自分の法定相続分を早く手にする方法

他の兄弟間の関係が悪く、なかなか遺産分割協議が進まないことがあります。

そのようなときに、自分の法定相続分を早く手に入れる方法はいくつかあります。

  • 預貯金
    預貯金等の金銭債権は、不動産などの他の財産と違って、相続人全員の共有にはなりません。法定相続割合による当然分割がされているものとされます。

よって、本来であれば、金融機関に申し出れば口座から引き出せるのですが、多くの金融機関はその申し出に応じません。他の相続人の同意書を求めてきます。兄弟間の仲が悪いのであれば、その同意書は入手できない可能性があります。

金融機関が事情を説明しても、どうしても引出しに応じないのであれば、預金払い出し請求訴訟を起こすことになります。独別な事情がなければ、勝訴しますが、判決までに3~4ヶ月はかかります。

  • 相続分の譲渡

自分の相続分を他の相続人に譲渡する「相続分譲渡証明書」を作成し、署名・捺印することにより、遺産分割協議から抜けるのも一つ方法です。法定相続分に準じた金額で買ってもらえるかどうかがポイントです。

  • 不動産の持分譲渡
    不動産を兄弟全員で共有登記し、自分の持分だけを第三者に売却することが可能です。この共有登記と自分の持分の処分には他の相続人の同意は不要です。ただし、通常の不動産業者は、持ち分だけの不動産を購入することはあまりしないので、不動産業者の資質を慎重に見極めることが必要です。そうでないと、不動産業者と持分所有者である他の兄弟の間でトラブルになる可能性があります。

日経新聞2016年2月10日より