外国人の在留許可と就労

外国人が増えています。街中でも職場でも増えてきました。少子化も相まって今後ますます増えると思われます。外国人と一緒に生きていくことが必要になってきています。

今回は、入管法、外国人の在留許可、そして就労に関してです。

外国人とは

まず外国人という定義ですが、入管法によれば「日本人の国籍を有しない者」となっています。つまり、外国の国籍を持っていても日本の国籍を持っていれば、日本人であり、外国人として扱わないということになります。また、日本は血統主義(*)を採用していますので、どちらか一方の親が日本人であれば、どこで生まれても日本人になります。

査証(ビザ)と在留資格

次に、外国人が日本に入国する際ですが、一般に、有効な旅券を所持することの他に、査証(ビザ)が免除される場合を除き、旅券に有効な査証を取り付けていることが必要になります。査証が免除されるのは、査証免除国の国籍を持ち、観光など報酬活動に従事しない短期滞在の場合です。平成17年の在留資格別新規入国者数(永住者を除く)612万人のうち、短期滞在がほとんどで約94%です。

さて、”本格的に”日本に滞在しようとする外国人には査証が必要となります。日本の査証は入国目的別に以下の7種類があります。
外交、公用、就業、一般、通過、短期滞在、特定
査証とは入国するために必要なものであり、入国の際に査証に記載されている入国目的に対応した在留資格を得てしまうと、その役目を終了します。

従って、よく言うビザの変更、ビザの延長という表現は正しくなく、正しくは在留資格の変更、在留期間の更新になります。また、入国目的、在留資格、在留身分、在留活動とはほとんど同一の意味、あるいは対応関係が存在します。査証はそれをグルーピングしています。その対応関係は以下の通りです。

査証(ビザ)と在留資格の種類

査証の種類:入国目的/在留資格/在留身分/在留活動
1)外交:外交
2)公用:公用
3)就業:教授、芸術、宗教、報道、投資・経営、法律・会計業務、医療、
研究、教育、技術、人文知識・国際業務、企業内転勤、興行、技能
4)一般:文化活動、留学、就学、研修、家族滞在
5)通過:短期滞在
6)短期滞在:短期滞在
7)特定:特定活動、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者
(査証不要:永住者)
<計 :27種類>

7種類の査証に27種類の在留資格です。但し、永住者だけは入国時に査証は不要です。

在留資格と在留活動

日本では在留資格に対応した在留活動が出来ます。逆にそれ以外の活動は原則的に出来ません。在留資格に対応した就労活動であれば、入国後に就労許可を得る必要はありません。欧州諸国では逆で、入国した後で就労許可を得ます。

27種類の在留資格の内、
日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、永住者
の4つの在留資格だけは特別扱いになっています。在留活動に制限がなく、単純労働など職種を問わず、収入を伴う活動が何でも出来ます。更に永住者はそれに加えて在留期間の制限がありません。他の3つの在留資格は1年、または3年間が在留期間です。もちろん、在留期間の更新は可能です。というわけで、外国人は、日本人の配偶者になりたがるわけですし、更には永住者の資格を取りたいと思うわけです。永住者の資格を取得するためには、通常は10年ほど真面目に日本に在留、生活する必要がありますが、日本人の配偶者であれば、それよりもずっと緩い基準で永住者になることが出来ます。

外国人の就労

ところで、留学、就学という在留資格だけでは報酬を伴う活動をすることは出来ません。そこで多くの留学生は資格外許可を受けてアルバイトをすることになります。それによって、例えば1週間に28時間を限度に資格外活動、要はアルバイトをすることが出来るようになります。

外国人を雇う場合には、旅券や外国人登録証明書(市区町村でこれを取得すれば旅券の携帯を免れます。)で在留資格を確認して、職種、期間など雇用しても問題のないことを確認する必要があります。ところが、一般の人にとって、その判断が実は容易ではありません。結果的に、雇用者は不法就労助長罪(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)を犯したくはありませんので雇うことに慎重、あるいは消極的になりかねません。それではまずいということで、誰にでも簡単に分る、就労資格証明書というものを入国管理局が発行するようになりました。取得は任意ですが、1000円以下で取得できますので、持っていない外国人には是非入手を勧めると良いと思います。本人も不利益な扱いを受けないようになりますし、雇用側も安心できます。

(*)血統主義に対立する概念として出生地主義(親がどこの国の国民であろうと、自国で生まれた子は自国民になる。)があります。 血統主義は韓国、ドイツなど、また出生地主義はアメリカなどが採用しています。

(2008年10月19日)