劇場型未公開株詐欺事件が増加

本日の日経新聞に未公開株詐欺が急増しているという記事が掲載されていました。何人もがぐるになって綿密に筋書きを描いて皆がそれぞれのパートを演じ切るようです。そこで、劇場型詐欺と呼ばれるそうです。

元々、登録していない未公開株取引業者は存在自体が違法です。ただ業法上違法であっても、一般に契約自由の原則があり、民事上被害者と締結した契約は有効になります。その有効な契約を詐欺を理由にして取り消すには、取り消す側の被害者が相手の詐欺を立証する必要があります。主張する被害者側に立証責任があるというのが原則です。結構、酷な話しです。当然相手にも弁護士が付きます。合意してお金を支払っているので被害者側からの詐欺の立証が結構難しいことになります。

そこで立証責任を転換しようという話になりました。向こうは違法な存在なのだから”詐欺ではない”と立証できなければ、契約を無効にしてしまおうということです。論理的に立証する側は難しく不利になります。攻撃する側は論理のほころびを追求すれば良いので有利になります。”詐欺ではない”と立証できなければ契約は取り消され、存在しなかった初めの状態に戻さなければなりません。つまりお金を全額被害者に戻す必要があります。

一般市民感覚からすると、誰が見ても詐欺だから契約は無効で当然のように思えます。法律の世界、弁護士の世界に入ると必ずしもそうでもなくなります。悪いことをする側が往々にしてお金をたくさん持っていることが多く、優秀な弁護士はお金で雇うことが可能だからです。巨悪を弁護する弁護士がいるのにいつも不思議な感覚を持ってしまいます。

2011年4月 7日(木)