難民の審査待ちが急増

日経新聞2月12日付朝刊に、難民の審査待ち急増という記事がありました。

  • 2015年6月末で、難民の結果待ち人数は計1万830人
    難民認定申請の結果を待っている人が4590人、
    不認定に対する異議申し立ての結果を待つ人が6240人
  • 難民申請数
    2010年の難民申請は、約1200人で、結果待ちは3千人以下
    2015年の難民申請は、過去最多の7586人
    ネパール、インドネシア、トルコ、ミャンマーなどが中心
  • 審査にかかる平均処理期間
    • 難民認定申請
      2010年は、13.9カ月
      2015年上半期は、8.1カ月で短縮
    • 異議申し立て
      2010年は、19.9カ月
      2015年上半期は、29.1カ月(同)と長期化

結果待ちは東京、名古屋、大阪の各入国管理局管轄のものが大半
2015年の難民認定者数は27人

2010年の制度改正で、申請から6カ月が経過すれば一律に就労が認められるようになったことから、出稼ぎ目的の難民申請が急増したと入管は分析。
申請が増えすぎて審査が追いつかないため、効率的な審査とともに、不正の摘発も強化している。

(2016年2月12日 日経新聞)

自分の法定相続分を早く手にする方法

他の兄弟間の関係が悪く、なかなか遺産分割協議が進まないことがあります。

そのようなときに、自分の法定相続分を早く手に入れる方法はいくつかあります。

  • 預貯金
    預貯金等の金銭債権は、不動産などの他の財産と違って、相続人全員の共有にはなりません。法定相続割合による当然分割がされているものとされます。

よって、本来であれば、金融機関に申し出れば口座から引き出せるのですが、多くの金融機関はその申し出に応じません。他の相続人の同意書を求めてきます。兄弟間の仲が悪いのであれば、その同意書は入手できない可能性があります。

金融機関が事情を説明しても、どうしても引出しに応じないのであれば、預金払い出し請求訴訟を起こすことになります。独別な事情がなければ、勝訴しますが、判決までに3~4ヶ月はかかります。

  • 相続分の譲渡

自分の相続分を他の相続人に譲渡する「相続分譲渡証明書」を作成し、署名・捺印することにより、遺産分割協議から抜けるのも一つ方法です。法定相続分に準じた金額で買ってもらえるかどうかがポイントです。

  • 不動産の持分譲渡
    不動産を兄弟全員で共有登記し、自分の持分だけを第三者に売却することが可能です。この共有登記と自分の持分の処分には他の相続人の同意は不要です。ただし、通常の不動産業者は、持ち分だけの不動産を購入することはあまりしないので、不動産業者の資質を慎重に見極めることが必要です。そうでないと、不動産業者と持分所有者である他の兄弟の間でトラブルになる可能性があります。

日経新聞2016年2月10日より

悪質商法 高齢者解約しやすく

商品を購入した後、悪質商法と気づいた場合、一定期間であれば契約を取り消せる制度が強化されました。

  • 悪質商法として、現行の「うその説明」に、「使い切れない量」と「大げさな危険性」を追加
  • 取り消せる期間を、現行の半年から1年に延長

今国会に消費者契約法と特定商取引法の改正案を提出する。
大量売りつけや大げさな危険性の説明に当たるかどうかは、消費生活センターが相談に乗る。

業者への罰則も強化されました。

  • 業務停止命令の期間を「1年以内」から「2年以内」に引き上げる。
  • 国や自治体が悪質な業者に返金計画をつくらせ履行を命じる制度も設ける。
  • 業務停止中の業者が別に法人をつくって同じ業務をすることも禁じる。

日経新聞2016年2月8日

電子ビザ 19年度からネットで申請・発行

  • 政府は、インターネット上で申請を受け付け発行する「電子ビザ」を導入する方針
  • 現在、観光目的でも訪日ビザが必要なのは中国、ベトナム、ロシア、ブラジルなど約130カ国。
  • これらの国を対象に発行までの手続きを簡単にし、訪日外国人客の利便性向上を狙う。
  • 東京五輪・パラリンピック開催前の2019年度からの運用開始を目指す。
  • 15年の訪日外国人は1973万人と4年連続で増え、14年のビザ発給数も過去最高の287万件に達している。
  • 電子ビザは、渡航者や旅行代理店が専用サイトでパスポート番号などを入力。身分証明書のコピーなどを添付して申請する。本人には発給の可否が通知される。
  • 現在の以下の手続きが不要になる。
    現地の日本大使館に出向いて必要書類を提出
    発給時に再び大使館に行ってビザを貼ったパスポートを直接受け取る
  • 現在、電子ビザはオーストラリアが短期の観光ビザなどで一部導入している。
  • 一方、米国や欧州各国など現在67カ国あるビザ免除国には、テロ対策のため事前認証制度の導入を検討する。
  • 訪日前に氏名、生年月日、連絡先などの情報をネットで通知することを義務付ける。
  • 基本的にビザ免除国からの渡航者は短期の観光目的などなら誰でも入国可能なため問題がなければすぐに認証される。
  • 他国では米国、英国、カナダが導入済み。
  • 日本政府は米国の電子渡航認証システム「ESTA」を参考にする。

(2016年2月6日 日経新聞)

ベトナムとインドに最長10年ビザ ビジネス目的や知識人

  • 外務省は2日、ベトナムとインドに対し、日本に何度も入国できるようになる数次査証(ビザ)の発給要件を緩和すると発表した。
  • ビジネス目的や、大学教授など文化・知識人が入国する場合、有効期間を現行の5年から10年とする。
  • 日本が最長10年の数次ビザを発行するのは両国が初めて。
  • 文化・知識人の範囲についても、医者や弁護士など国家資格を持つ者にまで広げる。
  • 数次ビザは2回目以降の入国では観光目的でも使える。

(2016年2月2日 日経新聞)

相続のルール大規模改正へ

民法の一部である相続法の改正作業が進んでいる。

高齢化や相続対象となる財産の蓄積が進んでいるにもかかわらず、相続法は1980年以来大きく改正していない。遺産分割を巡る争いが増えるなど相続を取り巻く環境は深刻化している。相続にまつわる不満や調停、審判などの紛争になる事案を元にして検討しており、紛争の解決・予防を狙っている。ただ遺産分割の仕方がより複雑になる可能性があり、相続紛争に拍車をかける恐れもある。

  • 配偶者の居住権の保護
    案)相続開始時に住んでい建物の使用を認める「長期居住権」を新設
    理由)子供がルール通りの遺産分割を主張して配偶者が住み慣れた家を売却せざるを得ないことがある。
  • 配偶者の貢献に応じた遺産分割の実現
    • 案)婚姻期間中の増加した財産は配偶者の法定相続割合を引き上げ、それ以外の財産は法定相続割合を引き下げる。
      理由)被相続人が再婚後数年で相続が発生した場合に、現在の法定相続割合は高すぎるのではないか。
    • 案)婚姻期間が20年以上の場合は、配偶者の法定相続割合を引き上げる
      理由)高齢化が進む中、残された配偶者の生活保障をするには現在の法定相続割合は低いのではないか。
  • 寄与分の見直し
    案)介護や療養看護に貢献した相続人に対する要件を緩和する。
    理由)親の介護や療養看護に一切関わらなかった兄弟姉妹が、均分相続を主張するのはバランスが悪くないか。
    理由)相続人の配偶者が貢献しても相続人ではないため寄与分にカウントしない。
  • 遺留分の見直し
    案)遺留分減殺請求事件を家庭裁判所で全面的に解決できるようにする。
    理由)相続紛争は家庭裁判所で解決するのが原則だが、遺留分が絡むと地裁に委ねざるを得ない場合が出てきて、紛争が長引く。
  • 遺言の見直し
    案)自筆証書遺言の方式を緩和する。
    理由)全文を自筆したり訂正したりする場合に、押印が必要など様式が厳格過ぎるのではないか。

具体案は夏くらいまでにはまとめ、一般からの意見を求めるパブリックコメントの手続きにかけることになる。政府案は早ければ来年初めまでに作成、来年の国会に提案することになる見通し。

可決しても施行は先で、早くて数年後

日経新聞2016年2月2日より

遺言代用信託

高齢化の進展で相続への関心が高まるにつれ、「遺言代用信託」の利用が急増している。

遺言代用信託はあらかじめ受け取る相続人を指定してお金を預けておくと、本人が亡くなった際に相続する家族などが簡単な手続きでお金を受け取れる仕組み。

通常は本人が亡くなると、本人名義の預金が凍結されてしまうため、相続人は相続手続きが完了するまでお金を引き出すことができない。引き出す際には解約するか名義を変更することが必要で、遺言書や遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書などを取りそろえる手間もかかる。遺言代用信託ではこうした不便さも解消できる。

遺言代用信託の利用はここ数年で急増している。取り扱いが始まったのは2009年度からだが、15年9月末時点で12万件を突破し、半年間で15%増えた。13、14年度はそれぞれ新規契約数が4万件を超えた。ニーズの高まりを受けて「取り扱う金融機関が増えたことが背景にある」(信託協会)という。09年度の新規契約数がわずか13件だったのと比べると、最近になって急速に利用が増えてきたことがよく分かる。

契約数で業界トップの三菱UFJ信託銀行は、家族用の一時金受け取りと定時定額受け取り、自分用の定時定額受け取りの3プランを用意している。

日経新聞2016年1月16日より

自筆証書遺言の内容が有効から無効へ

自筆証書遺言の内容が有効から無効へ

日経新聞11月21日付朝刊に、
斜線の遺言書「無効」 最高裁判決「故意に破棄」認定
という記事がありました。

遺言者自らが赤いボールペンで遺言書全体に斜線を引いた自筆証書遺言は有効か?

  • 遺言内容は、土地建物や預金などのほぼ全財産を長男に相続させる内容
  • 長女が「赤いボールペンで斜線を引いであるので無効」として、無効の確認を求めて提訴した。
  • 一審・広島地裁、二審・広島高裁は、「元の文字が判読できる程度の斜線では効力は失われない」として無効ではないと判断
  • 最高裁第2小法廷は、「赤いボールペンで文面全体に斜線を引く行為は、一般的には遺言の全効力を失わせる意思の表れとみるべきだ」として無効とした。

自筆証書遺言は、無効になるケースが良くあります。できれば公正証書遺言に、自筆証書遺言にする場合では少なくとも専門家に確認してもらうことが必要と言えます。

(2015年11月21日 日経新聞より)

TPPでビザ発給緩和

日経新聞11月6日付朝刊に、
TPP域内 ビジネス活発に ビザ発給 大幅緩和
という記事がありました。

TPPの協定案の全容が公表されましたが、その中にビザ発給の緩和も盛り込まれています。

  • カナダとベトナム
    出張者向けのビザで認める滞在期間を今の90日から2倍の6カ月に延長する。
    転勤者と同じ期間の滞在を家族に認めると約束した。
  • メキシコ
    出張者向けのビザで認める滞在期間を今の30日から180日まで6倍に延ばす。
  • チリ
    転勤者の家族の滞在期間を保証する新制度を設けた。
    これまで特別な配慮はなかったが、1年ごとに滞在期間を更新できる仕組みとする。

(2015年11月 6日 日経新聞)

在留資格(ビザ)「高度専門職」が増加

日経新聞10月19日付朝刊に、「高度専門職」(高度人材ポイント制)に関する記事が掲載されていました。

  • 「高度人材ポイント制」という優遇制度が、人口減を踏まえ、高い専門知識や技能を身につけた外国人の受け入れ拡大策として、海外の制度を参考に2012年5月に始まった。
  • 高度人材に係る優遇制度が始まって3年がたち、利用者は導入初年度の6倍の3千人を超える。
  • 最初から最長5年の在留許可をもらえた人もいる。
  • 日本の企業でホワイトカラーとして働く場合、最初の在留期限は1年、長くても3年という例が一般的だ。30代前半で初めから最長5年の在留許可を取得できる例は珍しい。
  • 対象は外資系企業の経営幹部や専門職、企業や大学の研究・開発者、情報技術(IT)の専門家といった職種だ。このうち年齢や学歴、職歴、年収などを点数にして合計が合格点(70点)に達し、国が認めれば「高度人材」となる。
  • 通常10年の在留が必要な永住権の取得が短縮されたり、母国から親や家事使用人などを呼び寄せやすくなったりといった恩恵がある。いきなり最長5年の在留許可をもらえるのも特典の一つ。
  • 61歳で職歴も長いエンリコさんの得点は85点と合格点を大きく上回った。だが「私のようにシニアは高得点を取れても、若い人が70点以上を取るにはよほど高収入でないと」と話す。法務省が公開する高度人材ポイント制の計算表をみると、30歳代前半の年収で最も高い配点は「1千万円以上」で40点だ。「500万~600万円」だと15点で、「500万円未満」となると0点だ。
  • スイスのビジネススクール、IMDの魅力度調査(14年)によると、高度人材が働きたいランキングで日本は60カ国・地域中48位だ。アジアの中でも、シンガポール(3位)や香港(9位)、中国(18位)、タイ(19位)に大きく水をあけられている。

(2015年10月19日 日経新聞)