外食ピンチ:特定技能は増えず、留学生は減少

現時点において、「特定技能」の外食の試験では1500人が合格しているものの在留資格が許可されたのは20人強ということです。
一方、昨年から、「留学」の認定証明書交付が極端に絞られています。
期待の特定技能労働者が増えず、従来からの留学生の労働力が大きく減る、というダブルパンチを受け、外食業は大ピンチに陥っています。
まして、コンビニは、「特定技能」の14業種にも含まれていないので、先が全く読めなくなり、人手不足閉店が増えつつあります。

まずは、「特定技能」の手続きをもう少し軽くし、次に、家族滞在を認めるようにして、早く特定技能労働者を増やす必要があります。
他方で、人口が確実に減少しているので、人手に頼るサービスの低下は国民全体で受け入れざるを得ないのも事実です。

日本で技能評価試験に合格した外国人

「特定技能」の外食と宿泊の両方の技能評価試験に合格した外国人から連絡がありました。

採用してもらえるレストランが決まったので、会社の人事担当者に連絡して手続きを進めて欲しいとのことでした。
半信半疑で電話したところ、会社の人事担当者から以下のように言われました。
・確かに現場のレストランからは、採用したいとは聞いている。
・入社に必要な書類を受け取れば押印程度はするが、会社側で入管向けの書類を作成したり、関連する費用を負担したりすることは基本的に想定していない。

会社の人事担当者は、本人が在留資格を持っているか、手続きを手伝うにしても会社の負荷はほとんどないと考えていました。
会社からすれば、ウエイターを雇用するのに、多大な手間や費用をかけたくないというのは当然と言えます。

高度人材であれば、会社側もその外国人を雇用するために、それなりの手間をかけたり、費用を負担したりするかもしれません。
しかし、ウェイター程度の軽い職種の人に、会社側が重い手続きや重い費用を負担するというのは考えにくいです。
その意味では、日本で技能評価試験に合格した外国人が、独力で自ら就職先を見つけるのは容易ではないと思えてきました。

結果として、日本における試験合格ルートの外国人の多くは、人材会社のサービスを利用して、就職先を探そうとするような気がします。
ただ、仮にその人材会社や登録支援機関が重い手続きを代行するにしても、企業側の重い費用負担は避けられません。

日本での試験合格組の外国人が、相当な手間と費用のかかる在留資格の変更手続きを経由し、就職先を探すのには相当な困難が予想されます。

19年度末47,000人、7月末44人

以下の記事にありますように、「特定技能」の19年度末の見込み人数は47,000人です。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49755550S9A910C1CR8000/
一方、7月末の在留者数は、44人です。
来年3月までに、この差が埋まるのでしょうか?

ところで、以下の記事もありました。
「出入国在留管理庁長官は「特定技能」制度の利用状況について「若干、様子見という印象」と述べた。」
私は、マーケット側が、「様子見」をしているのではなく、
・技能評価試験が遅々として進まないこと
・申請手続きが非常に煩雑なこと
が理由だと思うのですが...

日本語基礎テストの予定 2019年10月以降

  • モンゴル
    • ウランバートル   11月9日、10日、16日、17日
  • カンボジア
    • プノンペン    10月27日~30日
  • フィリピン
    • マニラ      10月27日、28日、31日、11月2日~17日
    • セブ       10月26日~28日、11月5日~7日
    • ダバオ      10月29~30日
  • ミャンマー
    • ヤンゴン     10月30日~11月2日、11月6日~9日、11月14日~16日
  • ネパール
    • カトマンズ    10月27日~29日、11月5日~7日、11月12日~14日

建設業で「建設特定技能受入計画」を初めて認定

  • 国土交通省が、7月30日に、「特定技能」の建設分野で5社(9人)の受け入れ計画を初めて認定しました。
  • 今まで認定された会社がなかったこと自体が逆に驚きです。
  • 建設業だけは、法務省への在留資格申請の前提として、受入れ企業による「建設特定技能受入計画」認定を条件としています。
  • 認定した5社は東京、千葉、静岡の各1社と神奈川の2社で、受け入れ人数はそれぞれ1~4人です。
  • 送り出し国はベトナムと中国で、基本給はいずれも月23万~28万円と既に建設現場で働いている外国人の平均を上回ります。
  • 特定技能外国人は、人手不足対策であって、低賃金労働者でないことが改めて分かります。

https://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo14_hh_000852.html

介護の新しい試験計画が発表

以下、厚労省のサイトから

(1)受験申込手続のご案内
[フィリピン] (マニラ)
第6回 令和元年8月6日(火)~8日(木)、17日(土)~19日(月)
第7回 令和元年9月9日(月)~12日(木)

※ 今後の実施予定
[フィリピン] マニラ:令和元年10月29日(火)~11月14日(木)
セブ :令和元年10月26日(土)・27日(日)、
11月5日(火)~7日(木)
ダバオ:令和元年11月12日(火)~15日(金)

[カンボジア] プノンペン:令和元年10月27(日)~30日(水)

[ネパール] カトマンズ:令和元年10月27(日)・28日(月)、
11月5日(火)・6日(水)

[ミャンマー] ヤンゴン:令和元年10月30日(水)~11月1日(金)、
11月4日(月)~7日(木)

[モンゴル] ウランバートル:令和元年11月14日(木)~17日(日)

(注1)上記試験日程は現時点の予定であり、今後変更される可能性があります。
(注2)国際交流基金日本語基礎テストも同日程で実施予定です。
(注3)テストの受験申込開始は2019年9月末を予定しています。申込方法は、9月初旬頃、ご案内します。

準備中
インドネシア、タイ、中国、ベトナム

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_000117702.html

「特定技能」の状況 7月8日

「特定技能」に関する富山市の事例などが新聞に載っていました。

  • 技能実習生などとして数年働き2018年に帰国していたベトナム人が、今年4月1日に名古屋出入国在留管理局に「特定技能」の認定証明書交付申請を出し、6月17日に来日した。
  • 出入国在留管理庁によると6月末時点で国内外の外国人約230人が特定技能に申請中で、許可を得た人は20人。
  • 外食分野の海外の技能試験は対象人数の多いベトナムから始める計画だったが、2国間協定がなかなか進まなかったため日程が白紙になり、農林水産省の担当者によれば「秋以降、早急に実施する予定」というが実施国や日程は未定。
  • 日本国外での技能試験を介護分野でいち早く実施したフィリピンで、6月末までに約200人が合格したが、フィリピン側で送り出しルールの細目が定まっておらず、具体的な来日スケジュールが決まっていない。

2019年7月8日 日経新聞

「特定技能」初認定は農業、カンボジア人2人

  • 法務省は、4月26日に、「特定技能」第1号を発表した。
  • 技能実習から移行するカンボジア国籍の20歳代の女性2人
  • 和歌山市御坊市で畑作の技能実習中
  • 2016年に来日し、3年間の技能実習の期限が迫っていた。
  • 受け入れ企業は、大阪府の農業関連会社
  • 4月19日時点で、「特定技能」への移行申請数は27人
  • 4月26日に、初めて8つの法人、個人の登録支援機関を登録

「特定技能」の業種別整理

業種別に整理すると、以下のようになります。
もし、認定証明、「技能実習」以外からの変更を考えるのであれば、介護、外食、ビルクリーニング、宿泊が重点分野になります。

技能実習生からの移行ルートを期待する業種

  • 製造業
    • ○素材加工 100%
    • ○産業機械製造 100%
    • △電気・電子情報関連 100%
  • ◎建設 約90%
  • ◎農業 約90%
  • ○造船・舶用工業 88%
  • ◎飲食料品製造 73%

その他(認定証明、「技能実習」以外からの変更)ルートを期待する業種

  • ◎介護 100%
  • ◎外食 100%
  • △航空 95%
  • ◎ビルクリーニング 90%
  • ○宿泊 70%

両方のルートにほぼ等分に期待する業種

  • △自動車整備
  • △漁業

業種の先頭のマークは、受入れ見込み数の上限区分
・△は、1000人未満
・○は、1000人以上、5000人未満
・◎は、5000人以上

一方、技能試験の予定は以下のとおりです。
当然ですが、上記の4業種の試験は早く始まります。
ビルクリーニングだけが遅いので注意が必要です。

  •  「特定技能1号」を取得するための「相当レベルの技能」の有無を判定する技能試験
    • 2019年4月: 宿泊業、介護業、外食業
    • 2019年10月:飲食料品製造業
    • 2019年秋以降:ビルクリーニング業
    • 2019年度内: 残りの9業種
      • 受験資格は問わない。
      • 「技能実習1号」終了者は、本試験の合格が必要
      • 「技能実習2号」及び「技能実習3号」修了者は、本試験を免除

「特定技能」の試験は日本で行うか?

「特定技能」の資格を取得するには、「技能実習」ルートと試験ルートがあります。

4月から技能試験を行うと表明しているのは、宿泊業、介護業、外食業の3業種のみです。
以下の対象9か国で行います。(一部の国かもしれません。)
ベトナム
中国
フィリピン
インドネシア
タイ
ミャンマー
カンボジア
ネパール
モンゴル

ただ、日本でその試験を行うかどうかが明確になっていません。
以下のページがありました。
https://bit.ly/2CnbOWe

「宿泊業技能測定試験は、国外、国内でそれぞれ年2回程度実施される。
初回の試験は19年4月に実施予定で、留学生などを対象として国内で実施されるとみられる。」

宿泊業が、留学生からの変更を期待していますので、おそらく介護業、外食業も同様だと思われます。