遺言に書くべき内容

問合せ

遺言の記載事項

  • 身分に関する事項
    • 子の認知
    • 未成年者の後見人・後見監督人の指定
    • 相続人の廃除と廃除の取消
  • 財産の処分に関する事項
    • 遺贈
    • 財産の寄付
    • 信託の設定
  • 相続に関する事項
    • 相続分の指定とその委託
    • 遺産分割方法の指定とその委託
    • 遺産分割の禁止
    • 共同相続人相互の担保責任の指定
    • 特別受益の持ち戻しの免除
    • 祭祀承継者の指定
    • 遺言執行者の指定又は指定の委託
    • 遺贈の減殺方法の指定
    • 生命保険の受取人の指定変更

子の認知

遺言の中で婚姻外で生まれた子の認知をすることができます。しかし、当然ですが、法定相続に影響するため、相続手続きがスムースに進まないことが予想されます。遺言の中での、突然の子の認知は避けるべきと言えます。

遺贈

被相続人が自分で財産の承継者などを決め、遺言によって与えることを遺贈といいます。
遺贈を受ける受遺者は相続人でも相続人でなくても構いません。特定の相続人に特定の財産を承継させる遺贈は特別受益になります。遺贈は相続権のない嫁や世話になった知人などに財産をあげたいときによく行われます。

特定遺贈と包括遺贈

遺贈には特定遺贈と包括遺贈の2つの方法があり、それぞれ負担付きの遺贈も可能です。

  • 特定遺贈
    「友人の○○○○氏に保有株式を全て遺贈する」などのように具体的な財産を示して行います。

    • 遺産分割協議に参加しませんし、債務があっても承継しません。
    • 受贈者は、相続人などへの意思表示により、いつでもその遺贈を放棄できます。
  • 包括遺贈
    「嫁の○子に財産の2分の1を遺贈する」などのように割合を示して行います。
    以下のように、相続人と同一の権利義務を持つことになります。

    • 遺産分割協議に参加します。
    • 指定された割合で債務も承継します。
    • 3か月以内に遺贈の放棄、あるいは限定承認が出来ます。
  • 負担付きの遺贈
    「長男に土地、家屋を遺贈する。ただし長男は遺言者の妻を看護すること」と記載します。
    財産贈与と引き換えに、自分の心配なことを託すことができるので有効な方法です。
  • 注意事項
    全財産を一人に遺贈する場合は、「一切の財産」として、必ずしも明細を遺言に書く必要はありません。しかし、受贈者は推定相続人ではありませんので、相続手続きの際に情報が不足する可能性があります。その手間を省略するため、不動産情報、預貯金情報など財産を遺言の中で明示する方が良いと言えます。

「遺贈する」と「相続させる」の違い

  • 対象者
    遺贈は相手が相続人である必要はありませんが、相続の場合は相手は相続人に限られます。
  • 放棄
    特定遺贈の場合、受遺者はいつでも放棄できますが、「相続させる」の場合は相続そのもの(相続全体)を放棄しなければなりません。
  • 登記の方法
    登記手続きについて、「遺贈する」の場合は受遺者と相続人全員又は遺言執行者との共同申請をする必要がありますが、「相続させる」の場合は単独で申請できます。
  • 登記の登録免許税
    遺贈の場合は評価額の1000分の20、相続であれば、1000分の4です。
    相続人に対する遺贈については、相続と同じ1000分の4です。
  • 農地の取得
    遺贈なら相続登記に知事の許可が必要ですが、相続なら不要です。ただし、包括遺贈の場合は不要です
  • 借地権・借家権の取得
    遺贈の場合は原則として賃貸人の承諾が必要ですが、相続の場合は不要です。

遺贈と死因贈与の違い

「遺贈」とは、遺言によってする贈与のことをいい、「死因贈与」とは、贈与する者の死亡によって効力が生じる生前の財産の贈与契約のことをいいます。目的、効果は同等です。

  • 共通点
    • 「贈与」の一種です。
    • 贈与する者の死亡によって贈与の効力が生じます。
    • いずれも相続税の対象です。
  • 相違点
    • 「遺贈」は、受贈者の意思に関係なく、贈与者が遺言の中で一方的に意思を示せば足ります(単独行為)が、 「死因贈与」は、贈与者と受贈者との間で生前に合意(契約)をする必要があります。
    • 「遺贈」は、遺言に書くことにより、受贈者に知らせず遺産を遺すことが可能ですが、「死因贈与」は、受贈者と明示的に契約を交わします。

特には不動産の場合ですが、遺贈では本当に執行されるのか心配なときは、死因贈与契約を締結し、仮登記まで済ませておきます。契約書と仮登記があればまず本登記になることは間違いありません。

包括受遺者と相続人の違い

包括受遺者が「相続人と同一の権利義務を有する」といっても、相続人となるわけではありませんから、相続人と次の点で異なります。

  • 受遺者が先に死亡していても、代襲して遺贈を受けることはできません。
  • 受遺者には遺留分がありません。
  • 相続人の1人が相続放棄しても、受遺者の相続分は変わりません。
  • 受遺者の持分は登記しないと第三者に対抗できません(相続人は登記なくして対抗できます) 。
  • 法人でも受遺者になれます。
  • 保険金受取人としての「相続人」には、包括受遺者は含まれません

特定遺贈の指定のみで、その他の遺産について指定がない場合

  • 相続人以外に遺贈するとき
    • 遺贈分が遺留分を侵害していないとき
      特定遺贈以外の遺産を相続人間で法定相続割合で分割します。
    • 遺贈分が遺留分を侵害しているとき
      受遺者は、遺留分減殺請求に応じて、侵害分を相続人に弁済します。
  • 相続人に遺贈するとき
    • 特定遺贈の価額が法定相続分を上回っていて、
      • 遺留分を侵害していないとき
        そのまま特定遺贈を受けます。
      • 更に、遺留分を上回っているとき
        遺留分減殺請求に応じて、侵害分をその他の相続人に弁済します。
    • 特定遺贈の価額が法定相続分を下回っていて、
      • その特定遺贈が、相続分の指定とみなされないとき
        法定相続分まで、不足分を補充して相続します。
      • その特定遺贈が、相続分の指定とみなされるとき
        残りの遺産をその他の相続人で分割します。

遺留分を侵害する遺言も有効ですので、併せて遺言執行者も指定しておくことにより、遺留分の請求権者に被相続人の死亡を知らせず、遺言通りの遺産分割をすることも可能です。しかし、相続発生から10年間は、枕を高くして眠ることはできません。いつ、その遺留分を侵害された人がその事実を知って、遺留分減殺請求をかけてくるか分からないからです。遺留分減殺請求をできる者は、その侵害された事実を知ってから1年以内かつ被相続人の死亡から10年以内であれば、遺留分減殺請求をすることができるからです。

遺言執行者の指定

  • 遺言執行者の職務内容
    • 事前調査
    • 財産目録作成
    • 遺産分割協議書作成
    • 相続関係説明図作成
    • 相続人・受贈者との連絡・調整
    • 相続登記添付書類作成
    • 司法書士との不動産相続登記に関する調整
    • 税理士との準確定申告・相続税に関する調整
    • その他書類・情報入手など遺言執行に関わる全般的な業務及びコンサルティング
  • 遺言執行者への委任報酬
    • 遺産総額、業務範囲、相続人の数・住所、期間、難易度等により異なります。
    • 遺産総額の1.0~1.5%程度が基準です。
    • 一般的に、30万円(税別)からです。

遺産分割の禁止

被相続人として、亡くなってすぐに遺産分割をして欲しくないケースが考えられます。

  • 相続財産分割ですぐにも揉めそうなケース
  • ほとんど自宅しか遺産がなく、子供が数人いるケース
  • 暫くは、遺産分割などせずこのまま静かにしていて欲しいケース

その場合は、遺言に遺産分割禁止期間を書くことにより実現できます。最大で5年間です。

相続人の廃除と廃除の取消

虐待を受けたなどの理由により、法定相続人の相続権を失わせることができます。この廃除を家庭裁判所に届け出ることができる人は、遺言執行者なので、遺言執行者を併せて指定することになります。

祭祀の指定

遺言の中で、以下のような、祭祀の指定がされることがあります。
「遺言者は、祖先の祭祀を主宰すべき者として、前記○○○○を指定する。」
具体的には、家系図、仏壇、墓地などの「祭祀財産」を引き継ぐ人を指定することです。必ずしも被相続人の葬儀等を行うことを意味しませんが、通常は一致することが多いと思います。祭祀の指定がない場合は、暗黙の了解、慣習等で決まりますので、それで特に問題がなければ取りたてて書く必要はありません。
公正証書遺言の場合、祭祀の主宰者の指定は、「相続又は遺贈とは別個の法律行為であり、かつ、目的価格が算定できない。」として、手数料が11,000円別途追加になります。

代償分割の記載方法

現物分割、換価分割では、分割方法が決まれば比較的、その後のことが進めやすいと言えます。しかし、代償分割は、売却したと仮定した評価額を相続人間で合意する必要がありますので、難しいと言えます。現物を相続する方は低く評価しがちですし、現金を受け取る方は高く評価しがちです。結果として、話がなかなかまとまらないケースが出てくることになります。

代償分割を採用する場合は、被相続人が遺言の中で、負担付き又は条件付の遺産分割方法の指定という形で、具体的な金額まで踏み込んで記載することが望まれます。それにより、相続人間の争いを少なくすることができます。更には、付言でその理由を述べ、かつ生前のうちに相続人に根回ししておけば安心できることになります。

  • 全財産を特定の相続人に相続させる場合
    遺言者は、長男○○○○が他の相続人に次の代償金を支払うことを条件として、全財産を相続させる。
    長女□□□□に対して、金××××円
    二男△△△△に対して、金××××円
  • 特定の財産についてだけ、代償分割的相続をさせるとき
    遺言者は、その所有する次の財産を、長男○○○○に相続させる。ただし、長男○○○○は、上記相続に対する負担として、長女□□□□に500万円、二男△△△△に500万円をそれぞれ支払うこと。
  • 分割払いの記載例
    前項で「500万円を支払うこと」とした文章を、「遺言者が死亡した日の属する月の翌月末日を第1回目として、以後毎月末日限り金10万円ずつを500万円に達するまで支払うこと」として分割払いにする方法もあります。

予備的遺言(補充遺言)

財産を渡す予定の人が遺言者より先に亡くなったときのことを想定して書くことができます。予備的遺言、補充遺言と言われています。例えば、以下のように書きます。
「なお、長女○○○○が、遺言者の死亡以前に死亡または相続を放棄した場合には、本項によりそのものに相続させる財産を、長女○○○○の息子○○□□(xx年xx月xx日生)に遺贈する。」

遺留分と遺留分減殺請求

相続人には遺留分が認められています。
遺言の内容は、遺留分、及び遺留分減殺請求がなされることを想定して書くことが重要です。

>遺留分と遺留分減殺請求

付言事項

遺言者は、遺言書の末尾に、「付言事項」を自由に書くことができます。
特に、法定分割とは異なる遺産分割方法を遺言の中で指定する場合は、この付言が非常に重要になります。法的効力はありませんが、相続人に納得してもらうためには、十分な理由を書くことが大切です。

付言事項の例

  • 配偶者へのメッセージ
  • 子への思い
  • お世話になった方へのお礼
  • 葬儀の方法
  • このような遺言を遺す理由
  • このような遺産分割を指定する理由

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