地区又は区域
- 学校、病院、診療所、児童福祉施設、老人福祉施設又は住居系地域の住宅が近接している場所
- 施設への搬入や施設からの搬出に使用する道路について、施設から幹線道路に至る間の道路が、搬入や搬出に使用する車両が安全にすれ違うことができない場所
- 搬入や搬出に使用する車両の通行により、付近住民の安全及び利便を阻害するおそれがある場所
具体的な例
- 搬入道路は、原則としてアスファルトコンクリート舗装以上の構造とし、車両の通行による振動及び粉じんの発生を防止するとともに、雨水廃除の上で支障のないこと
- 搬入導路の縦断勾配は、12%以下であること
- 必要に応じて既存道路の拡幅又は補修及び安全施設の整備が計画されていること
- 交通渋滞の防止について十分配慮されていること
- 以上のことについて必要に応じ、道路管理者、所轄警察署等と協議済みであること
2.開発事前審査願、確認、付議、建築局開発調整会議の審議
市街化調整区域内に廃棄物処理施設を設置する場合は、建築局の「横浜市開発調整会議」に付議し、審査を受けます。以下の書類が必要です。
- 開発調整会議審議願
名称、位置、区域面積、地域・地区、目的、設計者の住所氏名 - 設計説明書
- 開発事業区域内の土地の現況
都市計画、地目別・所有別 - 土地利用計画の内訳
開発事業の目的、予定建築物の用途、建築物の計画、進入路及び道路計画、流末排水及び汚水計画、上水道計画、公園・緑地等の計画、公益的施設の計画、消防水利、駐車場、着手予定日、利用区分、土量
- 開発事業区域内の土地の現況
- 添付書類
設計説明書、位置図、現況図、都市計画図、土地利用計画図、公図、造成計画図、建築計画、その他必要なもの
3.近隣説明計画作成、協議、実施、報告、確認
計画地周辺の住民や事業者とのトラブルを未然に防ぐため、生活環境影響調査を実施する前までに、近隣の住民や事業者に対し、事業計画の内容及び生活環境影響調査の実施内容について説明をします。そして、説明終了後、日時、説明者、相手名、内容、議事などについて文書で報告します。以下の住民や事業者の方々に説明をします。
- 施設から幹線道路に至る間の道路沿道の住民等で組織する自治会、商店街、工業会などの団体
- 施設隣接地の土地及び建築物の所有者又は管理者
- 施設から100m以内にある学校、病院等の所有者又は管理者
- 申請地周辺及び排水の放流先に田畑等がある場合は農業団体、水路利用者がいる場合は当該者
4.生活環境影響調査実施計画作成、協議、実施、報告
施設を設置することが周辺地域の生活環境に及ぼす影響についての調査の結果を記載した書類を添付します。生活環境影響調査書には以下の事項を記載します。
- 大気汚染、水質汚濁、騒音、振動、悪臭のうち調査を行ったもの
- 調査項目の現況及びその把握方法
- 影響の程度を予測するために把握した水象、気象などの現況及びその把握方法
- 調査項目の変化の程度、範囲及びその予測方法
- 周辺地域の生活環境に及ぼす影響の分析結果
- 大気汚染、水質汚濁、騒音、振動、悪臭のうち、調査項目に含めなかった事項及びその理由
- その他参考となる事項
実際の調査は以下のように進めます。
- 調査事項の整理⇒調査対象地域の設定⇒現況把握⇒予測⇒影響分析⇒調査書作成
5.横浜市都市計画審議会への付議
廃棄物処理法に基づく設置許可又は変更許可が必要な規模の一般廃棄物処理施設は、建築基準法51条ただし書きの規定により、横浜市都市計画審議会の議を経て認められることが必要です。
横浜市都市計画審議会は原則年4回の開催です。
6.資源循環局へ一般廃棄物処理施設設置許可申請
事前協議の終了通知を受けた後、許可申請をします。審査標準処理期間は60日で、手数料(焼却施設以外の施設)は11万円になります。
設置許可申請書への記載事項
- 1面
設置場所、施設の種類、処理する一般廃棄物の種類、着工予定日、使用開始予定日、許可日、許可番号、処理能力、位置・構造、 - 2面
維持管理、汚泥又は焼却灰等の処分方法、埋立処分計画、一般廃棄物の搬入及び搬出の時間・方法 - 3面
申請者・法定代理人、役員 - 4面
100分の5以上の株式を所有又は出資している者
代表者以外に廃棄物処理契約を締結する者
添付書類
- 処理する廃棄物
- 処理施設の使用方法
- 処理方式・構造及び設備の概要
- 排ガスの処理方法
- 排水の処理方法、放流水の水質及び水量...
- 汚泥等の処分方法
- 防臭対策、騒音対策、振動対策
その他添付書類
- 定款
- 印鑑証明書
- 申請者
- 誓約書、住民票の写し、登記されていないことの証明書
- 株式、出資が100分の5以上の者の登記事項証明書又は住民票の写し
- 直前3年の損益計算書、貸借対照表、納税証明書
- 資産に関する調書及び納税証明書
- 施設設置、維持管理に要する資金の総額及び資金の調達方法
- 見取図
- 設計計算書
- 設置に関する技術的能力を説明する書類
- 維持管理に関する技術的能力を説明する書類
- 処理工程図
- 周囲の地形・地質・地下水の状況を明らかにする書類
- 施設内の一般廃棄物の最大保管量を明らかにする書類
- 技術管理者が法23条第3項の資格を有することを証する書面
- 緊急時の管理及び連絡体制
- 生活環境影響調査報告書
7.処理施設の着工
許可証が付与されると廃棄物処理施設を設置することが可能となり、建築確認などを経て着工します。
8.使用前検査
処理施設の着工が完了したら、使用前検査申請書を提出します。日程調整(標準処理期間30日)後、使用前検査が実施されます。問題がなければ使用前検査済み通知書が発行されます。
9.一般廃棄物処分業許可申請
使用前検査済通知書を受けると処理施設を使用することが可能となりますが、他人が排出した一般廃棄物を処分するためには、一般廃棄物処分業の許可を受ける必要があります。
審査標準処理期間は60日で、手数料は1万円です。
以下の書類を添付します。
- 事業計画書総括表
- 事業計画書個別表
- 誓約書
- 住民票の写し
- 登記されていないことの証明書
- 事業開始資金調書
- 資産等調書
- 直前3か年の所得税納税証明書その1
- 直前3か年の納税証明書その1
- 直前3か年の貸借対照表、損益計算書
- 印鑑証明書
- 従業員名簿
- 事務所一覧
- 事務所の概要及び案内図
- 事務所の写真
- 事務所の使用権を有することを証する書面
- 業務経歴書
- 定款
- 登記事項証明書
- 処理施設の案内図及び配置図
- 処理施設の写真
- 処理施設の使用権を有することを証する書類
- 一般廃棄物の処理工程図
- 処理施設の一般廃棄物最大保管量計算書
- 処理施設の各設備及び構造物等の仕様書
一般廃棄物処理施設に関して
横浜市の場合、一般廃棄物処理施設許可は10ヶ所あり、数ヶ所が手続き中です。また、自治体によっては、処理機械を自走式と固定式に分け、手続きが異なるところもありますが、横浜市は固定式のみで、自走式機械もビス等で固定する必要があります。
一般廃棄物の限定許可
廃棄物の種類を限定した一般廃棄物の許可を出す自治体もあります。以下は、町田市の例です。
申請に必要な書類
申請書の他に以下のような添付書類が必要になります。
- 事業計画書
- 住民票の写し (法人の場合、定款及び登記簿の謄本)
- 身分証明書 (法人の場合、代表者及びその業務を行う役員)
- 印鑑証明書 (法人の場合、法人の印鑑証明書)
- 申出書 (法人の場合、その業務を行う役員)
- 履歴書 (法人の場合、役員の名簿及び履歴書)
- 許可証の写し
- 従業員名簿
- 契約を証明できる書類
- 事務所の設置を証明できる書類
- 車両に関する書類
- 請書
- 搬入カード交付申請書
町田・高橋行政書士事務所のサポート
サポート内容
関東の多くの自治体では、一般廃棄物処理業の許可及び届出を認めていないようなので、あまり現実的ではありません。
種類限定許可であれば対応可能です。
費用
- 町田市の限定許可の場合
- 報酬 10万円(消費税別)
- 実費 申請手数料:1万円
期間
個別に対応いたします。
対応エリア
- 町田市などの東京都
- 相模原市、座間市、厚木市、大和市、綾瀬市、海老名市などの神奈川県
問合せ
- 090-7175-6752 042-860-6498
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