課税されずに上手に贈与 要件確かめ、証拠は残す

相続税の節税対策や子供、孫の家計支援のため贈与をする父母、祖父母が増えている。

  • 贈与税は財産をもらった人にかかり、1年間に贈与された金額について翌年、税務署に申告する。その暦年課税の申告者数は2014年に47万人と、5年前に比べ6割強増えている。
  • 生前贈与により財産を圧縮し、相続節税につなげようという人が多く、特に目立つのが、基礎控除(年110万円)の範囲内で毎年無税で贈与をするケース。
  • 基礎控除の範囲内で贈与する場合、毎年、贈与契約書などの記録を残すことが必要
  • 基礎控除の範囲内なら申告は不要だが、生前贈与の証拠を残すためにあえて申告する人も少なくない。納税はしていないが申告だけした人は最近10万人台と高水準が続く。

非課税制度を利用した贈与も増えている。

  • 教育資金の非課税制度は学校の授業料などに使う目的で29歳までの子供、孫に贈与する場合、一人当たり1500万円までが非課税になる。関連する商品の契約数は昨年12月末で約15万件と増加の一途をたどっている。
  • 結婚・出産・育児資金の非課税制度は20歳から49歳までの子供、孫に一人当たり1000万円まで贈与できる。
  • 住宅取得資金の非課税制度は今年9月までの契約なら1200万円、同10月から来年9月までの契約なら3000万円を20歳以上の子供、孫に贈与できる。
    住宅取得資金の非課税制度を使うには申告が必要だが、これを忘れる人も多い。贈与の翌年の2月1日から3月15日までという期間に申告しないと課税される。

税務署は登記所(法務局)から定期的に不動産の所有権の名義情報を得ている。
所得などの状況と照らし合わせて、疑問があれば「お尋ね」という質問文書を郵送する。

日経新聞2016年3月9日より

非課税の教育資金贈与 1兆円突破

使い勝手が悪いと言われながら、教育資金贈与が着実に増加しているようです。

以下、日経新聞朝刊記事の要旨です。

  • 教育資金の非課税贈与制度の利用額が、7月末時点で累計1兆円を突破した。
  • 2013年4月に制度が始まって2年強で件数も14万5千件に達し、増加のペースは衰えていない。
  • 大手信託銀行4行と三井住友銀行の累計の贈与額は1兆200億円超となった。
  • 大手信託4行だけで今年7月末までに累計1000億円超が教育費として引き出された。
  • 契約額で5行中最多の三菱UFJ信託銀行の調べでは、
    • 贈与を受ける孫の側の年齢は6歳未満が最多で全体の3割。
    • 平均の贈与額は約700万円で、制度の上限である1500万円を贈与する人は全体の2割弱。

教育資金贈与の非課税制度:30歳未満の子や孫への教育資金の贈与が、贈与を受ける側1人当たり1500万円まで非課税になる優遇制度。

2015年8月24日

相続税節税/贈与税基礎控除110万円の利用

来年からの相続税大増税を控え、新聞・雑誌等で相続税節税に関する記事を眼にすることが多くなりました。

一番多いのは、暦年110万円までの贈与税基礎控除枠を利用する方法です。しかし、毎年、同じようにする定期贈与は、一括贈与とみなされ、課税される可能性があります。税務当局から否認されないように、以下のような注意をすることが必要です。

・毎年、贈与契約書を作成する。
・贈与の事実を振込の記録として残す。
・振り込んだ相手の子・孫等の通帳を自分で預からない。
・毎年、金額を替え、振り込む日も替えるようにする。
・110万円を少し超えた額の贈与をして、10%の贈与税を払っておく。

しかし、以上のことを毎年行うのは結構面倒です。
そこで、ある信託銀行では、その面倒さをなくすため、受益権の分割という手法を用いた贈与を提案しています。信託銀行が間に入ることで、税務当局の生前贈与否認のリスクをなくすことができるとのことです。

2014年5月16日

財産の生前贈与

自らの意思で財産を分与したいのであれば、生前に贈与するのが一番確実です。
相続税対策にもなります。
贈与には暦年課税と相続時精算課税の2つの課税方式があります。いずれも受贈者が納税義務を負います。

歴年課税

従来からの課税方式で1年間に贈与された財産の価額をもとに、10%から50%の税率で課税されます。ただし、歴年課税には110万円の基礎控除がありますので、贈与財産が110万円以下であれば贈与税はかかりません。また申告も不要です。贈与方法には注意が必要ですが、子ども3人に10年間毎年贈与すると、3,300万円まで無税で生前贈与できます。ただし、相続開始前3年以内の贈与に限り、相続税の対象になります。

相続時精算課税

財産の早期移転を促すために設けられ、贈与税と相続税が一体化した制度です。贈与時に特別控除額の2,500万円を超える金額に対し一律20%の贈与税が課税されます。相続時には贈与された金額を含めて相続税の計算をして、納付済みの贈与税と相殺します。つまり、贈与時に相続税を仮払いし、実際の相続時に精算することになります。65歳以上の親から20歳以上の子(代襲相続含む)への贈与に限られます。

暦年課税の適用を受けるか相続時精算課税を選択するかは、それぞれの子が父母ごとに選択することになります。また、一度相続時精算課税を選択した場合は暦年課税に戻ることはできません。

2011年6月12日