民法改正

民法のうち企業や消費者の契約ルールなど債権関係規定(債権法)が改正され、2020年4月に施行されます。
改正項目は約200に上ります。主なものでも、債権の消滅時効の見直しや法定利率の引き下げと変動制の導入、定型約款に関する規定の新設など多岐にわたります。

  • 実質的なルールの改正
    • 個人の根保証契約
      一定の範囲に属する不特定の債務を保証する契約を「根保証契約」といいます。
      住宅等の賃貸借契約の保証人となる契約などが根保証契約に当たることがあります。
      個人が根保証契約を締結する場合には、保証人が支払の責任を負う金額の上限となる「極度額」を定めなければ保証契約は無効となります。
    • 公証人による保証意思の確認
      個人が事業用融資の保証人になろうとする場合について、公証人による保証意思確認の手続き、保証意思宣明公正証書を新設しました。これは代理人に依頼することがで きず、保証人になろうとする者は自ら公証人の面前で保証意思を述べる必要があります。(例外があります。)
    • 定型約款
      信義則に反して顧客の利益を一方的に害する不当な条項は認められないなど、定型約款が契約の内容となる要件が定められました。
      事業者側の一方的な都合で変更できないなど、定型約款の変更の要件が定められました。
    • 法定利率
      法定利率が年5%から年3%に引き下げられました。また法定利率が市中の金利動向に合わせて自動的に変動する仕組みも導入されました。
    • 消滅時効
      改正民法では消滅時効の原則として「権利を行使できる時から10年」を維持したうえで、「権利を行使できると知った時から5年」を追加。どちらか早い方の経過で時効 が完成するという規定に統一しました。
      さらに職業別の短期消滅時効の特例を廃止し、民法改正にあわせて商法の商事消滅時効も廃止しました。
      なお労働基準法や保険法にも消滅時効の規定がありますが、これらは今回見直されていません。例えば賃金を支払ってもらう権利(賃金債権)は2年、保険金を請求できる権利(保険金請求権)は3年となっています。
  • ルールの明文化、明確化
    • 意思能力に関するルール
      意思能力(判断能力)を有しない状態になった人がした法律行為(契約など)が無効であることを条文に明記しました。
    • 賃貸借に関するルール
      敷金に関しては、賃貸借が終了して賃貸物の返還を受けたとき、貸主は賃料などの債務の未払い分を差し引いた残額を返還しなければなりません。
      賃貸借の借主は、通常損耗や経年変化については原状回復をする必要はありません。
    • 瑕疵(かし)担保責任
      売買の目的物に欠陥があった場合に売り主が買い主に対して負う瑕疵(かし)担保責任については、「瑕疵」という言葉を使わず、「契約の内容に適合しないもの」とい う表現に置き換えられました。
    • 時効の中断と停止
      改正前の時効の「中断」を「更新」に変更しまし。
      それまでに経過した時効期間を最初に戻して改めて起算すること
      改正前の時効の停止を「完成猶予」に変更しました。
      時効の完成を一定期間先延ばしすること