「特定技能」初認定は農業、カンボジア人2人

  • 法務省は、4月26日に、「特定技能」第1号を発表した。
  • 技能実習から移行するカンボジア国籍の20歳代の女性2人
  • 和歌山市御坊市で畑作の技能実習中
  • 2016年に来日し、3年間の技能実習の期限が迫っていた。
  • 受け入れ企業は、大阪府の農業関連会社
  • 4月19日時点で、「特定技能」への移行申請数は27人
  • 4月26日に、初めて8つの法人、個人の登録支援機関を登録

「特定技能」の業種別整理

業種別に整理すると、以下のようになります。
もし、認定証明、「技能実習」以外からの変更を考えるのであれば、介護、外食、ビルクリーニング、宿泊が重点分野になります。

技能実習生からの移行ルートを期待する業種

  • 製造業
    • ○素材加工 100%
    • ○産業機械製造 100%
    • △電気・電子情報関連 100%
  • ◎建設 約90%
  • ◎農業 約90%
  • ○造船・舶用工業 88%
  • ◎飲食料品製造 73%

その他(認定証明、「技能実習」以外からの変更)ルートを期待する業種

  • ◎介護 100%
  • ◎外食 100%
  • △航空 95%
  • ◎ビルクリーニング 90%
  • ○宿泊 70%

両方のルートにほぼ等分に期待する業種

  • △自動車整備
  • △漁業

業種の先頭のマークは、受入れ見込み数の上限区分
・△は、1000人未満
・○は、1000人以上、5000人未満
・◎は、5000人以上

一方、技能試験の予定は以下のとおりです。
当然ですが、上記の4業種の試験は早く始まります。
ビルクリーニングだけが遅いので注意が必要です。

  •  「特定技能1号」を取得するための「相当レベルの技能」の有無を判定する技能試験
    • 2019年4月: 宿泊業、介護業、外食業
    • 2019年10月:飲食料品製造業
    • 2019年秋以降:ビルクリーニング業
    • 2019年度内: 残りの9業種
      • 受験資格は問わない。
      • 「技能実習1号」終了者は、本試験の合格が必要
      • 「技能実習2号」及び「技能実習3号」修了者は、本試験を免除

「特定技能」の試験は日本で行うか?

「特定技能」の資格を取得するには、「技能実習」ルートと試験ルートがあります。

4月から技能試験を行うと表明しているのは、宿泊業、介護業、外食業の3業種のみです。
以下の対象9か国で行います。(一部の国かもしれません。)
ベトナム
中国
フィリピン
インドネシア
タイ
ミャンマー
カンボジア
ネパール
モンゴル

ただ、日本でその試験を行うかどうかが明確になっていません。
以下のページがありました。
https://bit.ly/2CnbOWe

「宿泊業技能測定試験は、国外、国内でそれぞれ年2回程度実施される。
初回の試験は19年4月に実施予定で、留学生などを対象として国内で実施されるとみられる。」

宿泊業が、留学生からの変更を期待していますので、おそらく介護業、外食業も同様だと思われます。

「特定技能」の製造業

「特定技能」の製造業3業種

  •  素形材産業
    • 職種:鋳造、鍛造、金属プレス加工等
  • 産業機械製造業
    • 職種:金属プレス加工、溶接、プラスチック成型等
  • 電気・電子情報関連産業
    • 職種:電子機器組み立て、溶接、プラスチック成型等

技能試験と日本語試験

  • 技能試験
    • 製造分野「特定技能1号」評価試験(仮)新設
  • 日本語試験
    • 日本語能力判定テスト(仮)
    • 又は、日本語能力試験(N4以上)

派遣は当面は不可

  • 雇用形態
    • 直接

製造業は、基本的に「技能実習2号」からの移行ルートを想定

  • 「特定技能1号」になるルート
    • A)新試験合格者
    • B)「技能実習2号」修了者(新試験受験免除)

「特定技能」への基本ルートになる「技能実習」とは

  • 技能実習制度の概要
    • 製造業の技能実習生は約16万人。
    • 製造分野の関連職種は80職種中、50職種程度。
    • 技能検定の目標は、技能実習の3年目修了時に3級合格、さらに5年目修了時に2級合格すること
    • 技能実習修了後は、帰国し、技能移転を行うこととなっている。

最新情報

以下は、製造業で「特定技能」を受け入れるための最新情報です。

>経済産業省「製造業における外国人材受入れに向けた制度説明会」Webページ

>同説明資料「製造業における外国人材の受入れについて」PDF

ベトナムと介護人材受入で合意

  • 政府はベトナムと、1年以内に3000人、2020年夏までに1万人の介護人材を受け入れることで合意した。
  • インドネシアやカンボジア、ラオスなどからも受け入れ拡大を進める。
  • 2017年11月から介護分野で始まった外国人技能実習制度を活用する。
  • 日本語試験で、ある程度日常会話ができる「N4」の能力を持つ人を対象に最長5年の滞在を認める。
  • ただし、来日後1年内に、日本語で日常会話ができる「N3」の能力を得なければ帰国しなければいけない。
  • 技能実習を修了した人はさらに最長5年の就労資格「特定技能」を得られる。
  • 日本人と同様の給与水準を保証する以下の優良12業者を第1弾で選定した。  12業者で3千人を受け入れられる。
    • のぞみグループ
    • ウエルグループ
    • 愛仁会
    • 福寿園
    • 北叡会
    • 青山ケアサポート
    • エフビーホールディングス
    • ベネッセスタイルケア
    • ポラリス
    • さわらび会
    • 福岡光明会 松月圓
    • 社会福祉総合研究所
  • 現在、介護人材は経済連携協定(EPA)を通じて来日している人数は08年~17年の累計で約3500人。
  • 経済産業省によると15年に日本の介護人材は4万人足りなかった。
    外国から1万人来ても3万人超足りない。
    35年には人材不足は79万人に達するという。

介護人材の動向

  • EPA
    2008年度に始まり、17年度までに3529人が来日。国家試験の介護福祉士は同年度までに719人が合格した。
  • 在留資格「介護」
    2017年9月から在留資格に「介護」が加わったことにより、介護福祉士養成の専門学校などに入学した留学生が2018年4月は1142人と前年比で倍増した。
  • 在留資格「技能実習」
    2018年7月以降、介護の技能実習生の受け入れが各地で始まっている。
    日本の監督機関である外国人技能実習機構(東京・港)によると、9月28日時点で計画認定は332人。

改正出入国管理法に基づく新制度の詳細案

  • 5年間の受け入れ見込み数である約34万人を「上限」と位置づけた。
  • 経済情勢が変化し人手不足が解消すれば、新在留資格の付与を停止する。
  • 受け入れ先には同じ仕事をする既存の従業員の雇用維持を条件とした。
  • 人材が都市部に集中するのを防ぐため、必要な措置を講じることも盛り込んだ。
  • 外国人が適切に社会保険に加入するよう受け入れ企業の管理を強める。
  • 医療保険を適用する扶養家族は日本の居住者に限るなどして悪用を防ぐ。
  • 「特定技能」による受け入れ対象は当面、9カ国とする。
  • ベトナム、中国、フィリピン、インドネシア、タイ、ミャンマー、カンボジアの7カ国にネパールとモンゴルを加えた。
  • 生活にかかわる情報や相談を一元的に担う「多文化共生総合相談ワンストップセンター」を都道府県や政令指定都市などに整備する。全国約100カ所での設置をめざす。
  • 医療機関や110番、災害情報発信などの多言語化も促進する。
  • 金融機関の口座開設や携帯電話の契約も円滑に進むよう業者に多言語対応などを促す。

外国人労働者の受入れ見込み数

以下の表が、「特定技能」14業種の外国人受け入れ見込み数です。(日経新聞より)


よく見ると分かりますが、ほとんどすべてを、「技能実習」からの移行で受け入れる業種もあります。
「特定技能」に対する期待の仕方は、業種により大きく違っています。

  • 介護は、「技能実習」からの移行ではなく、全て在留資格の変更と認定証明書経由による受け入れになります。極めて積極的で、かつ人数も非常に多いです。
  • 外食は、「技能実習」からの移行ではなく、全て在留資格の変更と認定証明書経由による受け入れになります。極めて積極的で、かつ人数も非常に多いです。
  • 宿泊は、「技能実習」からの移行よりも、より多く在留資格の変更と認定証明書経由による受け入れになります。人数は中程度です。
  • ビルクリーニングは、「技能実習」からの移行よりも、より多く在留資格の変更と認定証明書経由による受け入れになります。人数もかなり多いです。
  • 航空は、「技能実習」からの移行よりも、より多く在留資格の変更と認定証明書経由による受け入れになります。ただし人数は少ないです。

 

  • 2019年4月から、介護、外食、宿泊の3業種が他の業種に先駆けて技能試験を開始するのがよく理解できます。
  • それに続いて、ビルクリーニング業が、技能試験を2019年秋から開始予定です。

「特定技能」、まず8か国から

政府は、2019年3月までに、アジア8か国と情報共有などを定める2国間協定を結ぶ。
「技能実習」から「特定技能」への移行をメインにしていると、人手不足解消にはすぐにつながらないため、認定証明書を経由した新規受入を急ぐ。

  • ベトナム、中国、フィリピン、インドネシア、タイ、ミャンマー、カンボジアの7カ国で、残り1カ国は調整を続けている。
  • 4月以降は、対象国を順次拡大する。
  • 「特定技能」専用の日本語試験を設けて、新たな労働者の受け入れを始めることになる。
  • 来日した外国人労働者がすべての金融機関で口座を開設できるようにして、給与を管理しやすくする。
  • 「多文化共生総合相談ワンストップセンター」を全都道府県に設ける。
    政令指定都市などにも置き、全国で約100カ所程度を想定する。
  • 技能実習制度で目立つ悪質ブローカーを排除する。

 

  • 技能実習制度の関連
    • 日本に在留している外国人は今年6月時点で約28万5千人。
    • ベトナムは最も多い約13万4千人を占め、新制度でも柱となる。
    • 中国は約7万4千人、フィリピンも約2万8千人が在留する。
    • 現在、技能実習を受けている実習生は8カ国以外でも新資格に移行する場合がある。

例えば、中国から日本の旅館・ホテル業に就職する「特定技能1号」

「特定技能」の資格を取得するルートは、「技能実習」経由とそれ以外があります。
ここでは、「技能実習」以外のルートに関してです。

「特定技能1号」の資格を取得するには、
1)当該業務の技能試験と
2)日本語試験
に合格する必要があります。

まず、技能試験ですが、宿泊業を含めた3業種は最も早く、2019年4月から行われることに決まりました。
また、日本語試験ですが、当初開始8か国の中に中国も含まれています。

つまり、技能試験と日本語試験に合格すれば、中国から「特定技能1号」の認定証明書が取得でき、来年上半期には入国し、旅館・ホテル業に就職することができそうです。
また、現時点では、外国人申請人と受入機関との直接雇用契約が前提ですが、派遣契約も認める方向で検討中とのことです。