売買等の取引で物(動産)を引渡すということ

民法は私人間の争いを解決するための法律です。私人間の争いは売買等の取引で生じることが多いです。取引の多くは何らかの物を交換します。交換するには、物を相手に渡すという行為が必要です。動産に関して、占有状態をAからBに移転するということは重要な行為になります。

民法では、所有権を変動させるために行う動産の引渡し(占有の移転)には4種類あるとしています。

  • 現実の引渡し:最も一般的でAからBに現実に引渡して所有権を移します。
  • 特殊な引渡し
    • 簡易の引渡し:貸しているなどで既にBの手元にあるものをAがBに引渡したことにして所有権を移します。
    • 指図による占有移転:預けているなどでCの手元にあるものを以後Aのためではなく、Bのために占有するように指示して所有権を移します。
    • 占有改定:Aの手元にあるものをそのまま占有を継続するものの、以後の所有権はBに移します。

特殊な引渡しによる所有権の移転は観念的なもので、そう言われればそうかなと理解はできます。ただ、現実の取引契約では往々にしてありそうなことです。と同時にトラブルも発生しそうです。特に占有改定はそうです。外見的には元の所有者のところにそのまま存在して違いが見えないので、争いが起きそうな可能性が非常にありそうです。

2011年4月 8日(金)